第23話お出かけとハプニングはつきもの。

イヴ君に街に連れ出されて暫く。


私が何かしたらきっと今日が命日になると戦々恐々しながら後ろをついて歩いてるとこ。


「おい。なんでそんな後ろにいんだ」


「粗相をしたらって…」


「…今更か…?」


「え!?私そんなに粗相してた!?」


「はぁ…まず俺に向かってタメ口きいてる時点で粗相だ。ったく、バカがアホな事考えてんじゃねぇ。」


「うぅ…あれ?でも私生きてる…。」


やれやれなんて眉を八の字にさせてるイヴ君を見て、もしかして思ったより仲良くなれてるのかも。なんて油断が出てきちゃう。


でもそうだよね、だって嫌いだったら街に行こうなんて言わないよね?荷物持ちでも。


ちょっと誤解してたかな?


「はぁ。…どうせこっちに来る事も早々ねぇだろ。」


「う、うん…遠いもんね。」


「ふん。行きてぇとこねーなら俺の行きつけだ。」


「え?」


「あんのか。」


「な、ないです。どんなのがあるのかも分からないから…」


「だろうな。はぐれんなよ、俺は探さねぇからな。」


「うんっ。」


イヴ君が私の行きたいとこを聞いてくれると思わなかった!ただのイジワル大魔王じゃないんだね!


安心しちゃったよ。でもイヴ君歩くスピード速いから本当に置いて行かれないように気をつけなくちゃ。


はぐれたら私、お屋敷どころか日本にも帰れなくなっちゃう。


「ーって、あれ?」


「んだよ」


「思ったより…速くない?」


「はぁ?」


スタスタってレオさんと歩いてる時は驚く程速いのに。今日はなんだかゆっくりなような気が。


もしかしてどこか体調悪いのかな?怪我してるとか?


「イヴ君、大丈夫?」


「お前の頭がか?」


「私の!?その…歩くスピード。いつもよりゆっくりだから…。」


「なんだ、速くして欲しいなら言えよ。歩きにくかったんだからよ。」


「…え。」


えぇぇ?!うそイヴ君急に速くなったっ!しかも一瞬だったけど怒った顔してたし!


私何かしたのかな?本当に置いてかれちゃうっ。


「ま、待ってイヴ君っわ、わ!!」


「!」


マズい、慌てて追いかけようとしたから何かにつまづいちゃった。


頃ぶっー!!


ードサッ!ー


「〜っ」


『Sei ferito?(怪我してない?)』


「え…?あ、わ、ご、ごめんなさい…えっと…」


『?Non sembra ferito.Sei carino!(怪我はしてないみたいだ。君、可愛いね!)』


だ、誰かな。すごくパァとした顔で頭撫でてくる。受け止めて貰えたから怪我しないで済んだけど…。


すごいイケメンさんだ。私イタリア語分からないんだよなぁ…。


「あの…えっと…」


『Adorabile signorina. Ti piacerebbe uscire con me in un bar?(素敵なお嬢さん。僕と一緒にカフェに行きませんか?)』


「??」


ど、どうしたら…


ーパシン!


『!Chi e? (誰だ?)』


「…Questo è brutto. Lei è la mia donna.(悪いな。俺の女だ。)」


「イヴ君?」


困ってたらイケメンさんが撫でる手を叩き落としてイヴ君が間に入ってくれた…。


…すんんごく怒ってるけど…


でも…。私一人じゃ何も答えられなかったからよかった。


『Veramente? Forse è un appuntamento. È stato brutto!cha o!(本当に?もしかしてデートなのかな。それは悪いことしたね!それじゃ!)』


「…このクソノロマが」


「ごめんなさい…。」


な、何か話して爽やかにイケメンさんどこかに行っちゃった。

それを見送ったイヴ君と私だけど。


イヴ君が怖いです…見た事ないほど怒ってるの…。


私殺されるのかな…。


「本当に俺と同い年かよ、腹立つ」


「うぅ…本当にごめんね…。あの人なんて言ってたの?」


「…」


「イヴ君?」


「チッ!!」


あ…オワッタ…


私、オワッタわ。


だって見て、このイヴ君の殺気立った目。


聞いちゃいけなかったんだ。


「チーン…」


「手ぇ貸せこのノロ芋バカ女が」


「全て合体した…。はい…」


ーギュ!


「今度はぐれてみろ。撃ち殺すからな。」


「…手、握っててくれるの?」


「はぐれられて迷惑だからな。行くぞ」


「う、うん。ねぇイヴ君」


「なんだ。文句ならお前のその壊滅的な運動センスに言え」


「グサッ。え、えっと…。ありがとう」


「…は?」


「手、握ってくれて。すごく安心する。」


「そ…うかよ。」


何発かトゲが飛んできたけど。殺されないみたいで本当によかった。


機嫌も少しよくなった?気のせいかもだけどね。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る