第64話
「そっか。そっか」
あたしを見て何度も頷く大地。
……何?
「桜竜ちゃんは、しっかり"自分"を持ってるんだね」
「……そんな大層なもんじゃない」
……ただの卑屈根性だ。
そう呟けば、グッと力強く手首を掴まれる。
「……進藤?」
どうし……
「桜竜ちゃん」
「……何?」
次は何を言われるのかと、つい警戒してしまう。
が、そんなあたしに大地は笑顔で
「俺らに卵を恵んでくれね?」
と言った。
「……へ?」
「……は?」
これには進藤も"何言ってんだコイツ"って目で大地を見てる。
卵?
なんで卵?
「何を隠そう、我が家には卵がない!!」
「いや、それはわかるよ」
さっきの発言で卵がないことぐらいわかるよ。
進藤でもわかるよ。
「ん?」
「……なんでもない」
「ご飯だけはいっぱいあるんだけどさー」
突然の家庭の食卓事情。
「あれだけのご飯があれば、3人前のオムライスも余裕で出来るんだけど、肝心の卵がない。だから食べに行こうって言ったんだけど、卵があれば食べに行かなくてもすむわけよ」
「……うん」
……それとあたしが卵を買うのになんの関係が
「桜竜ちゃんが卵を買ってくれる。俺がご飯を提供する。そうすると施しにはならないだろ?」
「おお」
進藤納得。
そしてあたしも納得。
ようは等価交換みたいな……?
卵くらいなら……うん買えるけど。
それってでもあたしの方が得……
「桜竜」
「ん?」
「大地のオムライス……美味いぞ」
「んぐっ」
お腹が空いてるところにその言葉はっ。
「"flower"のオムライスには負けるけどな」
……食べてみたいな。
……良いのかな?
二人を見ると
「桜竜様!」
「お願いしまっす!」
と頭を下げられてしまった!!
「ちょっ!?わかった!!わかったから頭を上げてっ」
なんで二人があたしなんかに頭を下げるのっ。
「やった!!」
「ありがと桜竜」
お礼まで言われる。
いやいやお礼を言うのはあたしの方……
「じゃ、行くか」
そう言われ、さっき掴まれた手首を優しく引かれる。
「進藤、あたし一人で」
行けると言おうとしたけど
「もう夜で危ないから、ボディーガードとして連れて行きな」
「守るよ、桜竜」
「っっ」
キュッと手首を掴む力が強くなり、そのままあたしと進藤は卵を買いに外へ出た。
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