"訝しむようにスピークイージーが眉を顰める。その直後、地響きのような音がして、遅れてやってきた衝撃が施設全体を激しく揺らした"
具体的であり、人物の心が動きで表されていて大変好みです。
"「全員、耳栓の用意はいいっスか? それ無くしたら陽歌ちゃんの『歌』の影響をモロに受けるっスから……特に成仁が耳栓なくしたら《同害報復術レクス・タリオニス》の効果で陽歌ちゃんがダウンして作戦自体が瓦解するんで、気をつけるように!」"
ここを読んでいて、ふと、気づきました。大人が主要人物として扱われてたことありましたっけ……もし間違っていたら本当に申し訳ないのですが、明確に、社会的のある、という意味の大人であるのは先生くらいでしたか……?
"まったく人使い……いや、狼使いの荒い奴だぜ"
かなり彼のことが個人的にお気に入りです
"彩香の影からぬるりと姿を現したチェルシーは、深く息を吸うとその拳を壁面に叩きつけた。たった一撃でその壁はひび割れ、粉々に崩れて人が通れるくらいの穴"
showで大変没入感があります……!
"どこの『組織』の放浪者ノーマッドだ"
口語的であるか、という批評基準から見ると、""どこの放浪者だ""になってしまうのが残念なところです。ミソは"組織"という単語だと感じております。こういうのがいいんですよね……?!
"彩香も遅れて目の前が揺らぎはじめ、バランスを保とうとして壁に手をついた"
showとtellが読者のために融合された、わかりやすくも没入感のある文です……!
"そして、もう二度とその感覚を思い出すこともない"
あぁ…………
"初代理事長が『晨星のようにいつか来る夜明けを辛抱強く待てる人になってほしい』って意味でつけたんだって"
こういうのが好きです。人物や出来事に意味が付与されるからです。
"スピークイージーが、戯けるようにそう言った"
前回か前々回でも抜粋しましたが、""戯けるように肩をすくめた""もしくは""口をとがらせた""という、"言う"が動作に代替されることによって"言う"という意味が成立するのが好きです。ただ、ラノベしか経験がない方は、それでも誰の台詞がわからず混乱するようです……読者層次第ですね……
"彼の目算に狂いはなく、この距離で射線を読まれるわけがない""今までこの距離からの射撃を一度も避けられたことがなかったからだ"
最終話ですので、また以前と同じお話を。それを理解できる短い出来事があると対比ができて、どちらも際立たせることができるため、積極的に取り入れてみてくださいね!何度も命中しているシーンが続いて、急に当たらない描写があると、カタルシスは段違いのはずですから!ただ、今作の構造だと、増築的に入れ込むことになって形が悪くなるので、あくまで次回から……!
"これ以上当たらない弾を撃つとか"
このレトリック大変好みです。もっと使っていきましょう!私が喜びます……笑
"危ないなぁ~、今のはわたしじゃなかったら大怪我してたよ?"
コミュニケーションにおいて、冗談というものが有効かと思います。物語、創作においても、もちろん冗談は効果的です。しかし、冗談である、という声質、表情などの情報がない、冗談をよく言う、という描写がツッコミ的にないと、演出的な台詞に見えて、浮いてしまう可能性があることは覚えておいてくださいね……!個人的に、冗談に誰かが反応するシーンが好きです。冗談に冗談を被せるのは、人物描写の技量がなければやはり浮いてしまうので……うーん……私は面白いものが好きと言うより、難しい、というものが好きなのでしょうか……?そんなことがあるとは、自覚がないので信じられませんが……
"強い口調で言い返された日高は、驚いたように口を噤んだ。
「最初に会った時から日高が何を考えてるのか、僕には全く分からない!」"
レトリックは傍に置きますが、シーンとしては映えるので、好きです。
"三十過ぎに見える男が立っていた"
私が、年齢や大人の描写を見落としていたということですか……?すみません……読み落とさないという慢心があったようです……
"「――世界は、正しさだけで回らない」"
テーマから外れてしまいますが……正しくないか正しいかというその判断基準、個人的にお伺いしてもよろしいでしょうか。拙作の大きなテーマの一つです。
"『理解できないから人は争うことができる』"
理解してしまったがために争いになる、なんてことを考えてしまいます……
"少なくともあたしはこの行動に意味を見い出してる"
批評の基準から、最も素晴らしいと言えます。それを導出してくださり、ありがとうございます。
"額に嫌な汗が浮かんだ"
tellとshowの繋ぐ描き方で、前述の通り好きです。
"死者一名、重軽傷者十八名……その内重傷者一名は放浪者ノーマッドですらない民間人であった"
対比的であり、強調がなされていて大変好みです。
"……大丈夫。そんなことしなくても、わたしたちはきっと同じ空を見てる"
これは個人的に心に響いています……「同じ」という単語に対してです。
"後にはただ、静寂に包まれている寂れた神社だけが、ポツンと残されていた"
同じく、レトリックはともかくシーンとしてかなり好きです。
"はぁ〜♡ そういう曖昧なものを綺麗に言語化されんのたまんない♡ その上で理解できないギリギリのラインを責められたらっ! はぁ……もうダメ、しゅきぴ♡ か?"
こういうシーンこそ、積極的に人物の動きを増やしてみてください。"日高は上体を起こしてベッドから飛び降りてそっぽを向いてしまう"
だけでなく、より、細かく、もしくは大胆に、カタルシスを与えるためです。
"一緒"
「同じ」と同様、この単語が積極的に用いられているのが大変良いです。
"カーテンから薄く漏れる光が、夜が明けたことを告げる。
それは文字通りの夜明けという意味だけでなく、自分を偽善者だと思い込んでいた一人の少年の悩みが、終わりを迎えたことを意味していた"
こここそ、tellは全て削ぎ落としてしまっても良いように感じますが、その文構造こそ、この作品の体現でもありますから、一貫性があって好きです。映像作品だと、文字が使えないためより詳細な工夫は必要ですけれども……!
全体的に、読みやすく、学生さん向けに書かれていると感じることができました。補助輪付きで、学生読者を後ろから押してあげるような具合です。
社会集団における生存の中で、よく主題にされることのある、同化と異化がラノベ的に描かれていましたね。真弥と美知の関係の行末を、他のキャラクターたちを用いて、同じ構造を取ることで示していらっしゃいました。真弥と美知が、他の対になったキャラクターたちと同じになるために何が必要か。また、他のキャラクターたちがそうなるために、真弥と美知が向き合ったような関係の、進む速度に違いはあれど逆照射をするような関係にありました。
次に、シーンの見せ方としては、強弱をつけている場面はあるものの、洗練の余地を感じさせるようなムラがありました。シーンを強く見せたい場合、形容詞や副詞を徹底して排除するといいでしょう。すると自然に、日本語では、「〜のように」するという語彙選択が増えてくることでしょう。形容詞と副詞を排除することは、動きを具体的に表現することにつながるからです。
次に企画から抜粋して
『読者との対話
受け手を意識した構成(一方的な独り言ではなく、読者との相互作用を生むか)
受け手への配慮の有無(読者がどう受け取るかを考えた工夫があるか)
感想や批評への応答姿勢(作品は作者だけのものではなく、読者と交わる場であるか)』
についてです。
異化と同化、正義や偽善を主題としていたり、近しいもの、それらが大きく前面に出る場合に、私が引っ張り出してくる基準です。
抜粋した評価基準について、ほとんど関心がない人の多くは、解釈の余地、受け手によって解釈が変化することを好みます。
以前、あなた様と私の物語の見せ方の違いについて、話題とすることがありましたね。「どう生きたいか」と「どう生きるか」です。覚えていらっしゃいますか。
より正確に言うと、「"私たちは"どう生きるか」であり、さらに正確に言うと「私たちは、どのような生きる方法があるか」という視点と書き方、社会との接続を重視しております。
社会との接続。これを分散させると
『読者との対話
受け手を意識した構成(一方的な独り言ではなく、読者との相互作用を生むか)
受け手への配慮の有無(読者がどう受け取るかを考えた工夫があるか)
感想や批評への応答姿勢(作品は作者だけのものではなく、読者と交わる場であるか)』
という言い方になります。
『「『正義』とは何か……抽象的な質問だな、それは俺個人の見解か? それとも組織全体としての意見か?」』
『「大多数の一般人のために少数の放浪者ノーマッドを切り捨てるか、少数の放浪者ノーマッドのために大多数の一般人を見捨てるか……俺たちがやってるのは、どっちの方がマシな間違いかを選ぶことなんだよ」』
『けどいつの時代も、少数派の意見を無視し続けた体制は滅んだ』
『「……真弥に感謝しなよ。出会う前だったら、間違いなくこのまま殺してた」』
『死者一名、重軽傷者十八名……その内重傷者一名は放浪者ノーマッドですらない民間人であった。以上の犠牲を以て、第六研究所をめぐる攻防戦は、収容されていた全ての放浪者ノーマッドを全く損害を受けずに解放した、薔薇園ローゼンハイヴ陣営の勝利に終わった』
ここに焦点が当たります。
社会性とその機能の入門としては十分効果を発揮しております。ややその入り口への誘導が少しばかり弱い部分もありますが、その弱さが誤解を招く恐れがあります。初級者のための、という意味のラノベ的物語として、ご注意ください。
