冬耳
雨が雪になったのを
一番に知ったのは耳だった
街灯の下の柔らかな静寂を
何処よりも先に耳が聞き取った
濡れたアスファルトが白に染まり
傘を叩いていた音が消えて
代わりに秘密を囁くかのように
儚い結晶たちが落ちてくる
頬を撫でる冷たさに
白く脆い優しさを感じた
指先の冷たさも忘れ
空を見上げる
耳が知ったことを
目も手も心も追いかける
ひとつの儚い景色の中で
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