第13話イヴの正体
大騒ぎでイヴ君に食べ比べをしてもらって、私の作ったお菓子も渡して。
ママも大喜びでご飯いっぱい作って。
そんな賑やかな夜はあっという間だった。
「レオさん、気をつけて帰って下さい」
レ「もちろんよ。後であのお菓子の作り方教えなさいよね!」
「ふふ!もちろんです!」
翌日の朝、レオさんのお見送りに空港まで来て分かれを惜しむ。
あの鏡があるからすぐに会えるんだけど、こうして会うのは滅多にないからちょっとだけ寂しい。
そう、鏡を使えばすぐに会えー…
「ん?あれ?」
レ「あら、なによ?」
「なんでレオさん、鏡のこと知ってるのかなって。」
レ「…。すぅ。ねぇ杏??それ今更??」
嘘だろおい。って顔で私のおでこに手を当てるレオさん。
たしかに今更だけど、出会いもインパクト強かったから今まで気にも止めなかった。
だけど普通驚くよね??鏡を通り抜けるの?って。
「えっと…ごめんなさい」
レ「まぁ貴方らしいけど。初めて会った時覚えてる?あの日、坊ちゃんに全部聞いたのよ。」
「そうなんですか?」
レ「えぇ。最初は信じられなかったけど坊ちゃん普通に通り抜けてたし。でも私は抜けられなかったわ。なんでかしら?」
そうなんだよね、私の友達も普通の鏡に見えてるみたいだし。
なんで私達だけ?って言うのはずっと思ってた。
「他の方で試したりとか…」
レ「無理ねぇ。組織の関係上、この事を他に広く認知させたくないでしょうし。」
「そうですか…。ん?組織??」
レ「え?あら!?もしかしてこれも知らなかった!?うそん!?」
え?え!?なに、この反応怖いよ!?
あらヤダどうしましょうってあのレオさんがすごくオロオロしてるっ。
私聞いちゃいけない事聞いちゃったかな??
でも、何を言われてもレオさんやイヴ君を嫌いになるなんてできない。それこそ今更だよ…。
「え、えっと!!私…嫌いませんからっ」
レ「!?な、なにが?」
「その…聞いちゃいけない事だったかもしれないんですが…。でも、2人とも大好きですし…」
レ「…」
「今更嫌いになんてなりません。」
う、上手く言えないけど、伝わったかな?
あんなにオロオロしていたレオさんが今ではピタッと止まって私を真剣に見てくれてる。
そんなに重要な事なんだ…。
聞かない方がいい??
レ「ま、あなたなら大丈夫でしょ。坊ちゃんもいるしね。」
「え?」
レ「腰抜かさないでよぉ?実はねー」
「!?」
そうして困り顔で笑ったレオさんが教えてくれたのはとんでもなく驚愕する話。
私これ、今日イヴ君に会えるかな…。
◇
レオさんが飛行機に乗って暫く経つ。
あんな事聞いた後でイヴ君に会いずらい…
もう少し時間置いていいかな。
「おい。」
「あっひゃぁぁ!?イヴ君!?」
「お前それ悲鳴のつもりか?」
ビックリしたぁ!!突然背後から声かけないでよぉぉっ!!心臓止まるかと…
って待って、イヴ君だっ。どうしよう、どう接したらいいんだろ…
「まぁいいや。食いもん出せ」
「食べ物?もぉ、そんな言い方よくないよ?」
「チッ。うるせぇな」
「ごめんなさいすいません」
わぁ、私ってこんなに早く謝れたんだ。初めて知ったなぁ。
「なんだよその謝罪新記録。…もしかしてレオから何か聞いたのか」
「えっと…その…」
「はぁ。聞いたんだな。嘘がド下手くそのクセに誤魔化すな。どこまで聞いたんだよ」
うん…イヴ君すごくイライラしてる…。
言っても余計怒らないかな。大丈夫かな。
「その。イヴ君がイタリアの大きいマフィアの息子だって。…時期ボスだって。」
「違いねぇな。で?お前はどうすんだ。他言しねぇなら生かしておいてやるぜ」
ドサッと音を立てて当然のように私のベットに腰掛けたイヴ君。
やっぱり…離れるしかないのかな
「私は…その…イヴ君と会いたい。」
「…は?」
「せっかく仲良くなれたのに…。お友達になれたのに…」
「…。ちょっと待て、誰と誰が友達だよ?」
「え?私とイヴ君。」
「はぁぁ?おまっ…それ本気で言ってるのか?」
うわっ、なに?すごいバカを見る目!!
本日2度目の嘘だろおいって顔っ。なんで!?
「本気だよっ。私が知っちゃったって知れたらもうお別れするしかないのかなって。…怖くて会いずらかった…」
「なんだそれ。はぁぁ…」
「うぅ…」
やっぱり…バイバイ…なのかな。やだ、泣きそう。
「ったく…。自惚れんな芋女」
「芋!?」
「俺とお前は友達じゃねぇ。よくて主と使用人だ。ランク上げてんじゃねぇよ。」
「し、使用人かぁ。大変そう…。」
「ふん。つー事で、食いもん持ってこい。特別に待っててやる」
「分かったよぉ…。あれ?ていう事は…」
「…。鏡は残しとく。他言するなよ。」
「!!」
残しとくって事は!!お別れしないでいいんだ!
よかった…すごく安心した。
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