第12話「のらねこ お岩がいく」後日談

のらねこ お岩は、使い古して くたくたになった

ハンカチを手に持って、

白いぼうしの〝お岩に〟がゴールするのを待っている。


のらねこ お岩は立てふだのとなりに立っている。


とうきょうの天空の木がうっすら見える高台の森、その下に、

のらねこ お岩は立てふだを立てた。

その立てふだには、へたな鉛筆ながら

のらねこ お岩が じぶんでじぶんを描いた絵がある。(自画像)


その、のらねこ お岩が立てた

立てふだをゴールに見立てて、

白いぼうしの〝お岩に〟が1週して戻ってきた。

ハンカチを片手で振りながら、

のらねこ お岩は ゆかいそうに見ている。

「ずいぶん早いね。」


〝お岩に〟は 、しょんぼりしている。

「のらねこ お岩のおかあさんに であえなかった。」


のらねこ お岩のおかあさん。


「お母さん、わての大事なおかあさん‥。

どうして わてを置いて ひとり

どこかに行っちゃうの。

わて、のらねこ お岩は いみ嫌われてるんだ、あんな薄汚れた白い毛玉もう いらないって、見捨てられたんだ。だから きっと‥」

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のらねこ お岩がいく のらねこ お岩。白いぼうしの〝お岩に〟 @018

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