第7話届かなかったギフト 心

すると、尻に なにかが当たった。

なんだろ?これ。ひびが入った白いちょうちょの模型が。

きっと ふたりが いたずらで ぼくの近くに しいたんだ。

けれども のらねこ お岩はびっくりしている。

「‥あれ。その ちょうちょのおもちゃ、壊れているよ。たすけ君が壊しちゃったの?」


なんで ぼくばかり。ぼくにばっかり!

責めるようなことを言うんだよ。

ぼくは その一言がくやしくて、

のらねこ お岩を突きとばそうとした。


「わっ。」

のらねこ お岩は よけようとして、転びそうになった。


ぼくのほうが つんのめりそうになってしまった、

けれども、いま、地面に放った、ちょうの模型に ねらいをつけて足先に力をこめる。

踏みつけようとする。

こなごなに くだける姿を想像した。

でも、袋から飛びだして、石けんのように、

つるっと滑っていっただけで、うまくいかなかった。


ちょうの模型を拾おうとする。

すると、ここにも、1枚の紙きれが。

袋に いっしょに はいっていたのに 気がつかなかったんだ。


『たすけ君に すぐるより』


これ、この ちょうの模型、

すぐる君が ぼくのために用意したんだ、きっと‥。

ぼくは、また、思い出していた。あの日のこと。

車の事故が起きる、すこし前のこと‥


ギフトショップに着いて、ぼくは2人と はぐれた。ひとり外のベンチに腰かけた。

すると、尻に変な感触があった。

座っていたところを見ると、

白いちょうちょの模型が置いてあった。

ひびが入っていた。 ぼくの‥せいか?

ちょうの模型を隠すように尻のポケットに入れる。しばらくして、木下のおじさんが行ったりきたりするのが見えた。

すぐる君がちょうの模型をどこかに置き忘れたのに気づいて、

木下のおじさんに探してもらっていたのかもしれない。そして、その後、あの車の事故が起きた。

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