47話
怠惰と傲慢の二人が合わせた魔法で、二人はとんでもない状態に陥った。
啓一と湊はとんでもない倦怠感に襲われ攻撃に移行できず、冷静な思考をしようとしても、驕った思考が捨てきれなかった。
「なんやねんこれ・・・」
「七つの大罪の怠惰と傲慢を刺激されたってところだろ・・・やべぇ」
二人は突如として睡魔が襲い掛かってきた。
更に加えて眠らないように意識を保とうとしても、頭のどこかで寝ても俺ならなんとかなるという、自分に絶対の自信がある傲慢さまでもが飛び出していた。
「人間である以上、この力に抗うことはできぬ」
「あはは!わかるぜ!その特性でオレっちも痛い目みたかんなぁ!」
「精神干渉・・・これの所為で飯田も・・・」
精神干渉系の魔法は啓一はほとんど効かない。
ダインスレイヴ事態が精神干渉に近い状態な為、上書きされるからである。
つまりダインスレイヴの渇きの衝動よりも強い精神干渉と言うことになる。
「思考も出来ねぇ・・・とんでもねぇ」
「くっそ・・・」
「呆気ないなぁ・・・まぁ楽で良いけど」
「オレっちは不完全燃焼だなぁ。楽しみにしてーーー」
言葉を紡ぐ前に、啓一からとんでもない魔力が放出されたので後ろに戦くギュラ。
それがギュラにとっては許せなかった。
「オレがオレっちが、後ろに下がっただと!?ふざけんなぁ!」
「はぁ・・・黙ってろダァホ」
啓一が立ち上がれた事に、怠惰のアサティアは驚きを隠せない。
自分自身が怠惰に抗うのに、かなりの時間を欲した。
だと言うのに、啓一は初めて受けた怠惰の欲求を抑え込むなどありえないと思っていた。
「気持ち悪ぃんだよ!」
啓一はそう言いながら目を押さえ込んでいる。
髪の色は依然白のままだが、目の瞳孔が細く鋭くなっている。
「ダインスレイヴ行くぞ」
次の瞬間、アサティアの頭は弾け飛んだ。
動きがまるで見えなかったギュラは、今度は傲慢さを忘れて驚愕の表情に変わった。
「なんだいまの?」
「次はお前だ」
瞬間で目の前に現れる啓一だったが、すぐに腑に落ちた顔になるギュラ。
ギュラは魔剣の存在を知っており、ダインスレイヴの特性をすぐに理解したのだ。
「あぁ、そういや魔剣だったなそれ。相性悪いぜ。主な能力は身体能力の向上か」
「だったらなんだ!」
「圧倒的に強力な反面、代償が重たい。つまり長期戦に向かないのがその魔剣の弱点だ。違うか?」
啓一は何も言わないが、これはダインスレイヴの弱点の一つとして課題になっていたものだった。
「あぁー、痛いなぁ」
「蘇ったな」
「まさかとは思ったけど生き返るのか」
湊が殺した発言から、死人が蘇ったことは明確だった。
それに加えてギュラの言葉。
蘇る回数に限界はあっても、ダインスレイヴ本来の供給力では殺し切れないと確信を持っている発言だ。
「おい、千葉起きろ」
「それは山々だが起きれねぇんや」
「まぁ仕方ないな。今日の今日まで心ここに在らずだったお前は無能だもんな」
「あ・・あ″?」
湊も啓一同様に起き上がる。
二人して大罪に打ち勝てるとは思っていなかったので、魔王二人は少しだけ冷や汗をかく。
「おせえぞ!」
「頭くらくらするわ!でも啓一のおかげでコイツのコントロールは上手く行った」
「まだだ。コイツらは圧倒的に強力だ。協力しなければそう簡単に勝ちはくれねぇぞ」
「わーっとるわ!一度は殺した相手や!余裕やて」
啓一は前に立ち、後方に下がって剣を構える湊。
そして鞘に戻して居合の体制に入った。
「何分いる?」
「2分は欲しい」
「了解」
啓一はダインスレイヴを両手でもち、ありったけの魔力を放出する。
ダインスレイヴの強化値は、魔力の吸収率で変化する。
啓一はその圧倒的な強化値を二人にぶつけようとしていた。
「そんな魔力を放出したところで、代償を支払わなければすぐにガス欠だ。違うか?」
「・・・だった」
「あぁ?」
啓一は口角を精一杯あげた後、目を血走らせて攻勢に出た!
「弱点だっただけだ!」
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