第4話

引き込まれた先は真っ暗な部屋で、そこには5、6人の男子生徒達が待ち構えるように立っていた。




(なんだこの状況…こんな展開、このルートにあったっけ?)




見覚えのない展開に私が戸惑っていると、一人の男子生徒が近寄って来て唐突に私の肩を強く押した。



そしてその衝撃に耐えられず、そのまま後ろに尻もちをついた私を見て、その場にいた全員が声を上げて笑った。




「魔法薬で女になってるって噂、マジだったんだな?魔力も相当落ちてるみたいだし」




「は?つか見た目じゃ全然分からんねーよ、コイツ元々女見たいな顔してんじゃん、ほんとに変わってんのか?」




「ま、脱がせて確認すれば良くね?」




「それもそうだな」




(は?え?脱がす?脱がすって言った?誰を?え、待ってもしかして私が脱がされんの?嘘嘘嘘嘘、つかコイツら誰だよ〜!!)




突如として陥った危機的な状況に、私はパニックになりながらも、反射的に体はこの場から逃げ出そうと立ち上がろうとした。



が、すぐに一番近くにいた男子生徒に硬い床へと押し倒され、次々と駆け寄ってきた他の生徒達に手や足などを押さえ付けられてしまった。




「はなして!」



「離す訳ねーだろ、お前に仕返しできるチャンスは今しかねーんだからよ」



「仕返し?なんの話?今解放してくれれば学園には報告しないから」



男子生徒に馬乗りにされ、手足も押さえつけられた状態で、私は恐怖で声が震えないように精一杯平静を装った口調で言ったが、そんな私を男子生徒達全員が悪辣に嘲笑った。



「は?こんな状況でなに偉そうに言ってんだよ?だからボンボンは嫌いなんだよ、家柄を鼻にかけやがって!」




「うぜぇーんだよ!名家だかなんだか知らねーけど学園にも贔屓されて調子乗りやがって!」




「所詮お前も親の七光りなんだよ!生まれた家が違うだけで、お前も所詮は俺達庶民と一緒の出来損ないのくせに!」




「だから俺達がお前の無様な姿を世に晒してやるよ!ブルー家のお坊ちゃまが魔法薬実現に失敗して女になった拍子に男に犯されちゃいました〜ってな!」



「そうなりゃお前の親もお前を見放すだろうな?こんな醜態を晒した奴を跡取りなんかにしたくねーだろ?あっはは!これでお前の頼りだったコネもなくなってドン底人生って訳だ!」




自分達の企みを堂々と告白した男子生徒達は一斉にゲラゲラと楽しそうに笑い声を上げる。




そうして一頻り笑うと、今度はいやらしい手つきで私の体に手をはわせてきた。




「ふざけんな…」



推しを散々バカにされた挙句、推しの体まで汚されてしまうかもしれないというこの状況で黙って耐えられるヲタクが何処にいるというのか。




「ライはとんでもない努力をしてここまで優秀になったんだ!お前らみたいな他人を貶めることしか考えられない奴等と同じな訳ないでしょうが!」



怒りを抑えきれず、私は私に馬乗りになっている男子生徒の腕に噛み付き、同時に手足をバタつかせて逃げ出そうとした。




だが、流石に男5人の力には叶わず、逃げ出すどころか顔を殴られて完全に抑え込まれてしまう。



このままでは推しの身が無事では済まない。



(魔法が使えればこんな奴等きっと吹っ飛ばせるのに…!その魔法の使い方がわかんないなんて!くそぅ…!あ、でも呪文!呪文でなんか出来ないかな、えーと呪文呪文…!なんかなかったかな?なんでも良いから覚えてる呪文言ってみるか、出来れば攻撃魔法であってくれ〜!推しの貞操を守る為だ!)



『ええい、ままよ!我が聖なる騎士よ、今こそ我が元へ!!』



体を押さえ付けられながら私が渾身の力を振り絞って叫ぶと、薄暗い部屋の中に眩しい光が溢れ、その光の中から輝くプラチナブロンドの髪の青年が現れた。

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