第3話佐藤と先輩

「このミニゲームは、先に石を取った方が勝ち。つまり、さっきみたいに相手の石を囲えば勝ち。囲碁はオセロと同じように黒先白後なんだ。だから、君、ええっと、名前は?」

佐藤朱里さとうあかりです」

先輩は隣を見る。

「あ、私は、土浦朋子つちうらともこです」

朋子は恥ずかしそうに答えた。

「じゃあとりあえず、佐藤さん、黒石、好きなところに置いて」

と言われえても、困ります。広すぎです。

「あ、ちょっとこの碁盤広すぎるね。小さいのにしよう」

この板は碁盤とおっしゃるのか。先輩は、折り畳みではない、小さい碁盤を持ってきた。

「こっちでやろう。ちなみにこっちの小さいやつは、十三路盤。大きいやつは十九路盤っていうんだ。今更だけど、二人とも囲碁やったことないよね?」

私たちは首を縦に振る。だよね先輩は納得したようにうなずく。そして、再びオセロの最初のように、ちぐはぐに石を四つ並べる。

「仕切り直しで。佐藤さん、置いてみて」

さっきより小さくなったとはいえ、どこに置けばいいか解らぬ。でも、石を囲えばいいんだよね。私は、白石の隣に黒石を置く。さっきの次取られる形だ。先輩はうなずきながら、とられそうな白石に繋がるように置く。

「こうすれば取られなくなるよね」

確かに。逃げられたと思う。次の手を予想していかないといけないのか。でもこっからどう置けばいいのか。

「土浦さんも一緒に考えて」

そういわれて、朋子も考える。

「こことか?」

そういって反対側の白石を次に取れそうな形にしようとする。

「でもまた逃げられて、こっちとおんなじ形になっちゃうじゃん」

「そっか」

「でもどうなるかわかんないし、とりあえず置いてみるか」

私は、朋子が指をさした場所に黒石を置く。やはり先輩はまた繋げて逃げた。

「とりあえず追いかけてみよう」

私は、そういって、黒石を追いかけて、とろうとするが、また黒石が逃げる。

そういう風に私と朋子vs先輩で対戦する。何回か打った後、先輩は一個飛ばしで追いた。え、そういう風に置いてもいいの?私は、とりあえず続けて繋げておく。先輩は、一個飛ばしたところに置いて、繋げる。そういうこともできるのか。私は、次取られそうな石を逃がそうと、再び、黒石の隣に置く。先輩は、私の石の前に置いた。

「この三つの黒石は、白石に囲まれている形だから、とられるよね」

そういって先輩は黒石を三つとった。

「うわー負けた。三つ一気に取られるなんて。でも面白かった」

「よかった。今、囲碁部、部員が一人しかいなくて、廃部寸前なんだよね。もしよかったら、入部を考えてくれると嬉しいな」

「囲碁って、やったら身に付く力ってありますか?」

「んー、一般的には、集中力とか、考える力が身につくらしい。あと、身に付く力ではないけど、アインシュタインもやってたという記録があるらしい」

「へぇー。アインシュタインも。やったら頭良くなるかな?」

「なるんじゃない?」

「じゃあ、面白そうだし入ろうかな。囲碁部」

「本当?!今県内の女子がいなくて。全国大会もすぐ出られるよ」

先輩は嬉しそうに目を開いた。そんな先輩の裏で一転。まじか。女子ぼっちか。まあ逆ハーレムも悪くないだろう。しかも全国大会にあっさり出られるとは。


私と朋子は先輩にお礼をいって教室を出た。

「朋子は入らんの?」

「んー。先輩めっちゃタイプだったけどやめとこうかな。吹部の方が掛け持ち禁止だし」

こやつ、そんな目で先輩を見ていたとは。悪くはないが、私のタイプは、身長2mだから先輩は対象外である。やっぱり女子高生はみな恋愛したいものなのだな、と思う今日この頃である。

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