第99話

失念していた。


今日はコイツが来る日だった。




「何やってんだお前、こんな所で」



「なんでもない」




美少女の方を一切見ないで、男の方へ行く。



お願いだ、早く立ち去って。




「へぇ~って嘘つくんじゃねぇよ。仲良さそうに話してたじゃねぇか」



「っっ」




ガッ!!と前髪を掴まれる。




「ちょっ」




美少女が止めに入ろうとしてくれたのを睨んで止める。



関わるな、関わるな。


こんな男とは。




「ぐっ……」




掴んだ手に力が込められていく。




「で?あの美少女は誰だ?」



「知らない。酔っぱらいに絡まれたのを助けてくれただけ」




男を睨んでいた美少女が、ハ?とあたしを見るけれど



お願いだから、早く逃げて。




「お前みたいな貧相で愛想のないガキに絡むなんてよっぽど女運のない奴だな」



「……」



「アンタも」



「……ハ?」



「こんな」



「っっ」




コイツ、何か要らない事を言おうと……




「止めて。本当にこの人は」



「うるせぇよ」



「……っっ」




前髪をおもいっきり引っ張られ、地面に引き倒される。




「ちょっと!!」




美少女が駆け寄って来てくれるけれど、あたしはそれを拒む。




「もう行って………早くっっ」



「なっ」



「優しいお嬢さんはお前を見捨てられないとよ」




男が厭らしくニヤッと嗤う。




「教えてやれば?お前のこと」



「……なんで見ず知らずの人に教えないといけない」



「ハァ?助けてたじゃねぇか、お嬢さんのこと」





……バレてた。



何処からか見ていたコイツは、あたしが必死に隠すのを見て嗤っていたんだ。




「友達か?教えてやれよ。もっと優しくしてもらえるかもだぜ?」



「友達じゃない。困ってるようだったから助けただけ」




そう言うも信じてもらえる訳もなく……




「お前が?人間に絶望してるお前が?」



「「……」」



「お前が言わないなら俺が言ってやるよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る