第29話

「桜竜っ」




……ハァ。



まだ居たのか……。




「ハァッ、ハァッ」




何故か息を切らして髪も乱れてる。



どうでもいいが。




あたしは返事をすることなく、進藤の横を通りすぎ……





ガシッ!!




「桜竜」




すれ違い様手首を掴まれる。




ハァ……。




「昨日の礼とやらはさっき受け取りました。もう用はないでしょ、離せ」




進藤を睨む。




「お前はまたそんな薄着……」



「あんたには関係ない。あたしに構わないで」





なんのつもりか知らないけど。



それでも進藤は手を離してくれず、あたしから目を逸らさない。



なんだと……




「ホラ」



「は?」




目の前に出されたのは、まだ湯気たつ肉まんだった。



なんで?



なんで肉まん?



もしかして、これ買いに息を切らして髪を乱れされて?




「熱々の内に食え」



「いらない」



「食ってくれたら離す」




……ハァ。




「桜竜?」




あたしは手首を掴まれたまま少し歩き、木箱の上に座った。




「ん」




空いてる方の手を差し出せば、進藤は笑ってその手に肉まんを乗せた。



それを真ん中で2つに割る。




凄い湯気と空腹には耐えられない良い香り。



半分を進藤へ。




「いや、俺は……」



「あんたが食べないならあたしも食べない」




睨むようにそう言うと、進藤はあたしにまた自分のダウンジャケットを掛け横に座ってきた。



そんな進藤に肉まんを渡し













「いただきます」

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