第5話え、ほんとにあの人何だったの
さすがにカットしました。今俺は、ダンジョンの目の前にいます。
カットし過ぎじゃないかって?ご安心を。冒険者ギルドはまだ見つかっておりません。
え、あのさあ。あの人は何だったの?あの無言で冒険者ギルドの真反対を指差したお姉さんは。あの人のせいで今汗だくなんですけど早くお風呂入りたい。やっぱ本当におかしい……変わった人だったんだな。今も後ろ振り返ったらいるんじゃないかってちょっと怖いんだよな。というかもう今すれ違った普通のお姉さんですら怖いもん。あ、このお姉さんてのはお世辞なしのお姉さんね。いや、最初のお姉さんはお世辞だったってわけじゃないんですけどあの……やべー、あの時もっと詳しく怖いお姉さんの描写しておくべきだったな。一個前の話見返してもどんなお姉さんだったか思い出せねぇ。……迂闊なこと言うのはやめよう。
というわけで、入りますか。
でかめのトンネルのようなその洞穴は、大通りに面して普通に佇んでいた。洞穴からはひっきりなしに人が現れ、それと同じくらいのペースで吸い込まれていく。
洞穴の庇をくぐると、広い石の階段が下側へずっと続いていた。まるで地下駅の地上口だ。俺は関東人らしく、幅に余裕のある階段の左側にそそくさと寄り、ひとつ下の段に足を踏み出した。これが、歴史に残る小林の初ダンジョンダイブであった。
しばらく階段を降りると、天井となっていた岩肌が少し先で途切れている。出口のようにも見えるその先には、まだまだ続く階段と、これから見えるであろう景色の切れ端が覗いていた。高鳴る胸に突き動かされ、小走りに階段を駆け下りて行く。ああ、まじか。
視界が広がった。すげぇ……広い……
………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ああごめんごめん、ちょっと圧倒されてたわ。ええっと説明ね……どう説明すればいいんだ……。
眼下に広がるのは、街だった。とてつもなく巨大な地下空間に敷き詰められた、巨大な街。いや、都市か。今俺はそれを、長い長い階段の中腹で見下ろしている。焦点が合っているかもわからない壮大な岩壁が発する青みがかった光の中に、人間達の灯す赤みがかった光が都市全体を覆って、幻想的な箱庭を創り出している。
まあこんなもんだろ。つーかこれが限界。
まじですげぇな……でかすぎる。この景色アニメ化できるのか?ちょっとこれ幾ら予算あっても足りないぞ……。でも、是非諸君にもこの景色を見て欲しいな。実写化でもいいから。
ここが、迷宮の中にある都市。
「『
いやまあ、思ったよ。この名前を通行人から聞いたときは。ああ、作者またやってんなって感じだよ。でもね、もう良いと思う。分かりやすいし。
いやー、まさか冒険者ギルドがダンジョンの中にあるなんてな。確かに近い方が便利だろうし、合理的だ。ここは、ダンジョン攻略のための都市ってわけだ。いや正直やばい。めっちゃ惹かれる。一体どんな街なんだろうか。
是非とも見て周ってみたい!みたいところだが、今の俺の目的はただ一つ。
ていうかもう早く行こう。冒険者ギルドに。
……もっかい道聞かなきゃいけないじゃん。ちゃんとダブルチェックで聞こう。
なあ、階段長くね?いやもうほんっとに長い。階段降りるのも結構筋肉使うんだぞ。こっちはただでさえ疲れてんのに。でかい大通りを一往復してここに来たんだぞ。はあ。はあ。このすんばらしい景色を見ながらだからまだ気分はいいけど、ちょっと足震えてきたよ。ていうかこれ、この階段、ちょっとでも踏み外したらやばくね?ふっつうに死ねるな。あ、怖い。……ふぅぅぅぅぅーーーっ。ふう。はあ。いや大丈夫、端っこだから迷惑にはなってない。だからちょっと立ち上がらないのを許してほしい。
あーなるほど、階段によくある踊り場……なのかはわかんないけど何かあるスペースって、足を滑らせた時に一気に一番下まで転がり落ちないようにあるのかもなぁ。
と、なんとなく思いました。この階段にも、広い間隔で踊り場的なのがある。たとえ足を滑らせても、死体の損壊は軽微で済みそうだ。
……行くか。これは偶々尻もちをついただけ。長めに。俺は早く冒険者ギルドに行かなきゃいけないんだ。みんなが待ってるんだ。読者のみんなが。俺は主人公として立ち上がらなきゃいけない。そうだろ。
……立ち上がれねー。お尻に根っこ生えたー。いやなんかね、めっちゃいい風が吹いてくるんだよここ。汗ばんだ肌を風が撫でていくなか、この美しい景色を眺める。まじで最高だこの階段。ここでぼーっと穏やかな時間を過ごしていたい。
いい場所だ。また今度来よう。
今度こそ俺は立ち上がった。心と身体は、驚くほど軽くなっていた。
やっとだぁぁ!久しぶりの信用の置ける地面だぁぁぁ。時間にすれば1時間ぐらいだと思うが、気分は長距離フライトを終えた後だ。うわ結構達成感あるな。こういうのは普通「登りきったぞー!」だろうが、目的地が下にあれば逆転することもある。おれは!!くだりきったぞぉぉーーー!!!