このような文化の積み重ねが、社会を形作ります。エンタメも重要ですが、社会との接続性を忘れないようにしてくださいね。
話は戻りますが、作中組織の紋章のように、世界観の深掘りもあるとより、あなた様の作品を好きになってくださる方は増えるでしょう。あとは、今あるものを大きく伸ばすことで、きっと、あなた様が届けたいと思っている方々へ、よりたくさん届けることができるのではないかと思います。さらになにより、あなた様自身が、より自分の作品を好きになれると思います。
そして、終幕。期待していた結末を大きく盛り上げるために、贅沢に道のりを飾っていらっしゃいましたね。期待された結末に応えるための、その結末は、大変、心地の良いものでした。とても満足感が高かったです。ありがとうございます。
そしてあなた様との批評を通じて、ラノベのあり方について深く学ぶことができました。このご縁と、あなた様のご協力に、心の底からお礼申し上げます。
本来近況ノートにて失礼ながらお願いすることを、ここでさせてください
あなた様のお力になることができたのであれば嬉しく思いますが、最大限の助けとなっているのか不安でもあり、自らの助力を肯定できないようでは、と己の未熟を恥じるところであります。
私の批評に足りないところはありませんか。満足できないことがあれば、ぜひおっしゃってください。必ずや応えて見せます。
大変ぶしつけではありますが、企画の趣旨通り、拙作へフィードバックをお願いしたく存じます。
『異世界徴税官』です。こちらの作品は、特定の人へ向けて作られたものです。
あなた様がお持ちであるその"まなざし"をターゲティングしております。ただ、情報収集とその分析の耐高負荷である人かどうかもターゲティングの対象ですので、大変読みづらくなっております。
私があなた様へ助言をしたことが実践できているか、作品そのものがどう在るのかという批評をいただきたいと考えております。
長いお話ですので、抜粋し、主題には関わりつつも関係の薄いサブストーリーを提案させてください。
第1話 返納祭開幕 (任意)
第9話 抵抗:傾倒
第14話 生き方
第 話 心の中の夜
第20話 恥
第33話 引き抜かれた舌
第 話 別れたように見えていた道
第46話 夜更かし (下から数えて28行目から)
3000年後
最終話 (任意。3,000年後の部分にて読み進めるかどうかの警告あり)
のフィードバックを、厚かましくもお願い申し上げます。
もし、読み方に迷いが生まれた場合は、『くっっっっそ絶対超重要(読まないと本作の読み方に迷いを覚える)』を戻ってお読みすると、読みやすくなる可能性が高いです。前提として、非常に読みづらく、その読みづらさで読み進めるべきではない人に踵を返してもらうような設計になっているため、ラノベ的評価軸による読みやすさの批評をもしもする場合は、具体的で相対的な数値であると把握がしやすくて嬉しいです(たとえば、"この部分の読みづらさは10点満点中9点"など)
各話数合計は約2万字です。1話1話のフィードバックは嬉しくもありますが、絶対にあなた様を煩わせてしまいますので、最後に読んだ部分にて、その総評をお願いしてもよろしいでしょうか。
色良い返事であると、恐縮ではありますが、飛び跳ねる心持ちになります……!
作者からの返信
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
後で気がついたのですが、私は初め指定箇所などないと言ったので、もしかしたら途中までしか読んでもらえない可能性もあったのに、最後まで楽しんでもらえたようでとても嬉しくおもいました!
"ここを読んでいて、ふと、気づきました。大人が主要人物として扱われてたことありましたっけ"
登場したのは、現状スピークイージーくらいですね。
この物語の中では大人に頼ることができない状況が多かったためというのもありますが、あくまで日高と真弥、成仁と唯、凌子と灯理といった人物たちの心の機微を描くために敢えて除外したというのが実際のところです。
逆に下手に大人が登場することで没入感を損ねることを危惧してのことでした。
"口語的であるか、という批評基準から見ると、""どこの放浪者だ""になってしまうのが残念なところです"
確かにここは私もそう思ったのですが、彩香に銃を向けている相手からすれば、攻撃を受けている→相手は徒党を組んでいる→どこかの組織の攻撃に違いない→ならこいつはどこの組織の放浪者なんだ? という思考回路の結果、このような台詞回しになりました。
"あぁ…………"
浅木彩香、このキャラクターは理解しようとする深山真弥に対する対比でもあるんですよね。
自分と違うものを受け入れるのではなく、自分と同じようにするというところが特に……。
"前回か前々回でも抜粋しましたが、""戯けるように肩をすくめた""もしくは""口をとがらせた""という、"言う"が動作に代替されることによって"言う"という意味が成立するのが好きです前回か前々回でも抜粋しましたが、""戯けるように肩をすくめた""もしくは""口をとがらせた""という、"言う"が動作に代替されることによって"言う"という意味が成立するのが好きです。ただ、ラノベしか経験がない方は、それでも誰の台詞がわからず混乱するようです……読者層次第ですね……"
ここは反省点の一つとして、受け取っています。
その内"言った"や"した"といった表現をできるだけ減らせるようになりたいですね。
"コミュニケーションにおいて、冗談というものが有効かと思います。物語、創作においても、もちろん冗談は効果的です。しかし、冗談である、という声質、表情などの情報がない、冗談をよく言う、という描写がツッコミ的にないと、演出的な台詞に見えて、浮いてしまう可能性があることは覚えておいてくださいね……!"
ああ、そのように感じてもらえたなら幸いです。
このシーンは六川灯理の強さと、少しズレた冗談というのが掛かっていて、演出的=どこか芝居掛かった言動に見えるように作っていました。
この圧倒的な存在が登場した時の、異質感というものを表現するための技法として取り入れていました。
"レトリックは傍に置きますが、シーンとしては映えるので、好きです。"
ここのレトリックは上手く機能していたでしょうか? 個人的には日高が初めて不法侵入したシーンとかけていたのですが……。
"私が、年齢や大人の描写を見落としていたということですか……?すみません……読み落とさないという慢心があったようです……"
スピークイージーの容姿の描写は、あまりしていなかったような気もしますので、これは作者である私のミスかもしれません。
"テーマから外れてしまいますが……正しくないか正しいかというその判断基準、個人的にお伺いしてもよろしいでしょうか。拙作の大きなテーマの一つです"
何を持って正しいとするか……難しい質問ですね。
前に関係性に名前をつけるのは、他者理解としては正しくないが、自己救済としては正しいというお話をしたことを覚えているでしょうか?
私はある一方面からでは正しくなくても、ある一方面では正しいものもあると考えております。
例えば、この世界では日高という怪異を野に放つのは社会的に正しいこととは言えません。
それはプロローグで本物の日高美知を取り込んだことや、錦織麻衣やレプリカント隊との戦闘描写を見ていればその危険性は明らかです。
ですが、真弥の視点から見れば是非もなく日高のことをことを捕まえるというのは正しい行為ではありません。
何故なら、日高が誰よりも人らしくあろうとしていることを真弥は知っているからです。
このように、正しさはほんの少し視点が変わるだけで矛盾するものなのです。
なので月並みな意見としては、物語の中で重要視すべきなのは何か? 何を問う物語なのか? というところに落ち着きます。
ですが私は物語を描く場合、登場人物の中でその行動に『納得』しているか、真弥のように善悪ではなく自分の信じた道を貫けるかどうかを指標にしています。
"理解してしまったがために争いになる、なんてことを考えてしまいます……"
はい、残念ながらそれもまた事実です。
ですが理解できないものを排他するのと、理解しあった末に衝突するというのはまた別の問題だとも思っています。
後者はお互いに納得した上で同じ土俵で争う道を選んでいるので、納得できるかどうかに主軸を置くならばそれもまた一つの答えなのです。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎いし、愛しさ余って憎さ100倍ということもあるということですね。
"批評の基準から、最も素晴らしいと言えます。それを導出してくださり、ありがとうございます"
怪異から人間への成長として、これ以上ないほどの回答だと私も思っています。
"これは個人的に心に響いています……「同じ」という単語に対してです"
それはよかった、このシーンは同じであるならば空でなくても構わないので……その本質に気づいてもらえて嬉しいです。
「同じ」と同様、この単語が積極的に用いられているのが大変良いです。
この物語のテーマを象徴している言葉ですからね。
登場人物たちの悩みの答えと言えます。
こここそ、tellは全て削ぎ落としてしまっても良いように感じますが、その文構造こそ、この作品の体現でもありますから、一貫性があって好きです。映像作品だと、文字が使えないためより詳細な工夫は必要ですけれども……!
