第3話 夢の中のお話

アッシュはその夜、夢を見た


「ッシュ………アッ………ヨ」


何だ……俺の、名前?


「アッシュ…大事な話じゃ…」


親の声でもない、女の声…?

誰だと思ったら視界に入ったのは知らない女性


「アッシュよ、我の声が聞こえるな。神として大事な話がある」


神?どういうことだ?

成人する時こういうの見るのか?


「ええい、そなたの細かな疑問に今答えることは後だ。」


神と名乗る女はアッシュに指をさし

「アッシュよ。お前は一生女を抱くな!貴様の子孫、いやお前が貞操を守れば世界が救える!」

とはっきりと断言した


「は………貞操?貞操って、まって…?今女を抱くなって言った?!」


と夢の中でも目が覚めるようなことを言われたので


「おい!人の夢でろくな事言うんじゃねえ!俺は明日、大人の仲間入りして、結婚も「それが問題なのじゃ!」

と顔が触れる程までの距離まで女はスッと入り込み、俺の額にデコピンをくらわせた


「あで!!」

…ん?なんで夢なのに、痛みを感じるんだ……?


「不思議じゃろ〜?それはわしが神だからじゃ」

とふふんと鼻息をふんと吐き手を腰に置いて胸を張る女は言う


「神……?」


「そう、私は、お前に子孫を残すなとお告げをした張本人である!」


………ん?話飛躍してるけど

つまりそれって


「俺に、縁談がなかったのって…もしや…」


待てよ…天啓は俺も見たことがある

妹が産まれる前、王妃…母上のところに

「子供は妹を含め3人授かる」と…


「もしや母上に妹の事を告げた神と…」


「そうじゃ!わしじゃよ」

とドヤ顔をしている神に対して


「お前のせいかぁーーーーーー!気にしないで、いようと!したのに!!!俺に、縁談が!なかったのは!!!」

俺は喋りながら、怒りに任せて、神に殴りかかるが全て避けられてしまい


「そうじゃぞ?わしは本当の事を言ったまでじゃ」


と、まだ実感が湧かない話だ

「ってか、兄貴も弟もいるっつーのに、なんで俺だけ!」


「お前の子孫が、結果的に魔族を滅ぼすのじゃ。世界は魔族の住む魔界と、人間界に別れるが、遠い未来、いずれどちらかが滅ぶ」

それが子孫が活躍して、世界の秩序ちつじょを壊すと言う意味か…


「じゃ、じゃあ、俺は子孫を残す事をしなければ…例えば避妊とか!」


「避妊の話をする奴がいるか!国王の子を妊娠するということだけでも、嫁側の家は名の知れるものなのに!」


と、そこでひと息神はついた後こう続ける


「避妊する道具を相手に使う、ということは言う名刺でもあると、教わらんかったのか!」

啖呵たんかを切るように神は俺に怒鳴る


「わかった!俺が魔王と結婚する!そうすれば、魔族と人間のハーフが産まれて…」


「いや、魔王と結婚したとしても、魔王の血は人間に耐えられない…」

とサラッとダメ出しされる


「もっというと、魔王は分身体を作り出してしまうでな。他の遺伝子を入れなくても適応できるのだよ」

と俺はどんどん血の気が引いていく


もう男して、一生利き手が恋人になるなんて…

しかも王子のポジションなのに、俺は…おれは…!


何かを察した神は

「明日、お前は旅に出される。その途中でさまざまな出会いがある」

と希望を持つような事を言うが


「それでも、俺は女を抱けず、大人の階段を登れないんだろ…?」


そう言った時にポンと神に手を叩かれ

「大丈夫じゃ…わしのできる限りのことをしておいた!」

と親指をグッと立てる


「そろそろ朝じゃ。最低の誕生日と思うかはお前次第!期待してるぞ、アッシュ・グリーシア!」


そう言うと急に俺の体が宙に浮いて、外に放り出される感覚が襲い

「おい!ふざけるな!!」

と、俺は布団から目が覚め、誕生日の日を迎えていた




「あらあら神さま、随分と荒い扱いしましたね」


アッシュが消えたとこで魔王が現れる

「あぁお前だったか……」


「ふふ、まさか未来を知っていたとして、あなたって馬鹿正直に呪いをかけるんですね」


「私は、お前と世界を二分した時から、魔族と人間、その境界はしっかり守ると約束した。だから私はその境界を守るために動いただけだ」


軽く背を向ける


「絶対に交わってはいけない…だけど、ハーフの差別を真っ先に無くすようにしてくれたのはありがたいですよ、神様♪」


魔王は後ろから神へ抱きつく


「神様ぁ、また賭けをしませんか?」


「なっ!またお前は!魔族が滅ぶ未来があるのを救う恩を仇で返すのか!」


「やだなぁ神様。この体はあなたが作り出した体ですよ?だから、どんな子が産まれるか、また賭けをしませんか?ってことですよ」


ちなみに、神は前回魔王にボロ負けしたので

アッシュの後に産まれる子供は、性癖を歪ませるという事を条件付けしたのだった

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