第90話
美己side
あの、焔が……誰にも本気にならないと思っていた焔が……
1人の女に恋をした。
少し前に助けられたのだと言う。
サツに追われていた焔を何も言わず、毅然と助けてくれたのだと。
どんな女か気になって気になって、ようやく居場所を聞き出して見に来てみれば……
ショボい。
なんともショボい女だった。
……え?
マジで?
嘘でしょ?
こんな女に恋したっていうの?
ガリガリで貧相……
もうこの世に疲れきったような顔をした、こんな女を?
何歳かさえ判別できない。
が
「いい加減レジしていいか、こんにゃろう」
高圧的な態度のあたしに、こんなことを言ってきた。
……へぇ。
"あたし"を怖がらないなんて
それどころか歯向かってくるなんて。
性格は……面白いかもね。
"桜竜は強いぞ"
見たこともない柔らかくも甘い表情で笑ってそう言った焔。
ムカついた。
あんな表情見たことない。
家族を盗られた気がした。
「うわ。ブッサイク」
「「…………」」
だから意地悪を言ってみると、いや本気で思ってるけど。
青筋をたてる女。
おーおーおー。
やろうっての?
いいよ、焔は渡さな
「こら!!美己!!いい加減にしろっっ」
「!!」
突然、響いた声に女はビックリし、あたしは
あーあ、うるさいのが来た。
「なによ、大地」
我が家のオカンが。
「誰がオカンだ」
あたしの心を呼んでツッコんでくる大地。
……ん?
女の視線が揺れ動く。
誰かを捜すように。
……焔?
焔を捜してるとでも?
ふざけるな。
アンタは焔をフッたんでしょ。
……焔にあんな顔をさせて。
昨日の……今朝の焔の表情を思い出す。
あたしはアンタを認めない。
絶対に。
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