確かに、私の作品は映像作品としてよりも文章の読みやすさなどを意識しているせいで、そういう部分はおざなりになっていると言えますね。
全体的に、読みやすく、学生さん向けに書かれていると感じることができました。補助輪付きで、学生読者を後ろから押してあげるような具合です。
ラノベ文化から生まれた作品なので、そう感じ取ってもらえて嬉しいです!
"社会集団における生存の中で、よく主題にされることのある、同化と異化がラノベ的に描かれていましたね。真弥と美知の関係の行末を、他のキャラクターたちを用いて、同じ構造を取ることで示していらっしゃいました。真弥と美知が、他の対になったキャラクターたちと同じになるために何が必要か。また、他のキャラクターたちがそうなるために、真弥と美知が向き合ったような関係の、進む速度に違いはあれど逆照射をするような関係にありました"
その対比が受け取ってもらえたようで、とても安心しました……。
"社会性とその機能の入門としては十分効果を発揮しております。ややその入り口への誘導が少しばかり弱い部分もありますが、その弱さが誤解を招く恐れがあります。初級者のための、という意味のラノベ的物語として、ご注意ください"
確かにラノベとしては複雑で、同時に文学としては中途半端であると言えますね。
この割り切れなさをどう活かすか、というのが今後の課題になりそうです。
"話は戻りますが、作中組織の紋章のように、世界観の深掘りもあるとより、あなた様の作品を好きになってくださる方は増えるでしょう。あとは、今あるものを大きく伸ばすことで、きっと、あなた様が届けたいと思っている方々へ、よりたくさん届けることができるのではないかと思います。さらになにより、あなた様自身が、より自分の作品を好きになれると思います"
一応完結済みとしてはいますが、賞の結果がどんなものであっても続きを書くつもりではいるので、せっかくの設定を活かせればいいと思います。
"そして、終幕。期待していた結末を大きく盛り上げるために、贅沢に道のりを飾っていらっしゃいましたね。期待された結末に応えるための、その結末は、大変、心地の良いものでした。とても満足感が高かったです。ありがとうございます"
そう感じてくれたなら、作者としてこれほど喜ばしいことはありません。
改めて、最後まで読んでいただきありがとうございました。
"そしてあなた様との批評を通じて、ラノベのあり方について深く学ぶことができました。このご縁と、あなた様のご協力に、心の底からお礼申し上げます"
こちらこそ、文学としての批評や質問など、興味深い経験をさせてもらいました。
むしろこちらの方こそお礼をさせてください。
"あなた様のお力になることができたのであれば嬉しく思いますが、最大限の助けとなっているのか不安でもあり、自らの助力を肯定できないようでは、と己の未熟を恥じるところであります"
実は最初の頃の批評の方が好みだったのですが、段々と柔和な対応になっていったのはそれだけこの作品を面白いと思ってもらえたからだと思っていて、実は少し嬉しくもありました。
"私の批評に足りないところはありませんか。満足できないことがあれば、ぜひおっしゃってください。必ずや応えて見せます"
強いて言うなら、レトリックが上手く伝わっているか、機能しているかどうかというところを教えてもらえれば嬉しく思います。
"大変ぶしつけではありますが、企画の趣旨通り、拙作へフィードバックをお願いしたく存じます"
もちろんです! 力不足かもしれませんが、できる限りのことをしたいと思います。
第七章『星の灯る空(Evening Starry Sky)』への応援コメント
"自由に思考できることと同じくらい、貴方のことが好きです"
A=Bのレトリックが用いられていて好きです
"一つは灯台の灯りの部分に目が描かれたマーク、二つ目は周囲を茨いばらに囲まれた薔薇の花のようなマーク、そして三つ目は両刃の剣によって組まれた十字のマークである"
象徴の付与があり、大変良いです。この象徴が用いられるたびカタルシスが得られる演出、があるのかと期待してしまいます。
"そして最後大聖堂カテドラルは"
口語の助詞抜きがあって大変好みです
"現実の政治と同じように改革派、保守派、強硬派の三種類の勢力がいる"
一般読者に優しいですね
"さっきから出てくる放浪者ノーマッドってなんだ?"
一般読者に優しくない……笑
言葉として明示されたのはここが初めて……ですよね……笑?
"小脇に抱えた数枚の書類を錦織デスクの上に置いた"
やはりこういうのが好きです
"空に夕暮れと夜を隔てる境界線が引かれていた。だが決してその境界線はクッキリと分かれているわけではない"
あ……!これですよこれ!これが頻繁に用いられると大変好みですし、物語の意図や伝えたいことを、事象として自在に操ることができます!
"小さな声で真弥は唾棄だきする"
tell的な語りでも、好きなものがあります。それは、""と言う""などの動詞を使わずに声や台詞があったことを意味しているものです。
"「さぁ……それはどうかな〜?」
わざとらしく目を逸らす六川を見て、真弥は思わず吹き出した"
こういうの好きです。
少し批評から外れますが、家族、兄弟、親戚、などのような、名前のついた心の距離感を推奨していません。それが他者理解の実践になるからです。どうお考えですか。
"半身で振り返りながら首をかしげる"
やはりこういうのが好きです
作者からの返信
"A=Bのレトリックが用いられていて好きです"
この言葉遊びが上手いこと伝わってよかったです。
"象徴の付与があり、大変良いです。この象徴が用いられるたびカタルシスが得られる演出、があるのかと期待してしまいます"
このマークはカッコよくて自分でも気に入ってるので、続きを書くときに上手く使えたらいいなと思います。
"一般読者に優しくない……笑
言葉として明示されたのはここが初めて……ですよね……笑?"
そうですね、まあする余裕も暇もなかったというのが一番の理由です。
何より、放浪者ノーマッドについて知っているキャラクターが既に知っているキャラクターに説明するのは不自然ですからね。
致し方ありませんでした。
"あ……!これですよこれ!これが頻繁に用いられると大変好みですし、物語の意図や伝えたいことを、事象として自在に操ることができます!"
これに関しては、今までの『間違っていないけど正しくない』という一つのテーマを書き続けたからこそ、出てきた表現ですね。
"tell的な語りでも、好きなものがあります。それは、""と言う""などの動詞を使わずに声や台詞があったことを意味しているものです"
ただ言ったのではなく、どういう風に言ったのかが重要ということですね。
実際とても効果的なので、増やしていければいいな〜。
"少し批評から外れますが、家族、兄弟、親戚、などのような、名前のついた心の距離感を推奨していません。それが他者理解の実践になるからです。どうお考えですか"
確かに仰る通り、他者理解の方法として関係性に名前をつけるということは正しくないでしょう。
そもそも家族、兄弟、友人などのように関係性に名前をつけるのは、この人は私にとってこういう人物であるというレッテルを貼ることに等しく、他者を理解する方法としては決して効果的とは言えません。
しかし自己救済の方法としてはとても効果的だと思います。
何故なら関係性に名前があることによって、集団に属する安心感と自分が必要とされているという充足感を手に入れることができるからです。
もっとも、それが集団同士の衝突や集団からの孤立を生むというジレンマも抱えています。
とても利己主義的な考え方ではありますが、私はあえて他者理解ではなく幸福論という別の正しさを提示したいと思います。
第六章『いずれ灯りを凌ぐ(Witch of Truth)』への応援コメント
そういえば、私はこのように批評をしておりますが、私の批評に対するフィードバックがなく、少々困っております。どこを改善すればいいのか、どこを維持すべきか、ひとりでは判断できない部分があります。素直なお言葉をいただけると、より良い批評ができるのでおっしゃってくださると嬉しいです。私の書き物も、批評の内容を体現できているのでしょうか。
"ガンダムシリーズ"
おお……!私が求める水準でハイコンテクストなので、大変好みです
"なので、私の物語の好みは登場人物の行動や言動に違和感がないかということに集約されていると思います"
ありがとうございます。では、これからそれを✳︎と定義して、そこに着目してみたいと思います。
"媚びなくちゃいけないような相手は友人ではない"
名前のついた距離感と、そうでない距離感について、あなた様にとって興味が引かれるものはあるでしょうか。たとえば、友人というラベルの心の距離感にも遠近感があるようにです。
"当時の六川灯理は、今のように社交的な性格ではなく、常に周囲の人間の顔色を伺うような子供だったという。今の六川を知る人間からすれば信じがたく"
省略!
