第五話〈新エリアと芸術品〉
そう。
この伝言ゲームの自己紹介には縁先生の名前も含まれている。
当たり前だ。だって、先生はルール説明時に言っていた。
『この教室内でのものに限る』と。
此処ではじめに自己紹介したのは、他でも無い。
先生を名乗り、ミッションを出した。
榎島 縁本人である。
「まぁ、天才が36人もいるこの教室ではこんなの」
「赤子の手をなんとやらどころか、豆腐を手潰して下さい」
「と、言われている様なものだろうな」
「しかし、クリアには変わりない」
「褒美として、行動範囲を広げてやろう」
そう言って彼女は、指をスナップした。
「よし、これでお前達は教室のそのへ行ける様になった」
「好きに移動するといい。ただ、1つだけ誓約がある」
またか。
次は、一体なんだ。
「喧嘩や略奪、殺傷、協力。好きに教室外で何を行なってもいいが」
「教室外での犯行には、“必ず”手がかりを残し、犯人探しは教室内で行うこと」
「それを破った場合は、天才と秀才。その両方からランダムで1人づつ死ぬ。」
「そして、誓約を破った場合の死は突然だ。死因も別々。ただし、破ったものだけが放送にて伝えられる」
「あと、さっきは言わなかったから言っておくが」
「全員生存の道。共存してハッピーエンドなんて無いぞ」
「お前達には、ちゃんと凡人を吊るす理由がある」
「お前達ならもうわかっているだろう」
「これは普通のマーダーミステリーの様に
「これは“リアル”マーダーミステリーだ」
「凡人は自分を守るために全員を殺さなくてはならない」
「なんせ、凡人には凡人なりの秘密があるからな」
うるさい。
「そして、お前達は全員、には凡人を吊り上げなくてはならない義務がある」
「此処に来る時、それぞれの秘密を誰かに話したな」
「凡人は、その全てを保有している。」
「凡人は、全員を殺せば安全と命が守られ、自身の目的を達成できる。」
「天才と秀才は、凡人を吊り上げなくては、消えない不安や狙われる恐怖を味わい続ける事になる」
「それぞれの者が、それぞれの目的の為このリアルマーダーミステリーに参加している様だが」
「事前に伝えられていた通り、死と隣り合わせかつ、自己責任だ」
そうだ。
縁先生の言う通り、俺は。いや、
此処にいる者全員が、自主的にこのゲームに参加している。
「私は、お前達が争うところが見たいんだ」
「次のミッションはもう少しだけ難しいから少しくらいは楽しませてくれよ」
そう言いながら、先生は消えていった。
気に食わないな、あの縁とか言う女。
本当に何を言っているんだ?
しかし、新しい場所は少し気になるな。行ってみるか。
開放されたのは、隣に存在していた美術室の様だった。
しかし、確認に来ていたのは40中10人俺を抜けば9人だ。
そして、それを見て怖がっていたのもその9人だった。
新エリア。美術室。そこは美学の集う部屋。
そこには、2つだけ作品が置かれている。
1つは、椅子。なんの変哲もない、革の椅子。そして、
腐食防止の加工がされているであろう、
皮の削がれた女性の死体。いや、作品があった。
皆感性人 @yukari_0219
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