アンコール

第32話

「力をつけたら咲羅に会いにきてもう一度結婚を申し込むつもりだったんだ」

「嘘!」


「証拠なら3年前に買った指輪、その購入証明書がある」

「勝算があったら買いなさいよ。普通は断られてもおかしくないのよ、あなたは浮気男なんだから」


咲羅、普通はって……。


あのときの言葉を信じていなかったと言っているようなものだよ。

なにそれ、幸せ。



しかも咲羅は俺の腕の中にさっきからずっといる。


これって求婚に了承したって解釈してもいいよ?

なにこれ、幸せ。



それに、断るって?



「断られても諦めないから」

「……そうなの?」


「お前が好きなこの顔をフル活用する」

「だから毎朝スムージーを飲んでいるの?」


……飲んでないけれど、これは飲んでたっていうべきなのか?。



「ちなみに顔をフル活用って?」


「女が夢みるロマンス系主人公から、男が喜ぶハード鬼畜系主人公までシナリオを色々用意した」

「怖っ!」


そうだった。


子どもがいれば咲羅は俺からもう離れられなくなるって設定のシナリオ(ハード鬼畜系)もあったじゃないか。


子ども、もういるじゃないか。

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