第11話 高校という名の監獄

「私たち、『三美神』とか言って敬遠されてるでしょ?だからお互い仲良くできると思うの。この孤独と退屈を分かち合えると思うの」


「あんたと同類扱いしないで。私は孤独でも退屈でもない」


 姫川は堂々と言ってのけた。それはそうだ。あれだけ真剣に人と向き合える人が、孤独や退屈を感じるはずがない。


 それに引き換え千歳は、友情も愛情も偽物で良いみたいだ。全ては、単調で不自由な学校生活をやり過ごすための手段に過ぎない。


「そう、姫川さん、あなたは『おめでたい』人なのね。そんな風に楽観的に生きていけるのが羨ましいよ。この監獄の中で」


「監獄監獄とうるさいわね。だったら働けば?」


「私が憧れているのは大学生活。クラスなんて箱に押し込められ、取りたくもない授業を受けるこの高校という名の監獄は、私の居場所じゃない! 私はね、早く高校生活が過ぎればなんでもいいの」


 これまた過激発言だ。


「分を弁えなさい。今を懸命に生きれない人に、将来の幸せは訪れない」


「あぁ、そうだよね。もう、この性格に生まれた時点で私は絶望的。皆を殺して私も死のうかな」


 千歳葉月。なんて面倒な奴なんだ。こちらのちょっとした発言で傷つき、オーバーキルされてしまう。姫川とは真逆だな。何にせよ、俺はしばらくこいつとペアなんだから、方策を考えねばならない。殺されない方策を。

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