以下✳︎
"六川に宿題を押し付けたり、荷物を持たせようとしたりといった具合だ"
それを思わせる描写は、なかったように思われますが、私好みとしては、短くとも、なんでも受け入れているように見えるシーンがあった後、対比として無理な要求を断るシーンがあると、納得感がじわじわと強くなるでしょう。逆算と順算を組み合わせて物語を作ると上手くできるかと思います。
"凌子は顔を上げて蟻の列から目を離すと、六川の方に顔を向けてにっと口の端を吊り上げ"
showが用いられていて大変没入感が高いです……これが好きなんですよね。
"二人の間で共通の話題ができたことが嬉しかった六川は、夢中で魔術にのめり込んだ"
共感できるため深い納得感があります。
"羊皮紙"
実物を目にしたことがないので、大人の自分ですらみたことないものを持つこども、という状態に愉快な笑いが込み上げてきました。なんか好きです笑
"全て家から無断で持ち出したもの"
ふふ……安心しました笑
"凌子はその場で膝をついて四つん這いになった"
show!
"凌子は全身の血液が沸騰するような感覚に"
この具体的さが好きです
"切断面からは行き場をなくして地面に血液が広がっていく"
作風に合わないと思いますが……刺激を強める方向で組み立てるなら、心拍に合わせた出血の強弱で焦りが組み合わされると没入感がより増すでしょう。今でも十分、手に汗握っております。私はもっとびしょびしょになりたい質でして……苦笑
"大切な友人ではあっても対等な友人ではなくなっていた"
心惹かれます。その心の距離感を表す姿勢に。
ところで、やはり、物語におけるレトリックは重視せずとも、人物の見た目描写頻度は高い方が良いように思えます。動きがある場面では、積極的に人物の鍵的身体特徴を描写してみてはいかがでしょうか。前も言いましたっけ……?頻繁に言及しているのでどこで言ったか覚えづらくなってしまっております。すみません。足がなくなる場面では、緊張の汗で髪がへばりつくとかあると私が喜びますし、笑みが描かれる場面で目の色についても描写があると私が喜びますし、唇の色ですとか大きさですとか、身につけている装飾品もあればなおいいですし髪の感じですとか。
"軽く頭を下げながら、銀髪の"
一回初めて出る時は描かれるのですが、それ以降は省かれがちですからね。幸い成仁は印象深かったのですぐ彼だと気づけましたが、それでも何度か描写されているとこの場面のカタルシスが強くなりますからね……!
"午前中にバイト入れたらこの時間に間に合わなかったんで、その分昨日の夜にシフト入れたんスよ。ただまぁ、正直夜勤明けなんでスゲェ眠いっス"
日本の現代語に近い場合、よく行われる助詞抜きがあると口語的で大変私好みです。匿名が保証される場だとそれが読みづらいと言われますがね……私は助詞抜きが好きなのです。ここは……個人の好みすぎるのでしょうか……?
"思いっきり机を叩きながら、剣崎が立ち上がる"
show!
"ふんっと鼻を鳴らしながら〜だから今は一つでも多くの可能性を残しておきたい。そのために、みんなの力をわたしに貸してほしい!」"
ここからここまで、よく読まれている星千以上のラノベの書き方がされているように思えます。表情はshow過ぎて伝わらないことが起きないように、tellの感情語が用いられており、説明的で、おそらく一般読者には読みやすいと感じたでしょう。
"凌子は太ももから先のない自分の足を撫で"
show!感情移入ができて大変良いです。何を思い浮かべているのかも合わせて、大変好みです。
作者からの返信
"私の批評に対するフィードバックがなく、少々困っております。"
それは大変申し訳ない!
批評に対する批評が欲しいというわけですね。
分かりました、であれば、私の好みも含めて返信していければと思います。
"おお……!私が求める水準でハイコンテクストなので、大変好みです"
そもそも、私が物語を描き始めた動機が自分が面白いと思える作品が読みたいと思ったことがスタートで、その基準がガンダムシリーズでした。
なので、第五章『日が沈む前に』の集団戦の連携の描写や、戦闘時の台詞回しなんかはかなり影響を受けていますしらあとは六川灯理の能力もニュータイプが元ネタだったりします。
組織や思想の対立もここから着想を得ているので、私にとってガンダムはバイブルのようなものですね。
"名前のついた距離感と、そうでない距離感について、あなた様にとって興味が引かれるものはあるでしょうか。"
名前のついた距離感とそうでない距離感をどう受け入れるかということは、確かに興味を引かれますね。
少しテクストとは逸れますが、被害者であり加害者、敵であり友達でもあるといったような、矛盾を孕む概念がわ私はとても好きです。
そして何より、知恵と勇気を持ってその矛盾に挑もうとする人間がわたしはとても好きです。
"それを思わせる描写は、なかったように思われますが〜納得感がじわじわと強くなるでしょう。逆算と順算を組み合わせて物語を作ると上手くできるかと思います。"
ここですね、ここは少年漫画の過去回想を長引かせないという書き方を真似たものです。
機能しているかどうかは不明ですが、主題ではないので、敢えて省略致しました。
私は過去回想をなるべく省きたい傾向があり、どれだけ手早く伝えられるか? という所を目指しています。
分かりやすく、且つ混乱しない情報の提示という所を目指しているので、もしかするとかなり批評の対象から外れているかもしれません。
"心惹かれます。その心の距離感を表す姿勢に。"
あぁ、この微妙な距離感が伝わっていて嬉しいです
この作品全体の雰囲気として、この祈りと皮肉のギャップというものを意識して書いています。
能力名も、その持ち主の在り方に対する皮肉として書かれています。
"ところで、やはり、物語におけるレトリックは重視せずとも、人物の見た目描写頻度は高い方が良いように思えます。"
私が容姿や細かい描写が省きがちなのは、私が物語の中で必要かどうかで判断していることが多いからだと思います。
物語の展開にこの描写は必要か? こんな細かい所まで説明している余裕(賞に応募する際の文字数制限)があるのか? そして何より、今ここで情報量を増やすと物語の展開を読者が忘れてしまわないか? そういうことを心配してしまい、あまり描写量を増やせないんですよね。
結果として総文字数が12万文字まで来てしまったので、マジメに描写を細かくする余裕はなかったのですが、これは物語が複雑すぎるせいなのか、それとも単純に情報量が多いからなのか……イマイチよく分かっていないんですよね。
"それでも何度か描写されているとこの場面のカタルシスが強くなりますからね……!"
先ほどはあんな風に言いましたが、ここに関してはわたしも激しく同意します。
設定ばかり練ってばかりいたせいで、最後の最後で爪の甘さを露呈させてしまいましたね。
とはいえ、どこで容姿を描写されば良かったのかというのは気になりますね。
"心惹かれます。その心の距離感を表す姿勢に。"
あぁ、このすぐそこにいるのに、どこか心が遠くなった微妙な距離感の変化に気づいてもらえて嬉しいです。
"ここからここまで、よく読まれている星千以上のラノベの書き方がされているように思えます〜説明的で、おそらく一般読者には読みやすいと感じたでしょう。"
そう受け取ってもらえたなら、とても嬉しいです。
ラノベを意識して書いているのに、かけ離れた物が出来上がったら一大事ですからね!
第五章『日が沈む前に(Night Fall)』への応援コメント
"日高は大変ご立腹であった"
"だからこそ日高はあんなことを口にしたのだが、当の真弥には全くと言っていいほどその思惑は伝わっていなかった"
以前に指摘した項目については、抜き出すだけで内容は省いていきます。ちょっとわかりづらくなるはずです。すみません。
"真弥の容姿の好みは追々探るとしても 〜自分のことを好きになってくれるかもしれない"
一応私も、外付け的ではありますが、ラノベ文化的な評価軸がないわけではありません。おそらく、そのラノベ文化から見ればきっとここと、ここに似た部分は良いもののように思えます。私の主な評価軸ではないので相対的な話になりますが、私なら省かれても読み取れてわかることをラノベは説明的に書き、一般的な文法に則っているかどうか、言い換えて、わかりやすさ、考えなくていい、ストレスが少ない、という評価軸があるように思えます。おそらく、そこに照らし合わせれば高い評価を付与できそうす。
"人間というのは自分達と違う考え方の存在や、理解できない存在に対して極端に恐怖や嫌悪といった負の感情を抱くということ"
ちょっと批評からずれて、また私の関心ごとの話になってしまうのですが、""で抜かれた部分は、読者へどのような効果を期待して、ここの場所に置きましたか。
"あ・た・し・の話を聞いてほしいんだ"
私は強調ない方がしびれるタイプですが、おそらく一般読者はここぞという強調にしびれる方が多いように感じます。好みの問題でしょうね。さすがにこれは少数派的な私の感覚です。しかし、強調がなくとも読者が受け取れる作りであれば、きっとどちらもしびれさせるような物語があるのでしょうね。
"まったく人の気配がしないというのは明らかに異常だからだ"
"嫌な予感がして、日高は"
省略!
