第3話仔犬のような友人
放課後になると背後の席に座る
「ショウちゃん、今日急ぎ?私に付き合えない?」
「そうでもないよ。あのカフェの店員目当ての?他のやつ?」
田治箕はあるカフェのイケメンな店員に逢う為に私を付き添わせ、カフェへと足繁く通っている。
大学生か大学を卒業している程の年齢にみえるイケメンな店員に私は興味は無いので乗り気ではない。
「流石に毎日入ってないだろうし……それに、週5はキモいって思われかねないからやめとく。てかぁ〜ショウちゃんって変わってるよね。あんなイケメンを目の前に緊張しないなんておかしいって」
「週5って……それはぁ。百香がアノ程度で緊張してて、おかしいって私は思う。まあ、友人の恋を応援しない薄情な私じゃないから安心して。こっちじゃなかったらなんなの?」
私は厭きれ、苦笑を浮かべた。
「だからぁ〜それはぁ——」
田治箕は周囲に聞かれまいと私の片耳に顔を近づけ、ごにょごょと潜めた声で囁いた。
「あぁ〜そういう……じゃあ、教室に残ってないで行こ」
「うん。ショウちゃんっ大好きぃっ!!」
私が立ち上がり促すと、彼女が尻を椅子から浮かせ私に抱きついてきた。
「それぇ知ってるぅ!さっさと離れて!行くよっ!」
彼女を引き剥がしながら、声を荒げる。
「ショウちゃんってば、照れ過ぎっしょ〜うふふぅっっ!あぁ〜んんっっもぉ〜ショウちゃんきゃわわしゅぎ〜!!」
私は田治箕とは入学以前に親しくなった。
入学前の制服の採寸が行われた日、列に並んでいた私に声を掛けてきた。
制服の採寸を終えた私はお手洗いに向かった母親を待っていた所に、田治箕が再び声を掛けてきてその際に友人1号となった。
私は廊下に出て、歩を進めた。
私の隣に追いついた彼女が上機嫌な仔犬のように尻尾を振っていた。
丹庭は私が彼女の席へと顔を向けた頃には既に姿がなかった。
まあ、明日声を掛ければ良いのだ。
私は田治箕に両腕を絡められながら、彼女の目的地まで付き添う。
私は丹庭のあんな姿やこんな姿を妄想しながら、放課後を田治箕と過ごす。
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