第15話学園祭の出し物は?
これはある日の事。
レ「ねぇ杏??これなぁに?」
「あ、それは…」
日本に遊びに来る事も増えたレオさんから差し出されたビラ。
それは私の学校で行われる学園祭のお知らせのもの。
すごくウキウキして見せてくるの、きっと当日は来てくれるんだろうな!
レ「学園祭って日本の学校のお祭り?よね!私も見に行きたぁ〜い!」
「お祭り…そうですね!そんな感じです。一般の人も来られるのでぜひ来てください!」
レ「んま!一般の人…。うぅ〜ん!言われ慣れない♡中々いい響きね♡」
そ、そうか。イヴ君がマフィアだからレオさんもマフィアなんだ。
すごく優しくて怖いとこなんて見ないから忘れちゃいそうになる事があるけど、一般とはかけ離れた世界の人達なんだよね。
私にも新鮮な反応。
「ふふ!イヴ君も誘って来てくださいね!」
レ「坊ちゃんも?うーん、来るかどうか分からないけど。一応言ってみるわ!」
「はい!」
レ「杏は何をやるの?」
「…。にっこり。」
レ「?」
「楽しみにしていて下さい。」
レ「え??」
私のクラス、喫茶なんだよね。
…萌え系コスプレの…。
決まった瞬間目の前が真っ暗になったわ…。
裏方をすっごく志願したけどクジで全て決まってしまって…。
クジ運ないからなぁ私…。
「あ、そろそろご飯にしません??今回は美味しく作れたんですよ〜。」
レ「ちょっとちょっと!私の質問は!?」
「レオさんグラタン好きですよね??頑張ったんです〜。」
レ「杏!こら!」
「うるせぇな。なんだよデカイ声出して」
レ「坊ちゃん!?んもう、いきなり鏡から出てこないでちょうだいっ」
あ、本当だイヴ君だ。
すごいしかめっ面してるからお仕事中だったのかな?
ペンを持って額をカリカリかいてる。
これがイライラしている時の癖なんだって、最近知ったの。
「うるせぇよ。んで、何をそんなに騒いでんだ」
レ「それがねぇ?杏ったら学園祭で何やるのか教えてくれないのっ。こんなに質問をはぐらかすなんて…気にならない?あの杏がよ?」
「…。おいバカ女、なにやるんだ。」
「イヴ君もお腹空いてない?追加で作るよ!」
「質問に答えろ。脳天ぶち抜くぞ。」
カチリ。
って音をたてるのは黒くて冷たい…け、拳銃。
ずるいよこんな脅しするなんて!!怖いよ!!
「〜〜っっ。」
「言え。」
「…コスプレキッサ…」
レ「え?」
「コ…コスプレ喫茶…です…」
レ「えぇぇぇ!?!って事は…杏まさか!?」
「クジで接客になりましたぁぁ…わ、私クジ運なくて…でも恥ずかしくて…」
「くだらねぇ。だったらレオに学園祭の事なんか教えんな。行くって言うに決まってんだろ。」
「ひっぐ…だってぇぇ…レ、レオさんと回れたら楽しいだろうなって…ぐす…。」
レ「杏…あなたっ」
「はぁぁ…。」
もう心折れた…恥ずかしさと逃れられなかった気持ちでもう涙止まんない…
拳銃なんて突きつけられたらムリだよぉぉ言っちゃうよ…
だってイヴ君マフィアだし。イライラしてるしっ。
きっと本当に撃つよっ。
「コスプレなんてした事ないしなにしたらいいか分からないし…。私にはそんなハードル高いのムリだよ…」
「うぜぇほどの陰キャだしな」
「ぐふっ…ごめんなさい…」
レ「何言ってるの!?コスプレならメイドをすればいいわ!!坊ちゃん、Sサイズの制服あるわよね??」
「は?あぁたしかに何着かあるな。こっちでは着るやつが珍しいが。」
レ「んふふ…杏〜、可愛くしてあ・げ・る♡」
「え?」
レ「坊ちゃん!!今すぐSサイズの使用人の制服持ってきてちょうだい!!」
「ざけんな。自分で取りに行け」
レ「私はその鏡通れないのよ!!さぁさ、早く早く!!」
「い、いやそんな…迷惑じゃ」
「迷惑だ。その辺で買えるだろ。」
ほら!今はダメだよ絶対機嫌悪いもの!!
だって顔がもう肥溜めを見る目だもの!!
レオさんお願い、怒らせないでっ
レ「坊ちゃん。持ってきてくれたら杏がダイフク作ってくれるわよ。」
「ピク」
レ「お気に入りのコーヒーマフィンも。」
「私ですか?」
レ「いいのかしらん?私が全部食べるわよ」
そんなまさか…それだけで動くわけ…
「チッ。」
ートプン…。
「き、消えた…」
レ「んふふ♡さ、メイクも考えましょうね!!言ってくれればもっと色々用意してきたのに!」
「あ、はは…。」
これは…ご飯先送りになりそう。
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