そして迷宮都市、到着!!アニメ化班、いいBGMを頼む!
近くで見ると、家の構造自体は上の街とあまり変わらない。だが、明らかに街を建てた人間の血液型が違う。直線的に整然と並んでいた上の街とは違い、ここは道がぐねぐねと曲がっている。あとはやっぱり雰囲気が全然違うな。妖精いそう。
曲がったことの許せない代表的なA型の俺は、曲がりくねる道も探検するような気分になれていいなと思いながら都市に足を踏み入れた。
少し入っただけでわかったことがある。
明らかに、武器を持った人が増えた。なるほど、ダンジョンのためにある都市。戦いを生業とする者が集まる都市ってわけだ。なあ、これ治安大丈夫なの?普通にわっくわくで来たけど、こう目の前で剣とかガチャガチャしてるの見るとリアリティがあるっていうかとんでもない圧を感じるな……怖い。この世界の倫理観とかわかんないし、肩ぶつかったら切られるとか無いって言い切れなくて怖い。いやわかってるんだよ?俺は主人公だからこんなところで死ぬことは無いだろうって。でもさ、作者は最近読んだ作品のイメージ引き摺るタイプだからさ。こんなところで変に過酷な世界見せつけてくるとか全然やりそうで安心できないんだよね。どう森でもやっといて欲しい。そういえば作者最近どう森の話題に入れなくて浮いて
※だ ま れ
……………………ごめん。世代じゃなかったんだよな。ごめん。
やべぇ、自分のせいだけどテンション下がっちゃった。普通に読者の前で嫌な思い出晒し上げるのはちょっと違ったわ。ほんますまん。
はぁーっ、ちょっと俺もまじで主人公としてこの作品を頑張るからさ、景気づけになんか迷宮都市の面白いものないかな。店とか祭りとかさ。まじで丁寧に描写するから。
……ごめん、ぱっぱと冒険者ギルド行くわ。それが一番だよな。
「あの、すいませ…………」
「……なぁんでこんなところに居るの?ぼうや。」
「イヤッアノッココニキョウミガアッテッジャッサヨナラッ」
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
小林の頭の中を、逃げられない恐怖が埋め尽くす。跳ねた足が止まらない。さっ
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
きまで恐怖の対象だった血生臭い武器とその持ち主を、少しでも逃げるために押し
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
のけた。彼女が小林にした少しの接触は、特段臆病というわけではない一人の青
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
年を捕食者に狙われた矮小な小動物に変えてしまった。疲れていたはずの身体は、
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
壊れることも厭わ「いやあれはびびるわあああああああああああああああああああああっ!!!!!!」
何でよりによって声かけた人があのやばいお姉さんなんだよ。こんだけ人がいてなんでっ。いやもうなんでもくそもあるか絶対作者てめえだろぉっ!!ふっざけんじゃねぇあの人はほんとに怖いんだよ。絶対関わっていい人間じゃないんだよ。こんなんで目つけられたらどうしてくれるんだごろざれるゔゔゔゔ;;。
はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ?はぁっ、何かっ、巻き込っ、まれてっ、るなっ、屈強な男たちの群れに。なにこれ、どういう状況なんだろう。一生懸命走ってたら、一生懸命走ってるマッチョの群れに組み込まれてるんだけどどうしたらいいんだろう。しかもなんか全員目ぇギラギラさせてて怖くて話しかけられないわ。これどこに向かってるんだろう。こんなたくさんの筋肉が殺気立って向かう場所ってどこなんだろう。あっ、ジムとか?
冒険者ギルドだったりしないかな。
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