第1話瀬戸際たすけ

ぼくは暗い夜のしじまに

ひとり重たい ひつぎを抱えて立っている。

そんなイメージを見ている。これは夢?

これが本当だとしても、1度 過ぎてしまえば夢に思える。

どれだけ ぼんやりしていても、

ある1つの問いが ぼくに迫っていた。

「これまでの地球上、だれかを助けようとして

むしろ じぶんが犠牲になっていったひとは

どれくらい いるだろう?」

どうして こんなことが気になるのだろう?


「だれかを助けようとして

むしろ じぶんが犠牲になっていったひと」、

ぼくは1人知っている。

応援に駆けつけようとして飛行機に乗ったが、

飛行機とともに命を落とした、伝説の歌手のひと。


ぼくは目から涙がこぼれないように上を向いて歩く。

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