"即ち、チェーンソーであった"
批評から逸れる個人的な興味ですが、刃物としてどの程度の効果を想定していますか。演出的な一般共有された効果でしょうか!
"あっさりと切断され"
あ……ここにありましたね。
"切断された布が内部機材に絡まり、刃の回転を停止させる"
こういうのが大変好みです。
作者からの返信
この辺りから、本格的にラノベ的な書き方が増えてきます。
単純に私の物語の好みの問題と、文章力の限界ですね。
"人間というのは自分達と違う考え方の存在や、理解できない存在に対して極端に恐怖や嫌悪といった負の感情を抱くということ"
一つは日高が『人を喰う怪異』であるという評価を覆すためのシーンです。
彼女なりに人間というものを学ぼうとするつもりがあり、そのことについて悩んでいることを描くことで、心境の変化を表すシーンです。
その一方で、人と違うことによって得られる恩恵(怪異としての権能)とそれによって生まれる差別などを他の章で描き続けていたことで、ようやくこのテーマがしっかりと機能すると思っています。
"即ち、チェーンソーであった"
全く主題とは逸れるのですが、チェーンソーはキックバックという刃が跳ね返る現象が発生するので、こういう武器としては使えないそうですね。
個人的にもチェーンソーって持ち運びにくそうだし、何より音が大きくて隠密にも向かないので、個人的に武器として非常に微妙だと思っています。
でもロマンは感じるんですよね。
例えるなら、わざわざ軽トラやスポーツカーに乗る感覚でしょうね。
第四章『唯、仁を成す(Black Sheep)』への応援コメント
"腰まで伸びた綺麗な銀髪の少年"
社会的な厳しさから返事を濁していたと思っていたのですが……ここに着地するんですね……笑笑してやられました。
"やだ! 開けて! ここから出して!"
感情的に引き込めるシーンでは台詞を使わずに動きのみで表すのはいかがでしょうか。
『Renet: 自由を与えられた少女のホームステイ日誌
チャーハン@新作はぼちぼち
』より、第4話 問いから引用いたします。
"それはまるで、砂利を噛んだ口で喋っているような――粒立ちの悪い苦みが、舌の裏に残るような感覚だった"
不快だった。「なんだか気味が悪い」と書くよりも、没入感が増すと考えます。語感に働きかけるものであり、よって感情移入的な共感が働くからだと推論します。
そのため
""服は体中に張り付く。開かない扉を押し引きするたび、ぐじゅっと靴から水が溢れてくる。叫ぶ成仁の声は、人気がないような空気を震わせて響いた""
と、感情を大きく動かしたい場面では、おそらくこの方が効果的なように思えます。人気の商業作家は、普段はtell的な書き方で、感情的なダイナミクスを演出する時、showへと意図した切り替えが見られます。この部分だけでなく、そのダイナミクスの始まりから終わりまで、と一部だけではなく全体の中でメリハリをつけている感じです。いかがでしょうか。
"『トロッコ問題』"
話は逸れますが、もともとこの話が生み出されたのは、線路を切り替えるスイッチを押させるためのたとえ話だった経緯があったような……完全に、テクストから離れた関係ない話です。すみません……
"結局は観測者の主観でしかない"
ここが「目的」という観点から深掘りされたりしないでしょうか……!個人的に大変興味のある領域でして、主観が何を基準としているのか、という感じです。話は戻して、それが、成仁に重ねられているのが好きです。文学好きへの応用として、それを下地にしたような象徴的ショートストーリーで唯が選択を迫られているとよりもっと好きです。ただそのぶん文字数を割くことになりますが……一長一短ですね……
"見ての通り種も仕掛けもございません、ってね! どうっスか? ちょっとは魔法信じてみる気になっちゃったりして?"
演出さが強いセリフを使う時、声の情報をふんだんに盛ると没入感を深めることができます。たとえば極端な例ですが
厳しい顔の老人が口を開く。
「ちょードン引きなんですけど!」
厳しい顔の老人が口を開く。
重苦しい声は、しかしその見た目に反して若々しい。
「ちょードン引きなんですけど!」
的な感じです。人物に合わせて、早口なのか、ゆっくり話すのか、訛りがあるのか、高いのか低いのか、無職っぽそうな声に聞こえるのか、盛ってみてください。いかがでしょう。
"実際男の言葉は正しかった"
ちょっと作風に合うかわかりませんが、拙作で嘘があった時『舌』が使われるように、正しいと理解できる象徴を前の話数の段階で繰り返し出現させるのはいかがでしょう。ジブリのかぐや姫の作品では、性欲の象徴としてトンボを飛ばしたりしています……けど、誰もそれを直観できていないのが問題なのですが……読者層次第ですね苦笑
"男は苦虫を噛み潰したように唇を歪めながら肩をすくめた"
心が動きで表されていて大変良いです。
"この境遇に、この痛みに、この声に『共感』してくれるなら"
おお……人の社会性との関連があって大変良いです……!
作者からの返信
"腰まで伸びた綺麗な銀髪の少年"
その通りです、唯が悩んだり、言葉を濁していたのはこういう理由があったかなんですね。
"やだ! 開けて! ここから出して!"
ここに関しては恐らくその方がいいのかもしれません。
そういう表現をした上でのこのセリフならもっと良今のになっていたと思います。
ここは文学性を取るか、エンタメ性を取るかの差ですね。
"『トロッコ問題』"
第一章の『テセウスの舟』もそうですが、この小説ではその哲学的内容の議論をひっくり返すための前振りとして使っていることが多いんですよね。
あくまでも、理論に説得力があるように見せるための演出とし描いています。
"結局は観測者の主観でしかない"
何を持って観測者の主観とするか……それは観測者がどういう『認識』で何を信頼しているかだと思っています。
つまり個人が持つ『価値観』そのものですね。
個人の『価値観』そのものが『認識』であり、『認識』こそ主観です。
なので間違っていようがいまいが、あくまで個人がどう『認識』して行動したのかを重要視するのが主観的。
外から見た時にその行動がどう見えるかを客観的と定義しています。
"見ての通り種も仕掛けもございません、ってね! どうっスか? ちょっとは魔法信じてみる気になっちゃったりして?"
ここに関しては戯けるようにと言った一文を加えても良かったかもしれませんね。
"実際男の言葉は正しかった"
少し主題とは逸れてしまうのですが、『象徴』についてのお話をさせてください。
確かに何かを表現する上で、『象徴』というのは重要です。
それが作品の長所や、テーマに直結するからです。
しかし私が重要視するのは、何故『象徴』が必要なのか? という点です。
『象徴』を用いる主な理由として、一つはその方が正しく伝えられるから、もう一つはそっちの方が面白いからという大きく分けて二つの理由があります。
ここで言う『面白い」の定義は、一つは『続きを読みたい』と思わせること、もう一つは『興味深い』と思わせることです。
つまり私が『象徴的』な言い方をするのは、誤解なく伝えることや正確な文章を書くことよりも、この『面白い』を生み出すための手段だということです。
ここを知っているのと知らないことでは、物語の読み方が変わるだろうと思って、お話しさせていただきました。
"男は苦虫を噛み潰したように唇を歪めながら肩をすくめた"
ここはどうにか頑張って捻り出しました!
"この境遇に、この痛みに、この声に『共感』してくれるなら"
またまた主題とはズレてしまうのですが、私は『善悪』や『真理』といったものよりも、その当人が『満足』しているかどうかを重視します。
何故なら善悪を語ろうとすると、余程の悪党でもない限りは『善悪』を論ずるのは水掛け論になってしまい『真理』も相対的なものでしかありません。
そのため物語で描く場合には、個人が『満足』しているかどうかに焦点を当てたくなります。
第三章『真とは弥々ほど遠く(Femme Fatale)』への応援コメント
あなた様の作品の批評が終わった時、拙作、異世界徴税官のフィードバックをいただけませんか。話数の指定がございますので、批評を終えた時、詳細を申し伝えさせてください。
"『真とは弥々程遠く』"
やはりこういう言葉遊びが好きです。もっと増えるべきです。
"僕は何もしていないという言葉を真弥が飲み込むと、六川は寂しそうに微笑んだ"
"真弥は慌てて周囲を見回して"
このような機微が大変好みです。
"真弥の頬を切り裂いた"
おお……結構むごい怪我ですね。
"日高の肩甲骨付近から〜カマキリの前脚だろう"
具体的であるので、大変良いです。没入感が増しています。
"『なんなのよ、この化け物はっ!』"
セリフで気を遣っていることなど詳しくお伺いしてもよろしいでしょうか。私は口語的であることを優先してしまうので、ぜひ、お聞かせ願います。
"どうしようもなく人間と違う存在を受け入れられない自分がいる"
ここで"違う"という意味を使えるのが非常に良いです。体験から導けたものですか?それとも、これを扱う研究データに触れることがありましたか?
