46話

 外に飛び出した啓一だったが、別方向に飛び出していた湊がすぐに啓一の方へと吹き飛ばされてしまったので、合流することになってしまった。


「おま、ふざけんなよ!?こいつら同時に相手すると不利だから離れたのに」


「ほんますまん!あいつわざわざこっちに飛ばしてきたんや!堪忍して」


「ポンコツが!せめてそのポンコツは今出すなよ!」


「自分こそ、ワイと闘った時はそんな成しとらんかったやん!舐めプか!舐めプしとんのか!?」


 二人が急に仲間割れし始めるが、それは魔王側も同じだった。

 魔王は仲間というわけではないが。


「獲物横取りする気かよ!こっちは一番強そうなのと当たれて楽しみなのによぉ!」


「だって一人で相手するのめんどくさーい!」


「ちっ、まぁいいや!俺一人でもなんとかなるか」


 しかし怠惰と傲慢はかなり相性がいい。

 自分の力を過大評価している傲慢と、何をするにもやる気がでない怠惰。

 長い喧嘩が起きるはずもなかった。


「話まとまっちまったぞ!てめぇ、足引っ張ったら許さねぇからな!」


「ワイは啓一のこと知らんのやからな!あーもう、初手はもらうで!」


 そういうと、息を吐いて刀に手を置く湊。

 その瞬間、地響きがなり始めた。

 これには一同が驚きを隠さない。


「おい、なんだ!?」


「奴の居合が来る!」


「千葉流第8秘剣:美!」


 その瞬間世界の一部が割れた。

 文字通り空間に亀裂が入ったのだ。

 斜線にいたギュラの左腕は肩からもぎ取られている。


「おーやるじゃねぇの」


「だけど、こんなことで沈むタマでもねぇと思うで」


「まぁそりゃそうだろうな。腕を取られてるんだし」

 

「ってぇな。空間を切断したのか?魔力を感じなかったが」


「あれで俺は死んだー」


「流石に警戒していたのに、まさか腕を持ってかれるとは思わなかったわ!だが」


 次の瞬間ギュラの肩から先は再生した。

 これは彼と魔王時代に対峙した波子は知らない能力。

 つまり生き返ってから手に入れたものだった。


「超速再生はダインスレイヴ以外で見るのは初めてだな」


「細切れにしちゃる!こっちはベルを絶対に殺さないとならへんからな」


 しかし二人は協力関係を築き、こだわりを捨てるのはそう遠くない未来だった。

 それは、二人の魔王が手を後ろに構えて、二人が手を囲うようにしてる場所に場力がたまり始めたのだ。

 そして次の瞬間、その魔力は前方へと放たれた!


怠惰なる傲慢エゴジネス!」


 その言葉と共に、魔法の威力であたりは光に包まれた。

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