第8話

校長室にて。


「誕生日…ですか?」


「あぁ。聞いてみれば、柚葉君と愛羅の誕生日が同じらしいな」


「なにそれ。初めて聞いた」


「悪いね。勝手に調べさせてもらったよ」


「悪いと思うなら止めてくださいよ…」


「まぁ、そこで君に愛羅の誕生日を祝って欲しくてな」


「いや、場所はどうするんですか?寮は無理だろうし…」


「なに。愛羅の家でやればいいさ」


「愛羅の家で!?」


「あぁ。君は愛羅の事を襲えないだろう?」


「どういう事ですか?」


「君の事がチキンだって言っているんだ」


ふざけんなよ…。

愛羅の家か…。


「…なんで私の家という表現をしないんですか?」


「ん?愛羅のお金で買ったものだからな」


「…ローンって」


「なんだい?それは」


「…」


お金持ち怖え!



そして、愛羅の家で誕生日パーティーをする事になったのだが、


「…」


「…」


今、俺の目の前には、リボンで包まれてる愛羅がいた。


「なぁ、お前は何やってんだ」


「だから、柚葉君の誕生日プレゼントは私だと言っている」


「…返品で」


「返品不可」


「おい…。もし逆の立場だったらどうするんだよ」


「えっ?○○する」


「止めなさい」


女の子がそんな事を言わないでくれ。



「ありがとう」


「自分でほどけるようにしとけよ…」


俺は愛羅に結ばれていたリボンをほどいていた。


「ほら、ほどいてやったぞ」


「じゃあ、やろう」


「そうだな」


「…終わったか?」


「あぁ、心花。いたんだな」


「…2人の世界に入り込まないでくれ」


「ごめん。ほら、ケーキ持ってきたから一緒に食おうぜ」


「まぁ、いいだろう」


心花、甘い物好きなんだなぁ…。


「あっ、ここにコーヒーっておいてあるか?」


「あるけど…。飲むの?」


「まぁな」


「もしかして、ブラック?」


「そうだな」


「すごい。大人だ」


「コーヒー飲めただけじゃ大人になれないぞ」


「じゃあ、ナニしたら大人になれる?」


「何したらって…。おい、なんか言い方に語弊があった気がするんだが」


「気のせい」


「そうか?」


「つまり、柚葉君の頭の中にはそんな事しかないって事」


「まったくもってそうじゃないんだが?」


「…また2人の世界に入っている」


「柚葉君のスマホには沢山の本がある事を知っている」


「な、な、なんですってぇぇぇ!?」


「しかも、無視された!」



閑話休題。


「誕生日おめでとう!」


「ありがとう」


「柚葉もほら、写真撮るか?」


「いやいいよ、俺は二の次で。今回の主役は愛羅なんだから」


「お前はまたそうやって…」


「流石、自己犠牲の塊」


「それより、ほらプレゼントだ」


「これは…私が欲しがってた服…」


「俺の持ってる金でも買えそうだったから」


「えっ?私のお父さんからお金貰ってないの?」


「貰ったけど、なるべく俺の金で買いたくてな」


「「…」」


「ん?どうしたんだ?」


「柚葉、その服の値段を教えてくれ。その倍の金額をお前にやろう」


「いや、いいよ」


「確か2万くらいだったはず」


「よし、5万やる」


「いやいや…」


「私からは、12万あげる」


「いや、だから…」


「「いいから貰って!」」


「は、はい…」


何故そんなに金を押し付けてくるのだろうか。


「お前、この学校でなんて呼ばれてるか分かるか?」


「なんて呼ばれてるんだ?」


「…貧乏野郎だってさ」


「まぁ、事実だからな」


俺は奨学金を貰って、この学校に来た。

元々、この学校は「お金のない人でも来れるように」と、入学金諸々のお金を低く設定されていた。

だが、俺はそれでも足りなくて奨学金を貰えるように申し込んだ。

それがいつしか噂として流れてしまい、クラスの人と余り仲が良くない。


「俺は、どうしても入りたかった。でも、金が足りなかった。それだけなのに、貧乏人扱いか」


俺が拳に力を入れた。

何かを言われるのはいいが、やはりイラつく。

すると、愛羅はそんな手を取った。


「だけど、私達がいる。どんなに悪い噂があっても、触れるまでは気がつけない。そう教えてくれたのは、柚葉君だから」


「…愛羅」


そうだ。

俺はもうひとりぼっちじゃないんだ。

愛羅に、心花がいる。

頼れる人がいるんだ。


「ありがとう。これからも、頼りにしてもらうよ」


「こちらこそ」


「私も、な」


「あぁ」


多分、この3人が離れる事はない。

そう思うし、そう願っている。


「ちなみに、心花の誕生日はいつなんだ?」


「…もう過ぎたよ」


「なんか…ごめん」


「いいんだ。私の誕生日は4月で、まだ出会ってすらもいなかったんだから」


「じゃあ、来年はやろう」


「そうだね。今の2倍はやろう」


「じゃあ、プレゼントも2倍にしなきゃな」


「「いや、それはいいから」」


「なんで2人して…」


そんなに貧乏でも無いのになぁ…。


「そうだな。お前の全財産が10万いってたら考えてやる」


「…金持ちってやっぱり怖ぇ」


「お前の感性がおかしいだけだ」


そうして、誕生日パーティは終わったのだ。



あとがき。

文字少ないけど、許して欲しい…。



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