"どれだけ理屈が正しかったとしても人を救わない"
繰り返し出てきていますね。わくわくしています。
作者からの返信
もちろんです! 税と異世界ファンタジーを組み合わせようとした異世界徴税官には私も興味があります。
その時が来たら、また詳しく教えてください。
"『真とは弥々程遠く』"
これは真弥の理想と現実との乖離と、世界の正しさに対する疑問というダブルミーニングになっています。
"僕は何もしていないという言葉を真弥が飲み込むと、六川は寂しそうに微笑んだ"
"真弥は慌てて周囲を見回して"
やはりこういう文章がなくては、読者は状況が理解できませんからね。
"真弥の頬を切り裂いた"
ここは『ガンダム』の影響だと思うのですが、たとえ銃弾や剣撃でなくても、人は些細な理由で命を落とす可能性があると私は思っています。
つまり最初に攻撃した方が圧倒的に有利なのです。
ここでわざわざ真弥に怪我を負わせたのは、この後で戦闘をすることの恐ろしさや守るための覚悟を問うためです。
"『なんなのよ、この化け物はっ!』"
セリフで意識しているのは、そのセリフに感情が含まれているかどうかです。
通常の口語では、是堕胎に『なんなのよ、この化け物はっ!』といった言葉は使いません。
ですがこのセリフ一つで驚愕や恐怖、焦りといった複数の感情を同時に描くことができます。
セリフは、動き以上にキャラの魅力を引き出してくれるということです。
ここに関してはどれだけ多くの作品を見てきたかという点が多く、幼い頃から『ガンダム』や少年漫画といった媒体に触れてきたという経験が有利に働いているのだと思います。
"どうしようもなく人間と違う存在を受け入れられない自分がいる"
私は全くといっていいほど専門的な研究をしたことがありません。
あくまでも、自分の経験とインターネットで調べた知識だけを元に書いています。
"どれだけ理屈が正しかったとしても人を救わない"
古今東西、理屈が人を救ったことは少ないですからね。
あくまでも、正しい感じ方をするためにある程度の理屈が必要なのであって、理屈のために感情を否定するのはナンセンスです。
動物にも感情はありますし、何より人に感情が残っていることに、生存戦略として必要だったから以上の理由はないのですから。
"「へっ……狼とは会話するなって、学校で習わなかったか?」
「学校、まだ行ったことない」"
ぐっと来る人がかなり多いと思います。会心の出来だったと感じていらっしゃいませんか
"どうして、怪我をしてるの?」
狼は神妙な顔つきで、しばしの間考える。
「どうしてか……まあ、仕方なかったってやつだ」
「怪我をしたのが、仕方ないことなの?」
狼は静かに俯く。
「皆俺が怖かったし、俺も皆が怖かったのさ」
「怖いと怪我をするの?」
首を振って、その狼は上を見上げる"
台詞を連続させる企画参加者へ、間に人物の動きを入れるよう提案しております。それがしっかりとされており、没入感が深いため大きな満足感があります。もっと増えて、かつ、人物を象徴するものがたくさん使われると私が喜びます。
"ただそういう事実があるとだけ認識している"
やはり、共感深いです。ありのままをありのままに、ということをきっと、感じてくださっているのですね。
"何故そう思ったのかという後付けの理屈が付いてくる"
ここも良いです。
"コミニュケーション下手くそ選手権"
口語から離れた、演出的なセリフかもしれませんがとても好きです。
"放浪者"
共通認識を作れる単語があるのは、非常に興味深いです。
"そのためにはどうしても人間の感情というものは邪魔なのだ"
ここが反証されるのか、個人的に強い興味があります……!
作者からの返信
"ぐっと来る人がかなり多いと思います。会心の出来だったと感じていらっしゃいませんか"
この言葉遊びは、作者としてもとても気に入っています笑
台詞を連続させる企画参加者へ、間に人物の動きを入れるよう提案しております。それがしっかりとされており、没入感が深いため大きな満足感があります。もっと増えて、かつ、人物を象徴するものがたくさん使われると私が喜びます。
セリフが連続するのは、なるべく少ないほどいいという意識はしていたので、評価してもらえて嬉しいです。
"やはり、共感深いです。ありのままをありのままに、ということをきっと、感じてくださっているのですね"
なるほど、そういう受け取り方もあるのですね。
"口語から離れた、演出的なセリフかもしれませんがとても好きです"
ここもとても気に入っています。
"共通認識を作れる単語があるのは、非常に興味深いです"
アニメや漫画特有の表現ですね。
ですが有名なSFやファンタジーでも取り入れられているものは多いですよ? 例えば、ハリーポッターでいう魔法使い、スタウォーズでいうジェダイと本質的には変わらないと思っています。
"ここが反証されるのか、個人的に強い興味があります……!"
如何にこの問題に反証するかというのが、この物語では重要な要素となっていますね。
第一章『美知との遭遇(Thaumazein)』への応援コメント
"美知との遭遇"
このような、韻と意味が重なっているものが、大が付くほど好きです。巧いですね。私もよくやるのですが、やっている人を見つけられず寂しいため息を吐いているところでした。企画目的のうちのひとつが達成でき、今日はよく眠れそうです。
"いや……それすらも一種の結果論で、実際に両親がこの場にいれば唯はそんなことを口にしなかったかもしれない"
以前の、tellよりshowの象徴性の指摘を覚えていらっしゃいますか。あなた様がこう書く理由が見えてきました。表現というより、伝えたい情報が多いのですね。これを圧縮して伝えるために象徴性の付与があります。親の存在が関わるのなら、親と関連する物(誕生日プレゼントなど)を遠ざける動きをさせる、口を開こうとしたとき、家族写真に気づいて口をつぐむ、などがあります。しかしこうすると、普通の読者は"いや……それすらも一種の結果を〜しれない"と受け取れなくなってしまいますからね……私の批評の目的として、私好みの作品を増やすというものがありますから、取捨選択なさってください……笑
"真弥には何一つ分からない"
物語のテクスト(文脈)から離れて、個人的に、俯いてしまうほど悲しく思います。
"その様子は怯えた小動物のようで、真弥には唯がなにかを酷く恐れているように見えた"
こういうのが、今までお伝えしてきた象徴性の付与です。もっと使ってくださると私が喜びます。ただ、怖い、嬉しい、楽しい、悲しい、興奮している、などの感情を表す単語は、物語において全くひとつも使われていないと膝を叩いてもっと喜びます。
"だから唯が本当は何を恐れているのか、何をそこまで頑なに隠そうとしているのか"
ああ……また物語のテクストから離れますが、安堵しました……
"唯は強情で、普段は優柔不断でも一度決めたなら絶対に変えようとしないことは、誰よりも真弥がよく知っていた"
やはり、その手前で、迷っているものがあり、迷いがなくなった途端、ぶれなくなるショートストーリーがあると没入感が増します。作者の作為が強いやり方として、極端化し、わかりやすくした例を以下に挙げます。
パスタが夕飯となる食事シーンを作ります。食器が洗われておらず、スプーンしか残っていません。洗うかどうか台所でうろうろした後、スプーンを握らせ、兄がフォークだけを洗って彼女に差し出すも、それを受け取らないことで"唯は強情で、普〜よく知っていた"を示すことができるでしょう。弱点は費やす文字が長くなることです。そこは、狭い道が多い日本でアメ車のような大きな車で生活をすることについて論じる、的なことだと思ってくださいね。私はその弱点を補うために、複数のショートストーリーを同時進行させたりします。
"肩まで届く緩いウェーブの掛かったサイドテールが彼女のトレードマークだ"
一般的な読者の読書負荷が増えるので、新作では控えていますが、台詞の近くなどでキャラクターを動かし、その人物の身体的特徴が表現されていると私好みです。たとえば
""六川は困ったような顔で首を捻った。サイドテールが揺れる""
"「そっか——それは難しい問題だね、好きでも嫌いでもダメ……か」
傍から見ると六川の返答は微妙に噛み合っていない"
すみません。批評とは関係ない話です。私は全く違和感がなく、しかし、のちの言葉で自分のおかしさに気づきました。普通はそうですよね……物語に対する姿勢や技術、コミュニケーション方法の戒めと象徴のために、正岡子規で韻を踏んでアタオカしきとしています。ただ気になって聞いているだけなのですが、六川さんと真弥くん、あなた様はどちらの言語運用でしょうか。
"可愛いものを虐めたくなる症候群キュートアグレッションか"
おまけの内容は覚えているでしょうか。その具体例として、キュートアグレッションという言葉が挙げられます。これが、言葉や事象に本質はなく、与えられた意味がある、ということです。"言葉の全ては比喩に過ぎない"という話にも繋がってくるものです。全体的に、私の琴線に触れてくるものが多いですね……!どうあなた様が魅せてくれるのか、より期待が高まってきております。
"本当は簡単な問題なのに考えなくていいことまで考えちゃうことも、あると思うな"
