第31話

子ども。


予想していなかったけれど、想像したことがないわけではない。 


だって結婚していた。


ただ作ろうと思って抱いたことがないだけ。

結婚してからは子どもが出来る可能性があると分かっていて、避妊せずに抱いたこともある。


そのときにはできず、咲羅に生理がきたと言われたとき「残念だな」と自然と思ったりして……うん、子どもはいつできてもいいなと思っていた。


その子ども。



子ども、か。


子どもが出来たら、とあのとき想像していた状況と今はかなり違う。

そもそも俺が咲羅と離婚しているこの状況こそ想像していなかった。



子ども、ね。


あのときこうしていればと思う気持ちはこれからも何度だって湧いてくるだろう、俺も咲羅も。


それはどうにかして飲み込むしかない、俺も咲羅も。



うん。


咲羅が産んでくれた俺の子ども。

それだけでいい。


それ以外は全て、後悔も不安もどうにかしてみせる自信がある。


そう思えるのはこの3年間のおかげかもしれない。


だから―――。



「咲羅、もう一回結婚してくれないか?」

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