第18話学園祭当日
パァン!パァン!って打ち上げ花火が鳴る。
今日は待ちに待った学園祭。
それぞれのクラスが色々な出し物をしていて本当にお祭り!って感じ。校外からもたくさんの人が来て賑わってた。
「イヴ君…レオさん…」
でも私は、2人の安否が気になってそれどころじゃない。
あれから何も連絡がないまま…。来てくれるかな?せめて生死確認でもできれば…
「はぁ…」
友「ため息ついてどした??」
「ううん…なんでも…」
友「ふーん?杏のメイド似合ってるじゃん!可愛いよね、どこの?」
「これは…その。知り合いから借りてて…」
友「へー!いいの持ってるね、その知り合い。」
そんな事を話すのは元カレに振られた時元気づけてくれた唯一の友達。名前は友香ちゃん。
私たちのクラスの萌え喫茶もとても繁盛していて賑わってるの。だから同じ接客担当の友香ちゃんは楽しそうにクルクル動き回ってる。
私は…できなそう。友香ちゃんは私とは正反対な性格だから、たまに羨ましい時がある。
『あ、お姉さんこっち!注文!』
「あ、はい…」
お客さんにそう呼ばれて駆け寄ってみればやっぱりすごくニヤニヤされて気持ち悪い。友香ちゃんは平気なのかな?すごいな。
『可愛いよね、何歳?』
「え、いや…」
『手ぇ白いね?外出てないの?』
「!?」
あっはは。って苦笑いで返してたらおじさんが私の手を取ってスリスリ撫でてきて絶句。き、気持ち悪いっ。
手を払わなくちゃっ
「や、やめ「おい」??」
「コイツは俺の連れだが、何か用かよ。」
『ひぇっ!?』
やめて下さいを言う前におじさんがサッ!と手を退けた。しかもすごい速さで。
一瞬残像が見えた気がしたのは気のせい?
そして私の後ろから、私の頭を鷲掴みにしてグワングワン揺らす人がいる。
とんでもなく不機嫌なこの声…もしかして
「てめぇも嫌ならハッキリ断れ。芋バカ女」
「イヴ…君?」
レ「こんな雑な助け方するの、坊ちゃんだけよぉ?」
「レオさんも…っ。」
やっぱりイヴ君だ!!レオさんもいるっ。
頭を掴む力が緩んでゆっくり振り返ってみたら、眉間にシワを寄せてイライラしてます!って感じのイヴ君と目があって…なんだか、もうっ。
「丁寧に助ける必要あるか。助けられただけ有難く思え。」
レ「んもぉ坊ちゃんったら。杏が絡まれてるの見て私も知らないようなスピードで競歩して行った癖に。素直じゃないわぁ?」
「んなわけあるか。…なんだよバカ女。」
「ーっ。…ひっく…」
レ「坊ちゃんが泣かした。」
「はぁ!?!」
な、涙が。ずっと心配だったから涙が勝手に出てきちゃう。
こんなに安心した事なんてないよ…。2人とも元気だし。怪我もしてないみたいだし。
よかった…。
レ「ほら杏、久しぶりに会って涙なんてナシよ?約束守りに来たんだから。」
「俺は強制連行だったがな。」
レ「乗り気だったクセに。」
「っふふ…ふふ!」
「なに笑ってやがる。腹立つな、お前に笑われる事なんか…な…」
「安心した…。怪我してない?どこも痛くない?」
「ーっ。なんともねぇ。分かったら手ぇ離せ。」
「うんっ!」
嬉しくて嬉しくて、イヴ君の顔をちゃんと見たくて。頬に手を添えて目を合わせてもらったの。
イヤイヤな顔してたけど本当に元気そう!
わぁ、なんだか私まで元気になってきた。
レ「照れちゃって。」
「レオさん!お怪我ありませんか?大丈夫ですか?」
レ「もちろんよぉ。それより席に案内しなさいな、杏の出番終わるまで待っててあげるから♡」
「はい!美味しいの持ってきますね。」
レ「期待してるわよぉ〜ん!」
イヴ君もレオさんも案内した事だし。
私も当番終わるまで頑張らないといけないな!
2人とどこを見て回ろうかな…。楽しみ!
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