第2話変わったふたり ーのらねこ お岩。白いぼうしの〝お岩に〟
廊下を歩き玄関に足をかける、
すると、台所の母さんの呼ぶ声がする、
残り少ないが きょうは まだ ぎりぎり夏休み、
学校に行くよう母さんに小言を言われることもないはずだ、だから ぼくは気にせず外に出ていく。
道には男の子がいる。けれど、知らない子だったので、ぼくは そのまま行ってしまおうとした。
「やあ。たすけ‥」
男の子は「たすけて」と言いたいのかな?
男の子は助けてもらいたがっている、
でも、ぼくだって、急にこんな場面に でくわして
困ってる助けてもらいたいうちの1人だよ。
男の子の声は続く。
「たすけ‥たすけ君。瀬戸際たすけ君。」
瀬戸際たすけ、だって? はっとした。
それって、ぼくの名前じゃないか。
なのに、なんで、男の子に名前を呼ばれるまで、
忘れていたのだろう。
瀬戸際たすけという名前を持ちながら、
いままで ぼくは 本当に だれかを助けたことがない。そういう気おくれがあるから、
ぼくは じぶんの名前を忘れていたのだろうか。
近ごろ ぼくは少し変なんだ、思い出だけでなく、じぶんの心まで どこかに置きざりにして
失ってしまった気がする、いつからか。
それでも なんだか懐かしい。
ぼくは前にも男の子に会っているのかな。
でも、次の瞬間には男の子は
もう ぼくの前からいなくなっていた。
かわりに、1枚の紙きれを残して。
きっと これは男の子が持っていた手紙、届けないと。空気中に消えていった男の子を追うように、
ぼくは前へいく。男の子に、追いつかない!
かわりに ぼくは変わった2人ー片方は のらねこ、もう片方は かかし?いや、かかしじゃない、
たぶん ひとだ、白いぼうしをかぶったひとだ、
この ふたりに出会うことになった。
変わっているけど いま頼れるのは
このふたりしかいない、ぼくは思いきって尋ねた。
「あの…。いま、ぼくと同じ背の男の子を
見ませんでしたか?」
ぼくの声に、のらねこが振り返る。
「なんだずら。だれだっち?」
ぼくの問いに答えたのは、のらねこのほうだった。
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