第84話

「……あの、なんですか?」




いつもは7時から18時までのコンビニのバイト。



今日は大学生のアルバイトさんと代わって、9時から16時まで。



きちんと寝て食べて少しゆっくり出来たから身体は本当に調子が良くて、今日は幾らでも働けそうだった。



といってもこの後"flower"もあるから最後はいつものようにバテるだろうけども……。



でも身体の調子が良いと考えることも前向きになるらしく、帰ったら何か料理でもしてみようか、なんて考えたりもするほどだ。




そんなことを考えながらちょっとだけワクワクしながら商品の補充などをしていると、さっきからチラチラと視線が突き刺さる。



気分が台無し、ウザい……。



メチャクチャ鬱陶しい。




昨日のことを忘れたわけではない。



あたしは独り身だから殴られてもいい……なんて思ってるこの人を、正直幻滅して話したくもなかった。



本人も後ろめたさもあったのか、話しかけてこず今まで無言で仕事をしてきたのだけれど……。



向けられる視線でわかる。



反省などこれっぽっちもしていない。



好奇心に満ちた視線。



このまま、この視線を無視して仕事をするのは苦痛以外のなにものでもない。



聞いてさっさと終わりにすることを選んだ。




バイトの先輩、田端さんに無表情で聞くと、最初あたしの低い声と表情にバツが悪そうな表情をしたけれど、すぐに笑みを浮かべた。



気色悪い、心底そう思った。



井戸端会議で、近所の人のあることないことを話しては嗤って楽しんでるおばさん達と同じ。




一度、あたしも話題になったらしい。



オンボロアパートに1人で住む未成年。



これだけでも話題になりやすいのに、夜中に男が訪ねてくるとか……売春してるんじゃないか……とか。



ふざけるな、である。



男というのは、志郎と"あの男"のことだろう。


この二人しか来ないし。



ましては売春なんてとんでもない。




それを絶対にしたくないから、こんなに働いているのに。




それを勝手に。

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