第65話
外に出た……ところでアホぅなあたし達は上着を着てないことに気付き、取りに戻る。
すると、待ってましたとばかりに大地が居た。
その手には2着のコート。
1つは見たことのある、進藤のコート。
そしてもう1つは……あたしのではない。
誰のだ?
あたしのは?
「大地……」
「あっ桜竜ちゃんのコートは寒そうだから」
……おぐぅ。
ハッキリキッパリ言われた。
まぁ本当に寒いんだけどね……。
ずっと着てたから生地は薄くなってるし。
でもアレしかないしな。
「だからこれ着て。俺のだけど俺にはもう小さくて着れ……ぶぁっ!?」
「進藤!?」
進藤が突然、大地のコートを掴んだと思ったら大地の顔面にそれを投げつけた。
なんで?
「大地が桜竜を包むなんざ絶対に許さん」
「「言い方よ」」
包むってなんだ……。
それからあたしは結局進藤のコートを着せられた。
「……ぶふっ」
「お?」
おもわず思い出し笑いをしてしまうと不思議そうに進藤が振り向いた。
「パッツン……」
「ああ」
あたしがなんで笑ったのか、その一言でわかったらしい。
大地にコートを投げた後、進藤は自分のコートをあたしに着せ、自分は大地が小さいと言ったコートを着ようとしたのだ。
大地とほぼ同じ体型である進藤が着れるはずもなく
「「破ける、破ける、破けるーっっ」」
大地と二人で必死に止めて、なんとかコートは無事だったけど……。
もうパッツンパッツンで面白い姿だった。
そんな進藤はまだあった自分のコートを出してきて着ている。
「あたしは貸してもらえたらなんでも良いのに」
「ダメだ」
「っっ」
低い声に身体が震える。
嫌でも思い出すのは"アイツ"のこと……。
「桜竜?」
俯いたあたしを覗き込んでくる進藤。
何故かその真っ直ぐな瞳にホッとした。
目の前に居るのがアイツではなく進藤であるとわからせてくれる。
「好きだから」
「はっ?」
「好きだから、桜竜に関するものは全部俺のものでありたい」
「どっ!?」
ストレートな言葉に返す言葉が見つからない。
本当に進藤はどうしてあたしなんかがいいのか……。
「趣味悪すぎでしょ」
「バカだな桜竜。俺は最高に趣味は良いぞ」
ニカッと子供のように笑ってあたしの手を握ると進藤は歩き出した。
「……手」
「手袋はねぇから。これなら手が暖かいだろ」
確かに繋いだことによって二つの手はすぐに暖まり、暖かくなる。
本当に……この男は趣味が悪い…。
真っ赤になった顔を見られないように下を向くけど
「笑うな」
「可愛い」
バレてた……。
チッ!!
「舌打ちさえも可愛い」
「アホなの?」
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