汚れたこの手に君の亡骸を(仮)
椿
第1話
夏のある日、両親が無理矢理設定した見合いを終えた撫子は少々弄れながらそんな気分を晴らす為、
普段あまり立ち寄らない海辺に来ていた。
人の揉み合う町中とは違い、海辺は潮風が心地よく、なにより自分以外誰も居ない侘しさに開放感すら感じた。
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ー!!あんなオッサンと結婚なんて絶対してやるもんかーー!!!!うおおおおぉー!!」
撫子は今日半日分溜め込んだ不満を思いっきり海に向かって吐き出した。
撫子も齢15、
確かに年齢としてはそろそろ結婚を考え始める頃だ。
今日、両親が撫子に引き合わせた相手は20歳を5つも過ぎている。
今の国の情勢を考えると、本来なら徴兵されてもおかしくない年齢だ。
それでもまだこんな田舎に残っているということは、役人に多額の賄賂を渡しているに違いない。
逆を言えばこんな状況でも徴兵を掻い潜ることが出来るほどの財力をあの家は持っていると考えると、両親があの家へと水蓮を嫁がせたい気持ちも分からなくはなかった。
しかし、それでも撫子は両親が自分の結婚を急ぐこと自体に寂しさを感じざるを得なかった。
(私…もういらないのかな…)
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