"『電球』のような灯り"
私の興味関心がある領域なので、どうしても……物語のテクストから離れてしまう……!これは褒め言葉です。退屈な時ほど、私は作り手の意図することを掴む読み方をしているので、今はそれがなくて、心地よいです。
"共有すること"
ここ良いですね。人類学的にも、極めて大事な人の在り方です。
"前髪を眉と同じ高さで綺麗に切りそろえたおさげ髪の少女"
この髪好きです。
"同族が損害を受けた時にどうでもいいとか言っちゃうのはアウト"
共有することと関連した出来事として作られているなら、素晴らしいです。まさか、私が見たいものを見せてくださるのですか?と、そういえば、"理解できないものを排除する世界"と返信してくださいましたね。私はその先を伝えるべき人へ伝えるために物語を書いております。こんな話をここでするのは申し訳ないのですが、批評が終わった時その部分をお願いしたく思います……
"人類という種族全体で見ればとんでもない損失"
そうですかやはり私が見たいものを魅せてくださるのですね。物語としての超技巧もあれば、私は、作品を描いている理由を全て託してそのまま昇天していたでしょうね……
"不謹慎ですよ日高さん"
台詞はどちらかというと演出的なのですね。私は口語のほうが好きですが……今の所気になっていません。しかし、商業作品でも一般的に見られる、女性の"〜わ"は極めて苦手です。撲滅派。
"辻上梓つじがみあずさ——このクラスの学級委員長で、自分から率先して厄介事を抱え込みに行く変わり者である"
読者に優しいですね……好み的にも私はここを省くので、見習いたいです。この橋渡しの同じやり方として、頭をぼりぼり掻いた、を、怒ったように頭をぼりぼり掻いた、とするようなものだと感じております。
"真弥にとって他人に優しくするという行為はあくまで理想に近づくための手段であり、優しくすることそのものが目的ではない"
ここについても、私の琴線に触れています。全ての拙作で挑んでおりますので、どう見せてくれるのか、楽しみです。
"他者からの客観的な評価"
この、「客観」は深掘りされるのでしょうか。
"『間違ってない』のに『正しくない』! 非合理的なその矛盾こそ人間らしさ"
ここについても、深掘りされると私は手を叩いてはしゃぎます。"『間違ってない』""『正しくない』"非合理的"が、何の評価軸を基準としているのか、ということです。
"同じ部屋、同じテーブル、同じ人物、同じような会話"
このレトリックは型と呼んでもいいくらいですが、大変好みです。
"口を閉じることも忘れているのか、ぽかんと口が開きっぱなしになっている"
こういうのです。こういうのが好きなんです。もっと増えると私が喜びます。
"驚いた拍子に突然動きを止めるハムスターやウサギのような小動物".
他の読者には地味かもしれませんが、私は特に好みます。
"「遅かったね真弥、晩御飯は美味しかった?」"
ここからようやく、動きで示されてくるんですね……!他の方の作品で見かけたのですが、やりたい表現やシーンだけをやろうとすると、このtellとshowの緩急がつくのでしょうか……?
"右手から手を放し髪を振り乱しながら"
これが全てに適応されていると私が喜びます……笑
"誰も悪くない"
やはり、この価値判断の"基準"が深掘りされるかどうかが私個人の趣味として気なってしまいます……汗汗
"そっか……じゃあ真弥もあたしと同じだね"
非常に心地が良いです。同じであることはどこまでも集団の結束を強固にしてくれます……この事象は人類学などで重要視されていますから、あなた様の、具体から抽象への推論が大変優れていると感じられます。
"自分と同じ偽物であると言ってもらえる方がずっと嬉しかったのだ"
やはり、嬉しいの部分が動きで表されていると好みです。それでも、この人の在り方はまさに人そのものです……文字以外の表現なら、きっと、よりよいものだったのでしょうね……!
作者からの返信
"このような、韻と意味が重なっているものが、大が付くほど好きです。巧いですね。私もよくやるのですが、やっている人を見つけられず寂しいため息を吐いているところでした。企画目的のうちのひとつが達成でき、今日はよく眠れそうです"
終章を除いて、サブタイトルに登場人物の名前を入れるのが今回の目標でした。
というより、美知との遭遇と最初に書いた時点で、統一感を持たせるためにその後も登場人物の名前を含めています。
"以前の、tellよりshowの象徴性の指摘を覚えていらっしゃいますか。あなた様がこう書く理由が見えてきました。表現というより、伝えたい情報が多いのですね"
その通りです! どうしても説明しなくてはならない情報が多く、かといって長々と描写するわけにもいかないとなると、どうしてもこのように情報を圧縮する必要がありました。
ですが、これがオリジナルで書く初めての作品だったために象徴の付与というところができているところと、できていないところに分かれてしまっています。
"物語のテクスト(文脈)から離れて、個人的に、俯いてしまうほど悲しく思います"
これは望んだ文章力に達していなくて残念という意味なのか、それとも他者を理解するということに対して特別な思い入れがあるのか……それとも両方でしょうか?
"こういうのが、今までお伝えしてきた象徴性の付与です"
最近になって、象徴の意味が少しずつ分かるようになってきました。
"ああ……また物語のテクストから離れますが、安堵しました……"
なるほど! 真弥の分からないという言葉を、他者理解を放棄しているキャラクターだと解釈していたということですね。
上手く伝わったようで、こちらも安心しました。
"やはり、その手前で、迷っているものがあり、迷いがなくなった途端、ぶれなくなるショートストーリーがあると没入感が増します"
確かにその通りです、セリフが一つあるかどうかでもかなり印象が変わりますからね。
しかしここは唯がどんなキャラクターなのか? よりも、真弥が唯をどういう風に認識しているのか? というところに焦点を当てているため、何となく唯がそういう人物なのかと伝わっていれば、作者の意図は正しく機能しています。
"一般的な読者の読書負荷が増えるので、新作では控えていますが、台詞の近くなどでキャラクターを動かし、その人物の身体的特徴が表現されていると私好みです"
ここに関してはかなり好みが分かれそうですね、文章から感じ取れるものを楽しんでいるのか、それとも文章で物語を理解しているのか、どちらを好むかによって、書き方が大きく変わりそうですね。
"すみません。批評とは関係ない話です。私は全く違和感がなく、しかし、のちの言葉で自分のおかしさに気づきました〜六川さんと真弥くん、あなた様はどちらの言語運用でしょうか"
確かに、この会話自体は当人たちにとってはおかしくないんですよね。
問題はそれを側から見たときに不思議というだけで……それはそれとして、六川も真弥も、私の中にある意見の一つでしかないため、どちらかと聞かれれば答えるのは難しいです。
強いて言うなら、日高と新弥を足して二で割ったくらいだと思います。
"私の興味関心がある領域なので、どうしても……物語のテクストから離れてしまう……!これは褒め言葉です。退屈な時ほど、私は作り手の意図することを掴む読み方をしているので、今はそれがなくて、心地よいです"
その気持ち、分かります。
良い作品に出会った時は、作者のことよりも先に物語の世界に引き込まれますからね。
そう言ってもらえるなら、素直にありがたいです。
"共有することと関連した出来事として作られているなら、素晴らしいです"
確かに共有できるかできないか、理解できるかできないかは、この物語において非常に重要な要素として描いています。
そのための怪異、そのための異能です。
"台詞はどちらかというと演出的なのですね"
そうですね、ここは漫画やアニメの技法を真似しているつもりです。
何と言っても、理解しやすさと作劇としての面白さが両立できる方法ですから。
文学とは離れてしまいますが、それは別の場所で見せれば問題ないと判断しました。
商業作品でも一般的に見られる、女性の"〜わ"は極めて苦手です。撲滅派。
そうなのですね。
個人的にこの言葉遣いは、実在するかどうかよりも、あくまで登場人物の書き分けや、キャラ付けといった読者のための措置でもあると思っています。
特にラノベでは、セリフを読んですぐに誰か分かるのか? という部分が優先されますからね。
"読者に優しいですね"
こうして分かりやすくするのは、読んでほしいところに集中してもらうだでもあります。
例えばこのシーン、作者としては真弥の心情や日高と辻上のやり取りに集中してほしいので、それ以外の情報はなるべく出さない、出すなら手短にということを意識して書いています。
"この、「客観」は深掘りされるのでしょうか"
さあ、真弥のいう「客観」とは本当に「客観」と言えるのでしょうか?
そう言う意味では、真弥の言う「客観」とは「客観風の主観」と言えるでしょうね。
"ここからようやく、動きで示されてくるんですね……!他の方の作品で見かけたのですが、やりたい表現やシーンだけをやろうとすると、このtellとshowの緩急がつくのでしょうか……?"
