第4話 夢から覚めて俺が知りたくもない現実

15歳の朝。

俺はすっきりとした目覚め…ではななく、嫌な夢で飛び起きた


「お前は生涯、女をだくな!」


なんて神と名乗る人が夢に出てきて、貞操を守れだなんて…

「誕生日なんだし、いい夢みてぇ〜よ……」

と、ぽつとつぶやいた本音が、しんと静まりかえった部屋に消えていく


王族の誕生日は、朝に花火が上がったら国民に城の謁見の間まで解放し

王のスピーチ、次に誕生日を迎える人のスピーチ(今日はアッシュがここの担当)

そしてパレードとして街をぐるっと回った後、昼食を兼ねた食事パーティーが開かれる


アッシュが身支度を整えて、時間を確認して部屋からでる


「なんか……飾り付けとか…なんもねぇな」


俺は、去年の誕生日と比べ、違和感を覚えるが、謁見の間に向かおうとした時

「あっしゅにぃいいいいいいいいい!」

と廊下の奥から、末っ子の弟アーネストと、妹…ダイアナが走って俺に抱きついてくる


「おいおいどうした、二人とも」

と俺は二人の頭を撫でて視線を合わせようとするが

アーネストが腰にしがみついて上手くしゃがめない

だが、2人してすんすんと静かに泣いてるのを感じ、そのまま頭をくしゃりとなでた


「アッシュ兄…いなぐ…なっじゃうのや!」

聞き取りずらいがダイアナが泣きながら言う

「手紙書いてね!アッシュ兄!」

続けてアーネストも俺の顔を涙で濡らしながらいう

夢のことといい、なんだか嫌な予感がする


「お前は魔王へ友好の使者として…」


その言葉が頭をよぎったが

「大丈夫だ!兄ちゃんは明日死ぬわけじゃねえんだから!な?」

と二人を慰めつつ、時間に遅れると悪いと

メイド達が俺からアーネストと、ダイアナを離す


二人とも、顔が涙で可愛い顔が台無しになっているが、後のことはメイドさんたちに任せ、俺は謁見の間に向かう



「アッシュ・グリーシア。15歳を迎えた今日は、我が国にとって大人の仲間入りだ」

謁見の間では毎年同じようなスピーチをする国王…

しかし、謁見の間にはユーリ兄と弟のクリス、妹の第一王女のエリステルしかいない


だが、俺の父上からの言葉の後に、俺の「王へ誓いのスピーチ」の予定のはず

しかし、その次に言われたのは


「昨今の国外の情勢を調べる必要がある。よって、アッシュ…お前は旅に出よ!この城を出たら、お前は王族として扱わない。ただの市民だ!」


……………マジで?


こうして、アッシュは誕生日に、王族の身分を親から奪われ

この国から出ることになってしまった

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