第5話
「こんな所でなにやってんの?君達」
突然のメロウの出現に男子生徒達は慌てふためき、一斉に私から離れていく。
「そこに居るのはライかな?ずっと探してたんだよ、僕が後輩と話している間に気がついたらいなくなってたんだもん。………もしかして、君達がココに彼を連れて来たのかな?」
メロウはゆっくりと私の方へと向かって来ながら、ジリジリと距離を取る男子生徒達をそのカーネリアンの瞳で見渡す。
優しい微笑みを浮かべているのに、彼の醸し出す迫力のせいで男子生徒達は誰も言葉を返すことが出来ない。
伝説の聖女に最も近いとされるホワイト家の血筋を感じさせる神々しさとその誇りが私達に格の違いを見せつける。
「ライ、大丈夫?怪我はしてない?」
私のもとへとたどり着いたメロウは、そう言って私の前にしゃがみこむと、私の顔から指先まで隅々を観察し始めた。
「怪我はないよ、大丈夫」
そう言って私はゆっくりと上半身を起こし、ヘラりと笑って見せると、それが良くなかったのか、
さっきまで薄く微笑みを称えていたメロウの美しい顔から一瞬にして表情が消えた。
【ねぇ、その頬っぺた…殴られたの?】
「えっ、あ…まあ、ちょっとだけ…でももう痛くないよ!」
痛みを誤魔化しながら様子のおかしいメロウに向かってヘラヘラと笑い続けたが、どうやら私の声は届いていないらしく、メロウはそのカーネリアンの瞳で私の腫れた頬を凝視しながら指でそっと私の頬に触れた。
「いって…」
突然メロウに腫れた頬を触られ、私が痛みで反射的に顔を背けたその瞬間、メロウはスっと立ち上がってビビりまくる男子生徒達を振り返った。
【殴ったのはどいつだ?】
ゲームでは聞いた事のない、メロウの怒りに満ちた低い声に、男子生徒達だけでなく、私まで背筋が凍った。
ライのことなど、自分の株を上げる機会を多くくれる都合のいい根暗としか思っていないはずのメロウが何故怒っているのかは分からず、私はただ呆然と彼の背中を見つめた。
ゲームでは見た事のない展開に私は純粋に興味があった。
メロウに睨まれた男子生徒達は、疎らに散ってそれぞれが転移魔法を使って逃げ出そうとしたが、何度呪文や魔具を起動させても部屋から出ることが出来ず、勝手にパニックに陥っていた。
「ま、魔具が!なんで!?」
「呪文も効かない…閉じ込められた!」
「嘘だろ!?だって外にはアイツらが…」
【外にいた鍵開け係のこと?それならココに入る前に僕が浄化しておいてあげたよ】
「じょ、じょうか!?お前本気で言ってんのか!?俺達は一般生徒だぞ!?」
【だからなんだって言うんだ、不正や悪巧みに対する処罰に立場なんて関係ないだろう。自分の家に力が無いのは君達の先祖が歩んできた結果だろう?ライのせいでも僕のせいでもない。本当に力が欲しいなら、こんな悪巧みをする時間を魔力開発にでも費やしたらどうだ?この出来損ないが】
「お、まえ!ホワイト家の人間だかなんだか知らないが調子乗りやがって!こっちは5人だぞ!?いくらお前が優秀でもこの人数に勝てる訳ねーだろ!もっともの考えてから言えよな!」
メロウの言葉に地雷を踏み抜かれた男子生徒達は、逃げる体勢から一変して戦闘モードになってしまった。
こうなった時のメロウの戦い方は決まっている。
私はヨロヨロと立ち上がってなんとか部屋の隅へと寄り、着ていたサイズの合わない制服のブレザーを脱いで頭から被った。
そうしている内にまた男子生徒達の方が一言二言メロウに対して罵声を浴びせ、攻撃魔法を繰り出す。
まさにメロウの狙いはこれだったのだ。
魔法学校と言えど、生徒は魔法士見習いの身。
完全に魔法を制御できる訳ではないので授業以外での魔力の使用は禁止となっている為、よっぽどのことが無い限り魔力を発動することは出来ない。
まして、ホワイト家の血を引くメロウは他の生徒よりも強力な魔力を有している為、自分より格下の相手に自分から攻撃することは出来ない。
だから彼は相手を挑発して先に魔法を使用させたのだ。
「僕が光魔法を使うことは全員してると思ってたけど…まあいっか」
男子生徒達の無駄な攻撃にメロウは満足気にニッコリと微笑みながら全ての攻撃を弾き飛ばすと、間髪入れずに手のひらを前に突き出し、ただ一言『浄化』と呟いた。
メロウが呟いた瞬間、メロウの手のひらから大きく広がるように眩い光が発せられ、男子生徒達はその眩しさに目を覆いながら悲鳴をあげ、その場に倒れ込んでしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます