第62話
「ねぇっ何時!?」
無断で休んだりしたら辞めさせられるっ。
それに1日でも休んだら給料が減ってアイツが……。
「落ち着け桜竜。大丈夫だ、まだあれから二時間くらいしか経ってない。今は夜の21時過ぎだ」
進藤の口を塞いでいた手を掴まれ、小さな子に言い聞かせるようにゆっくりと言われる。
「……21時??」
「ああ。って桜竜!?」
力が抜けて崩れ落ちそうになるのを進藤に抱き抱えられ免れる。
「大丈夫か!?」
「……ごめん。ありがとう」
しっかりと立たせてもらいお礼を言う。
そっか……まだ21時か、良かった。
ホッと息を吐いたら
「桜竜」
低い声で呼ばれる。
「??」
「お前は一体いくつバイトをしてるんだ?」
……いくつ?
……いくつって。
「3つだけど」
"flower"とコンビニと新聞配達、これだけ。
「3つも……」
険しい表情になる進藤。
しかしあたしは首を横に振る。
「"も"じゃないよ」
「ん?」
「"しか"だよ」
自嘲気味に笑う。
「桜竜」
本当はね、もっと働きたい。
働いて働いて、少しでも早くお金を返して……
アイツと二度と関わらないようにしたい。
でも弱っちぃあたしの身体では3つが限界で……。
「……男に生まれたかったな」
そしたらもっともっと働けるのに。
ボソッと呟くと
「それは困る」
「!?」
と抱き締められた。
「なっ……」
「俺は"今"の桜竜がいい」
「…………」
「まぁ、ぶっちゃけ桜竜が男でも俺は好きになる自信がある」
「ハッ?」
「だけど俺は"今"の桜竜がいい」
……どうしてそんなにあたしのことを。
「……進」
グーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!
!?
こんっっな時にお腹が鳴ったっっ。
この正直者っっ。
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