第40話

「いいじゃん、教えてくれたって」




ブツブツ言いながら美己が俺の腹から下りる。



その時ガラッと教室のドアが開き、SWORDの総長、雪平志郎が女の肩を抱いて入ってきた。



またかよ……。



昨日とは違う女。



コイツは女なら誰でもいいって言うが、俺もまぁ、そう思ってたところはあるが……。




出逢ってしまったからな。



桜竜に。




もう一ミリでもそんな風には思えない。




桜竜だけが特別。



あの真っ直ぐ目を見てくる勝ち気な瞳も。


ぶっきらぼうな喋り方も。


無意識に笑って、それを見られると恥ずかしそうに不機嫌になる所も。


照れて真っ赤になる所も。




ぐぅ……可愛い。


会いたい。




「よぉ、志郎。寝んのか?」



「ああ」




思い出して悶えてる間に話が進む。



ここでか。




「ハァ……」




溜め息をついてソファーから立ち上がる。




「悪いな、焔」



「おう」



「…………」




すれ違い様、女が美己を見て勝ち誇ったように笑う。



SWORD唯一の女ってことで美己は女から敵視されることが多い。



それを無表情に見返す美己の肩を大地が抱く。




その瞬間、女の顔が嫉妬で歪んだ。



ハッ、馬鹿らしい。



この女もまた、SWORDの奴なら誰でもいいってか。




教室から出る。



嫌なもん見ちまったから桜竜に会いに行こう。




そうしよう!!




「flowerでも行くか」




桜竜に会えると気持ちが軽くなったところで、大地がいらん一言を。




「!?行くんじゃねぇよ、俺が行くんだから」



「え?何?flowerって!!」



「良いところ」




パッチンとウインクする大地。




通りかかった女がそれにノックアウトされる。



なんでだよ。




「絶対に来んな」




教室の中から凄まじく感じる視線を背に、ゆっくりとドアが閉まった。

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