これは個人の意見でしかないのですが、やりたい表現やシーンというのは正確な表現ではないと思っています。
というのも、やりたい表現やシーンだけをやればいいとなれば最悪物語を破綻させても構わないということを認めることになるからです。
なのでやりたい表現や好きなシーンというのは、正確にはこの情報はここで必要なのか? この描写はどんな意味を持つのか? ということを考える指標として、この物語において必要か不要かを判断するのにやりたい表現や好きなシーンと照らし合わせるというのが効果的という話だと思います。
"非常に心地が良いです。同じであることはどこまでも集団の結束を強固にしてくれます……この事象は人類学などで重要視されていますから、あなた様の、具体から抽象への推論が大変優れていると感じられます"
この怪異という概念、一見ファンタジー的に見えますが、これは異文化や異邦人という概念を世界観の説明をすることなく読者に受け入れてもらう手法として取り入れています。
私の作品は基本的にリアリティよりも、メタファーやモチーフといった象徴としてファンタジー的な要素を扱うように心掛けています。
編集済
序章『終演(It's Over)』への応援コメント
私は事象については強い興味を持つことが難しいものの、コミュニケーションによって事象に意味が付与されるものはとても好きです。人が意味するものを受け取ることでしか、脳が活性化されないと言い換えられるでしょう。定義をせねば意味できず、そして意味されたものは共感として収束していきます。
"特に指定はございません。強いて伝えることがあるのなら"
私の企画やおまけは、常に物語の作り手としての技能や存在性、社会性を明らかにする機能があります。この部分で、私の額から一筋の汗が流れました。ですが、構成については、大きな魅力を感じております。難しい挑戦だったでしょう。
"人と違うことで悩む人物たち"
ここに挑むのですね。私事ですが、すべての拙作も挑んでいることです。専門的な知見があるので、この部分に関しては、私も妥協できないため非常に厳しく精査されるかもしれません。
"濃い設定"
どう活かされているのか、楽しみにしております。
"直接的に書くのを避けています"
ここに関しては、あなた様の意味するものが私と同じかどうか、慎重になる必要がありそうだと、きんたまが上がったり下がったりしています。(慣用句です……笑)
冗談はここまでです。
"涙を手の甲で拭い、美知は自分のオリーブ色の制服の胸部分をぎゅっと強く握りながらゆっくりと目を閉じた"
動きで心が現れていて好きです
"『日高美知ひだかみさと』が〜そしてこれからも、全てを知る者はいないのだろう"
企画の評価基準に明記されていますが、私は"語り"(tell)よりも"示す"(show)を強く、強く好みます。あなた様の意図する、人物の説明、これから起こることの補足として十分に機能はしていますし、私はそれを評価します。そして、そう在ることでしか機能しないものもうけとっております。私の好みとしては、あなた様の意味するものが示されることで受け取りをしたかった、というものになります。
"彼女の人物像を知っている人物は一人もいない""どこにでも馴染んでしまうような独特な雰囲気の女子生徒だったのだ"
"誰に対しても絶対〜それを指摘できる人間は結局一人もいなかった"
ことを示すなら、同級生の集まりか、全員の人となりが触れられている話題の中で、彼女中心となって話を回す、もしくは踏み込んだ愚痴、相談が行われている場面がある、終始聞き手、など、これを好みます。たとえば、カクヨムで出会った作品でした、主人公に友人関係はあるが本音を言えない距離感であり孤独であること、その本音を打ち明けられる環境がないことを意味するため、心の中を吐露させる猫が必ず現れました。象徴性の付与、意味を与える、他者理解の実践がありました。私は物語において、強くこれを好みます。昨今のラノベ文化とは真逆のものです。そういう点では、あなた様のこの序文はラノベらしいものだと言えるでしょう。一文一意、読みやすさは、私の評価軸にないので、ここを論じることができないのは残念であります。
"五時頃だというのにも関わらず、酷く"
"というより——"
"偶然というべきか、運命というべきか"
語り部の主観は積極的に取り入れるのですね。第三者的なカメラの記述を私は好みますが、あくまで個人差による好みになりそうですね。わかりやすさを重視する人だと、全体的に文が長いかもしれません。私はあまりそれを感じてはいないため、可能性の話です。
"——ただ怖かった"
ラノベ文化的だと、経験から感じております。おそらくこのようなtellがないと、一般的な読者は話がわからないと言うでしょう。私は、やはり、動きで心が表れているのが好きです。そして、その怖さを表す、人物と関係性を持つ象徴があるとより好みです。怖さが在る時、近くの生物も怖がる動きをする。もしくは、これは個人の好みが分かれる表現ですが、ものを人にたとえて、かつ、ラノベ文化的わかりやすさに寄せるなら、硝子が恐怖を感じたようにひび割れる、など、tellよりshowが大変好みです。ただ、やはり一般的な読者には難しく感じられるでしょうから、読者層に合わせて、取捨選択をすると良いでしょう。基本的に私基準なので、読心術ができ意味するものをくまなく読み取れる、という存在を想定読者としてしまっていることは留意が必要です。
ここまでは物語を表現する技術の話でした。
ここからは、あなた様が意味するものについて話を進めていきます。
"『日高美知ひだかみさと』が〜そしてこれからも、全てを知る者はいないのだろう"
やはり、こうすることでしか意味できないものでしたね。私も、そういった主体と客体を大きなテーマのひとつとして書いているので、共感深いです。意味とは関係性の中でしか定義できないというのを、"他人の思考に依存しきっている"という点で深く頷いています。この批評も、そうであると言えます。
"最も不快なのは、他人の思考と言動が食い違っている時"
大人と呼ばれる日本の社会的存在になれば、きっと本音と建前として自然なものだと受け入れられるでしょうね。もしこれが言葉通りの意味をしていないのならば、家庭環境の悪さがうかがえる、幼少期の逆境があるとわかります。
"矛盾した事実が同時に幾つも存在すると〜症状が現れる"
ここは現実世界への接続というより、そういう定義なのですね。
"投げ捨てるかのように机の引き出しをむりやり開け"
ここから技術の話に戻りますが、このように副詞や形容詞が少ないと私にとって没入感が増します。なぜなら動作が具体的になり、動きに象徴性を付与できるからです。
ここまでの物語の技術としての総括ですが、王道と呼ばれるような形に、少し予想外を加えるような、脳の活性化がされるような工夫が、あなた様のテーマとうまく融合しています。
たしかに、このテーマがどう物語に生かされていくか、大変楽しみです。
テーマとして読者へ伝えたいことはありますか。
※ここまで自分の批評を振り返ってみましたが今までのものに比べて全体的に質が悪いです……ただ、これからする予定の批評から見れば、十分の一ですので、より有意義なフィードバックをお約束いたします。
作者からの返信
詳しい批評、ありがとうございます!
まず最初の冒頭ですが、全くもってその通りです。
『彼女はこういう人間であった』という説明文は、小説という媒体というか、物書きとしての腕のなさを示しているようなものです。
しかしこの場面に関しては、他の語り手も彼女のことを詳しく知らないという伏線として機能させているため、『読者も美知について知らない』状況てま尚且つ読者を引き込む状況を作るためには、
大いに意味があったと思います。
しかし何よりも驚いたのは、ほとんど情報量のない日高美知についての考察が含まれていることです。
まさか、この文章からそこまで予想できる人がいるとは思っていませんでした。
これからの展開で、その伏線が回収されるので楽しみにしておいてください!
文章が長くなりやすいというのは課題の一つですね。
とはいえ、これ以上文章を減らすと理解され難いという問題もあるのでそこはケースバイケースということで。
理解できないものを排除する世界は寂しいものではないか? そう感じていただければ幸いです。
終章『夜が明けてからもう一度(The World Goes On)』への応援コメント
展開としては、大きな物語を動かすファクターが出そろった感じでしょうか。
三国志や水滸伝も、登場人物が顔を並べるまでがメインなところありますし、こういう構成もおもしろいですね!
個人の超能力に本質を示す名称があったり、体系的な制限と応用が利くのは、ゲームのようなシステム製造・管理者の存在がうかがえて、作中世界の根源にも興味を惹かれます✨
作者からの返信
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
鋭いですね……。
確かに外伝は元々連載するつもりで書いましたので、大きな物語を動かすファクターが出そろったというのは言い得て妙です。
この世界の異常現象って超能力、魔術、怪異の三つに系統分けされているんですけど……まぁどれも『魔法』っていう自然法則があって、初めて機能するんですよね。
ただ『魔法』はゲームのようなシステム製造・管理者というより、物語内に流れる運命や物理法則の一種という扱いになります。
一応、天使や悪魔といった上位存在はいますが、『魔法』の生み出す免疫機構という意味では怪異に分類されるでしょう。
……それはそれとして、この世界の設定資料ってあった方がいいですかね?
必要なら、近況ノートか何かで用意したいと思います。