第34話

心結の言う通りだった。

最終審査の5人が1人ずつ映画の息子の台詞を演じて行く。

最後が暖希の番だった。

目の前には5人の審査員が並び、一番端に谷川慎之介の姿があった。

暖ちゃん、浮かれてオーディション失敗しないようにね……

脳裏に心結の言葉が浮かぶ。

「5番春名暖希です。よろしくお願いします」

そして暖希の演技が始まった。


「河田慎吾役は5番、春名暖希さんに決まりました。春名さんは此方へ。後の方はご苦労様でした」


暖希は家族に電話した後大家に電話を掛けた。

そして下宿に戻った時にはパーティオードブルとケーキが待っていた。

暖希の好きなちらし寿司もある。

「どうしたんですか?このご馳走」

「頼んでいたんだよ。今日の日に合わせて」

「でもダメだったらどうするつもりだったんですか?」

「考えてなかったねー。暖ちゃんは必ず受かると思っていたからね」

大家はそう言って首を捻った。

暖希、心結、泉野、長谷部、岸田、大家の6人で細やかなパーティが始まった。


パーティが終わると暖希は早速部屋で台本を読み始めた。

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