第42話

「おい、高校生がラブホに入るのはどうかと思うんだが・・・」


 流石の恵も今回ばかりは船橋の言葉に同意していた。


「うっせぇな。高校生ならラブホなんて普通に入ったことあんだろ初心が」


「私一応女の子なんだけど、女の子を連れてくるのはどうなのかな!?」


「・・・これは捜査の一環!」


 啓一も改めて言われると何とも言えない気持ちになる。

 しかしやましいことは今回は何もないのだ。

 そのため、部屋を開けるのも捜査の一環である。

 決してやましい気持ちは啓一にはないのだ。


「え、だ、誰!?」


「おいてめぇ!何ひと様の部屋開けてんだ!常識考えやがれ!」


「うるせぇ!こちとら人命かかってんだ!そんな些細なことで一々突っかかってくんじゃねぇ!」


 啓一はしっかりと開けた女性のあられもない姿をしっかり目に焼き付けている。

 それでも頬を赤らめたりしないあたりは啓一らしいが、恵と船橋の視線はどんどん冷たくなるばかり。

 この状況でスタンスを貫く湊は大したもんだと二人は思ったが、口にしてしまえば言いくるめられる自信があるため、絶対に口にすることはなかった。


「俺さ、ラブホを躊躇わずに開けるこいつの神経やっぱイカれてると思う」


「奇遇だね、私もそう思うよ。啓一くんは頭のネジが外れてる」


「なんか言ったか?」


「「なーにも」」


 ドアを開ければ男女がまぐわう姿も少なくない。

 当然ホテルの使用目的がそれなのだから間違ってはいないのだ。

 しかしだからって躊躇わずに開けることはないだろうと、客達に同情しながらもラブホを次々としらみつぶしに探していく。


「はぁ、いねーな。どういうことだよ」


「それはこっちの台詞だよ!啓一くんがマークしてたトコロ全部ダメじゃん。恥ずかしいだけで何も得るものがなかったよ!」


「しかし演算でだしたから間違いないはずなんだが」


「啓一くんは常識が間違ってるからね!?」


 恵の言葉に啓一は一つの閃きが出た。

 常識を間違えると言うこと、それが紐解くかけらだった。


「高須、それだ!あいつらはラブホの座標の地下にいるに違いねぇ!」


「私、君が何を言ってるかわかんないよ!?」


 啓一ご機嫌になるが、恵の不信感は拭えなかった。

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