オカルト×心理×人間ドラマが高い密度で融合した作品

「超能力」という言葉に抱きがちな胡散臭さと期待、その両方を巧みにすくい上げた、非常に読み応えのある一作です。



祖母を騙された過去から“不思議な力”を憎む元不良少年・大浦尊斗と、催眠術が使える少年・円野見巡。

この二人の組み合わせがまず秀逸で、価値観の衝突と協力関係が物語に強い推進力を与えています。


偽超能力を巡る事件は、単なるミステリーやオカルトに留まらず、「人はなぜ信じてしまうのか」といったテーマを内包しており、社会性のある物語としても印象的です。


怪しげな“トモシビの会”の描写は空気感が濃く、静かな不気味さと張り詰めた緊張感がページをめくる手を止めさせません。



“信じる”ことの危うさと強さを、エンタメとして楽しみながら考えさせてくれる、完成度の高い物語だと感じました。

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