第6話

次に目を覚ましたとき誠がいた。


「ああ、誠だ」って思ったんだけど、何も話せなかった。


そのうち誠は部屋を出ていった。

直ぐに戻ってきたんだけど……あれは戻ってきたと言っていいのかな。


部屋に入ってきたのは『橘斗真』だった。

隣には『春沢杏奈』がいた。


何かと思えば『橘斗真』は「俺と離婚してくれ」って言ったの。



あのとき自分が何を言ったのか覚えていない。

でも気づいたら私と誠は離婚してた。



私は捨てられたんだって思った。

その瞬間、真っ先に浮かんだのが恨みだった。


ふざけんなって思った。


ドラマとかなら悪女は泣き崩れて終わるかもしれないけれど、私はそんなことするもんかって決意した。


私の中からは『橘斗真の妻』が消えていた。

だってもう『橘斗真の妻』はいない、離婚したから。


私は『橘斗真の妻』ではない。



でも、これで終わりにする気はなかった。


それで決めたの。

『真実の愛』に復讐してやるって。


死んでも許さないって。

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