第14話倍返し
「…」
「…」
「あのぉ…。」
「なんだ 」
あれ、おかしいな。
学校が終わって家に着いて、さっそくお菓子作ってたはずなんだけど。
イヴ君が珍しくキッチンまで降りてきてそのままズルズルと街に連れ出されちゃった。
目的も分からないし無言だし。
何か欲しいのかな??
「…。レオが持ってたやつ。」
「え?」
「あいつ帰国後から、すげーうるせぇんだよ。これが110円!ジャッポーネ最高!ってな。」
「110円…。100円ショップの事かな?」
「それだそれ。どこにあんだ」
どこにって、どこにでもあるけど…
もしかしてそれが見たいがために??
「ふふ!」
「んだよ」
「イヴ君はそういうのって関心持たなそうなのに。意外だなって!」
「チッ。レオの奴があまりにも浮かれるからな。中々みねぇぜ、あのカマ野郎があんなに浮かれるの。」
「そうなんだ。くすくす、じゃぁ今日は100円ショップ巡りでもしよう!」
「巡り?複数あるのか?」
「うん!そのお店によって揃えてるものが少し違うんだ!」
あ、なんだか顔がホクホクしてる!きっとすごく気になってたんだ、これ。
もっとドライかと思ってたけど、こういうとこはなんだか同い年だなぁって感じちゃうなぁ。
さっそく街に行かないと!
「ニヤニヤすんな。複数あんならさっさと案内しろ。」
「うん!」
今日は特段機嫌がいいみたい。何かいい事でもあったのかな?これならいつもみたいに怒らないよね!
「まずはこのお店。レオさんと来たのもここなの」
「へぇ」
「レオさんはね、これを見てて…」
「?」
キッチン用具売り場まで行けば少し先に見知った顔。
元彼だ。
やだな、すごく気まづい…。見つからないうちに逃げようかな。
「その…私は向こう行くね」
「案内すんじゃねぇのかよ」
「ほ、他のお店で…」
元「あ。」
「あ。」
「あ?」
みつ…かった…
どうしよう気まづさで顔が引つる…
イヴ君も眉間に皺を寄せはじめたし。
タイミング悪いよ…。
元「…それ今カレ?」
「え、いや…」
「今カレ?って事はコレが元カレかよ。ダッセェ」
元「はぁ?なんだよコイツ。」
「え、え。いや、えっと」
「まさかこんなガキクセェ男に振られたぐらいで大騒ぎしてたとは…。お前もやっぱバカだな。」
はぁ。って!!
ため息ついてくだらないモノを見るように見下されてるけどっ!!
お願い喧嘩売らないで…何も見なかった事にしてこの場を離れてっ
元「ガキクセェ?俺のお下がりと付き合ってるクセに言えるかよ」
「ピクッ」
元「羽月もこんなのと付き合うとか頭おかしいだろ。最近少し可愛くなったからって調子乗んなし」
「べ…べつにそんな事」
元「なんだよ」
「ビクッ…」
すごい怒ってるよぉぉ…なんか飛び火して私まで悪く言われちゃってるし…。
イヴ君の機嫌も急降下だし…
せっかくお出かけしてたのに。
元「つーかセンスなくね?こんな大人しいだけの優等生好きになるとか。全然おもしろくねーじゃんコイツ」
「ぅぐ…」
元「だいたい別れて3ヶ月くらいで新しい男掴まえるとかビッチじゃん。つまんねークセに」
わぁ…どうしよう。集中砲火されてる。
いきなりこんな言われると思ってなかったから…
さすがに泣きそう。
「じわ…」
「…。はっ(笑)それだけか?」
元「は?事実だろ」
「イヴ君…もう行こうよ…」
「バカ女が。言われたままで逃げるから調子に乗らせんだ。…ちょっとこっち来い。」
ーグイ!!
「わ!いきなり引っ張らないで!」
「るせぇ。お前は何も聞くなよ。」
「??」
な、なに??向かい合わせにされて耳を塞がれた…。
何を言うつもりなの?
元「見せつけかよ。うぜぇ。」
「ざけんな。てめぇに言っておく」
元「なに負け惜しみ?それこそダサくね?」
「ふん。女を磨けるかは男の力量次第だ。」
元「は?」
「たしかにコイツはどんくせぇ芋女だが。その女をてめぇらが見て可愛く変わったと思うんならそれは俺の男としての力量が成した結果。」
元「っ」
「だいたいお下がりだ?元の良さも見極められず新品同様に捨てたのはてめぇだろ。なに嫉妬してんだ。」
元「別に嫉妬なんか」
「どうでもいいが。優等生?上等だ。俺はてめぇらみてぇな頭の悪ぃ猿はいらねぇ。」
元「っ」
「賢く気立てがいいバカだから傍においてやってる。女を磨ける力量もねぇ。目利きもねぇ。キャンキャン騒ぐだけの情けねぇ奴が一丁前に俺のパシリに文句たれんじゃねぇよ。」
元「っんの!!」
「消えろ。てめぇと話すだけ時間の無駄だ。」
「…も、もういいの?」
「ふん。行くぞパシリ。次の店だ」
「うん」
よかったのかな?塞がれてた手が降ろされたから話は終わったんだろうけど。
元カレ、すごい悔しそうな顔してた。
何を言ったんだろ?
「…おい。」
「ん?なに?」
「いや…。気にしてねぇならいい。」
「??うん。イヴ君が怒ってくれたみたいだし。ありがとう。」
「気に入らなかっただけだ。」
「ふふ!ねぇなんて言ったの?殺すとか言ってないよね??」
二言目には殺すって言うからちょっと心配なんだよね。
って思って聞いただけなのにっ!
ービシッ!!「あいたっ!!デコピン!?」
「調子に乗んな。あんな猿、殺す価値もねぇよ」
「うぅ…。あ、じゃぁ私は殺す価値くらいはあるって事か。」
「…はぁ…。早く案内しろ。」
「うん!次はねー。」
まぁなにはともあれ。
機嫌よくなったからいいのかな?
今後なにも起きませんように!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます