第2話
撫子がそう寂しさに俯いた時、撫子のすぐ後方にひっそりと建っているボロ小屋からガラガラガッシャーンと大きな物が次々と落ちる音がした。
「!?」
その小屋はまだ漁師が海で漁が出来るほど海が安全だった数年前まで、漁師達が使っていた小屋だった。
海軍によって常に海が監視、規制されている今となってはすっかり物置小屋と成り果ててしまった。
そんな"誰もいるはずがない"小屋から物が落ちる音が聞こえたのだから撫子は目を見開いて驚き、数分、体を硬直させた。
絶対にこんな場所にいる訳がないが、もしやあの見合い相手が…などと頭をよぎり、すぐに頭を振って掻き消す。
きっと潮風で腐敗したせいで小屋の内部が破損したのだろう。
(だとしたら中にある物を移動させないと…)
そうは言っても撫子一人では中の物を全て運び込むことは不可能な為、撫子はとりあえず小屋の中がどういった状態なのか確認する為、スタスタと小屋へと入っていった。
「え………だれ……?」
するとそこには見たこともない軍服を着た青年が血を流し、苦しそうに肩で息をしながら沢山の漁具に埋もれ、倒れていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます