第10話

「あれ、ライの姿がないんだけど、どこに行ったか分かる?」




学園長室での用事を終え、僕が教室に戻ると教室にライの姿がなく、手近な所にいたクラスメイトを見た。




「あー、ライならなんかさっき出てったのは見たけど、どこに行ったかまでは知らねーな」




「そう…分かった」



僕が踵を返して教室から出ようとすると今度はクラスメイトの方に呼び止められた。



「なあ、ホワイト」



「なに?」



「ブルーと婚約したって噂マジ?」



「そうだけど?」



顔色一つ変えずに答える僕にクラスメイト達は「おお〜」と声を上げる。




「それがどうしたの?」



「いや、ホワイトって聖女候補と結婚するとばっかり思ってたからさ。家の反応はどうなのよ?」



「まあ、僕には兄が居るからね。僕が他の誰と婚約しようと、ホワイト家はどうってことないさ」



ふっと微笑む僕にいつの間にか集まって来ていたクラスメイト達がうっとりとした表情になる。



無意識に放たれるこの光のオーラは万人を魅了してしまう。



こういう時は特に鬱陶しい。



しかし、基本的には肯定的な生徒の中にも、邪な者も当然混ざっており、「ブルーが男に戻ったらどうするのか」などと口を挟んできた。



(くだらない質問だ)




僕は内心で軽蔑した後、本心をいつもの微笑みで隠す。



「ライが男であろうと女であろうと、僕はライに僕の人生を捧げたいんだ」




僕がそう言うと、特に女子生徒が勝手に盛り上がり始める。



「じゃあ、僕はこれで」



黄色い声を背に、僕がやっとのことで教室を出ると、おそらくライが通ったであろう方向に微かにライの魔力の気配が感じ取れた。




(この方向は…裏庭?)




ライの魔力を追って歩いていると、ライの魔力に混じって暗い魔力を感じた。




「!?」



(闇の魔力…!!)




光の魔法を使えるのがホワイト家だけであるように、闇の魔力を使える存在もまた限られている。




裏庭に近付く度に闇の魔力は強く感じられ、僕は裏庭へと走った。



そして裏庭へと辿り着くと、裏庭のベンチには深くフードを被った人物と、その傍にライがいて、フードの人物の顔を覗き込もうとしていた。




「ライ!!今すぐ離れろ!!」

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