第88話

ん?




「アンタよ、アンタ。何処行く気?」




切れ長の青い瞳が真っ直ぐあたしを射抜く。



ああ……本当に綺麗。




って……え?


あたし?




「……何処って外へ」



「ハァア?客を放って?」




聞かれたから答えると盛大に嫌な顔をされる。




えー……。



放るもなにも、居るじゃん。



鼻息の荒い、ヨダレを垂らしたハイエ……店長が。




「レジは私が……」



「冗談は顔だけにして」



「ハァ!?」



「……ぶふっ」




おもわず吹いちゃった。



真っ赤になった店長に睨まれ、シッシッと追い払われる。



あんな風に言われても、レジをする気らしい。



手を握りたいらしい。



そのスケベ根性やそこまでくるとアッパレ。



しかし……ちょうど出された時にはどうするんだろう?



まっ、いいか。




「ちょっと、触らないで」



「僕がしますからぁ~」




さっきまでは"私"だったのに。


化けの皮が剥がれてきてるね。




「僕、店長」



「あ"?」



「ひぃいいいいいいいっ!?」




なっさけない悲鳴が上がる。



おお……。



強行手段に出ようとした店長。



しかし女の子の見た目とは反対のドスの効いた声と、目潰し寸止めに腰を抜かし……



ゴキブ○のように這って、バックヤードへと逃げていった。




弱いわー。



ドン引きである。



しっかし、この女の子レディースか?



触らぬ神に祟りなし。



田端さん。



バイトの先輩にレジを頼もうとするも、勢いよく視線を逸らされ、これまたバックヤードへと逃げていった。




ババァ……。



っと、日頃の怨みが……。

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