第5

そうなんだ、その時その時の思いつきで動くただの旅じゃない、これは 確かにぼくの心のなぞをめぐる旅なんだ。

しばらくしてバスは市場前ー野菜を卸すところに停まった。どうして ここで降りたのか?

「すこし、歩いていこう。」

〝お岩に〟が行くほうは、川沿いの道だ、川沿いの道に入っていく、すると、ちょっとした憩いの場に着いた。

のらねこ お岩のように、ここにも のらねこが。

このあたりが海に浮かぶ1つの島のようにも見える。こんな場所があったんだ。


「田畑さん、いないな。あてが はずれたよ。」

〝お岩に〟が ぶつぶつ言いながら そこら中を歩く。田畑さんて ひとを探しているらしい。


これから ふたりは どうするつもりなのだろう?

そして、なにより、この ぼくは。

でも、道は続いているのだから歩くしかない。

あれ? ぼく、この道を知っている気がする‥。

いまと同じように、ぼく ひとりでなく、

あと、1人、2人ぐらいと いっしょに歩いていた気がする‥。この道はこの先にあるギフトショップに続く道だ。どうしてここに来たのだっけ?

ぼくは ぼうっとしてしまう。

ぼうっとしたら、向こうから来る ひとに ぶつかってしまった。前を見た、すこし上を見た。

胸には名前が書いてある、木下つとむ‥。

このひとが手紙の‥


「木下つとむ さんですか‥」

ぼくは自然に前に進みでていた。

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