第2話:ワインと隼人のアパートへ。

「そう・・・なんか・・・面白そうですね、ワクワクします、私」


「向こうの生活にも飽きちゃったし・・・新鮮な世界に触れてみたくて・・・」

「そうだ・・・私・・・お姉ちゃんの彼氏、誘惑しちゃおうかな」


「そんなことしていいんですか?」

「三角関係じゃないですか・・・って言うかそれでセックスなんかしたら

姉妹の間に確執が生まれますよ・・・」


「冗談・・・私はお姉ちゃんの持ち物に興味ないですから」

「って言うか・・・セバスチャンいつまでこんなゴミ箱の前でダベってるつもり

なんですか?」

「早く、お姉ちゃんのところに連れてってください」


「分かりました・・・でもその前に服着てください」

「向こうでならニンフの裸は普通ですけど、人間界では服を着ないとダメなん

ですから」


「そうなの・・・服なんてもの着たくないです」

「裸のままだと電車の中で、男の客から視姦されますし猥褻物陳列罪ってので

捕まっちゃうんですよ」

「文句言わないで私が持ってきた服、大人しく着てくださいね」

「シェリーさんが服を着たら少し歩いて電車とかってのに乗りますからね」


「でんしゃ?・・・なんですかそれ?・・・瞬間移動とかってので一気に行け

ないんですか?」


「そんな超能力者みたいに都合よくはいきませんよ」

「なんでもありみたいになっちゃったら、人生つまんないでしょ・・・ん?人生

ってのもおかしいか・・・」


「まあいいです、この世界では公共機関を利用して移動するんです」


「いろんな面で面倒くさいんですね・・・」


「じゃ〜向こうに、お帰りになります?」

「今からでも遅くないですよ・・・そのうちこのゴミ箱もゼヌス様によって完全に

封印されてしまうと思いますからね」


「なに言ってるの・・・帰りませんよ・・・せっかく来たんですもん・・・」


「人間の世界って面白そうじゃないですか?」


「困ったもんですね・・・ニンフって、好奇心はワインさんと同じでじっとして

いられないんですね」

「ニンフって所詮男がいないと生きていけない種族ですからね」

「あなたのお母さんも、あなたのおばあちゃんもお盛んでしたよ」


「私のおばあちゃん知ってるって・・・セバスチャン歳、いくつなの?」


「忘れましたね、歳なんて・・・」

「それより、こんなところでくっちゃべってないで、そろそろ行きましょうか」


「ですね・・・これからお世話になりますね、セバスチャン」


「まあ、ワイン様より素直そうだし・・・シェリーさんのほうが性格もよさそうだ・・・成長なさったんですねシェリーさん」


シェリーは向こうの生活に飽きたからこっちへ来たって言ったが、人間界へ

やってきたのは、違う理由があったからだった。


さてここからニンフ、シェリーちゃんの物語のはじまりです。


向こうの世界からシェリーが来たことはセバスチャン以外誰も知らなかった。

ワインももちろん知らない。


シェリーは、セバスチャンに連れられて電車に乗ってワインと隼人君のアパートへ

向かった。

他の客から見たらシェリーとセバスチャンは普通に姉と弟の関係に見えただろう。


まあ、セバスチャンが元の体なら、とても電車になんか乗れなかった訳で・・・。


シェリーは初めて見る人間の世界に、ワイン同様びっくりぽんだった。

自分たちが住んでる世界とはまるで違ったからだ。

もちろん向こうの世界には電車なんてないし道路を忙しく走ってる四角い箱「車」なんかもない。


シェリーの世界にも人間はいるけど人間の場合は移動手段に馬やロバを使う。

他にも森に住む獣を手なずけて移動手段に使ったり家畜にしたりしている。


向こうに比べてこの世界は全体的に、ごちゃごちゃせわしいとシェリーは思った。


セバスチャンとシェリーは電車を乗り継いで、少し歩いて隼人君のアパートに

着いた。

シェリーを連れて玄関に入ったセバスチャン。


「ただいま帰りました・・・ワインさん」


「お帰りセバスチャン・・・あなたどこに行ってたの?」


つづく。


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