第2話

撫子がそう寂しさに俯いた時、撫子のすぐ後方にひっそりと建っているボロ小屋からガラガラガッシャーンと大きな物が次々と落ちる音がした。



「!?」



その小屋はまだ漁師が海で漁が出来るほど海が安全だった数年前まで、漁師達が使っていた小屋だった。



海軍によって常に海が監視、規制されている今となってはすっかり物置小屋と成り果ててしまった。



そんな"誰もいるはずがない"小屋から物が落ちる音が聞こえたのだから撫子は目を見開いて驚き、数分、体を硬直させた。



絶対にこんな場所にいる訳がないが、もしやあの見合い相手が…などと頭をよぎり、すぐに頭を振って掻き消す。



きっと潮風で腐敗したせいで小屋の内部が破損したのだろう。



(だとしたら中にある物を移動させないと…)



そうは言っても撫子一人では中の物を全て運び込むことは不可能な為、撫子はとりあえず小屋の中がどういった状態なのか確認する為、スタスタと小屋へと入っていった。



「え………だれ……?」



するとそこには見たこともない軍服を着た青年が血を流し、苦しそうに肩で息をしながら沢山の漁具に埋もれ、倒れていた。

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