第29話理由を言え
体が…いたい…頭がボンヤリする…
「いま…なんじ…?」
チラッとカーテンを見たら真っ暗。夜中かな?ママがお粥作ってくれてるはずだから…食べないと…。
ポトー。
「あれ?なに?コレ…」
「すぅ…すぅ…」
「イヴ君…。来てたんだ…」
クラクラする頭を抑えて起き上がったら、頭から何かが落ちてきた。これ、水の入った袋?シャパシャパしてる…。
なんでコレが?と思って横の置き台に置いておこうとしたらイヴ君が隣で腕組んで寝てた…。
私の勉強用の椅子に腰掛けて…堅くないのかな?
「寝顔…初めて見た…」
羨ましいくらいにまつ毛長いなぁ…美形だぁ…
これで性格よかったらとっても人気だったんだろうなぁとか考えちゃう。
「…鬱陶しいな。なんだバカ。」
「あ、起こしちゃった…?ごめんね…」
「それだけ見てれば視線で起きる。…まだ顔赤いな。」
「…ん。朝になったら病院行くの…」
「そーかよ。」
…。
うん。そうなんだけど…会話が終わっちゃった…。
あ、そう言えば何か聞きたい事があるって言ってたような…もしかしてそれでまた来たのかな?
珍しいなぁ…イヴ君が。
「イヴ君…さっき言ってた聞きたい事って、なに?」
「答えられんのかよその状態で。」
「うん…。大丈夫。」
「…はぁ。大した事じゃねぇ。…レオの奴がお前が最近何かに焦ってるから理由を聞いてこいってうるせぇだけだ。」
「そ、そうなんだ…。」
「あぁ。…。」
「…。」
「って、言わねぇのかよ。」
おい。って顔のイヴ君と目が合う。
焦ってるように見える…か…。レオさんはすぐに見抜いちゃうんだなぁ。
でも言うのも恥ずかしいと言うか…。たぶん、こんな事考えてるの私だけだろうし…。
「い、言うほどの事じゃ」
「あ゛?」
「…さ、寂しくなっちゃうな。と思ってました…」
「はぁ?なんだそりゃ。意味わかんねぇしくだらねぇ。」
「うぅ…イヴ君から聞いてきたのに…」
鬼のような目つきで睨むから答えたのに…
あぁ、ポキって今聞こえた。心折れたら余計体調悪くなってきたかも…
「くだらねぇだろ。その鏡あればいつでも来れるしそもそも勝手にこっち来てんだろ。」
「そう…なんだけど…。その、私そろそろ三年生だし…えっと…」
「だからなんだよ?」
「〜っ。そ、卒業したらっ…会えなくなっちゃうんじゃないかって…」
「…」
「イヴ君も…ボスになったらきっと今まで通りになんて会えない。それが寂しいなって思っちゃったの…」
イヴ君、怒ったかな?くだらないって。
でも私にとってはくだらなくないの…イヴ君といるのも、レオさんといるのもとても楽しい。
いつも勇気もらってばかりで何も返せてないけど…、二人とサヨナラなんてしたくないんだ…。
「…はぁ。それだけか?」
「え?」
「焦ってた理由。それだけかよ。」
「う、うん…。皆との時間を大切にしたいなって。」
「…男ができたってわけじゃねぇんだな。」
「男…?彼氏ってこと?ど、どどどこからそんな疑惑が!?誤解だよっ、そんな人いないもんっ。」
「だろうな。お前みたいなアホ、貰い手なさそうだしよ。」
「はぅっ!?も、貰い手なら…できるかもしれないじゃん…」
「どーだか。その袋渡せ、氷もうねぇだろ。」
「うん…。」
真剣な顔で聞いてくるからビックリしたのに貰い手ないなんて…そんな将来の事、分からないじゃない。
氷袋持ってまた鏡に入って行っちゃったし…。
はぁ…お粥食べてお風呂入ろう…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます