第14話

わけがわからず、これも夢なのかとあたしの精神状態は現実逃避をしようとがんばっていた。



だって夕刻に見たあの男が今目の前にいるのだ。



悪夢としか思えない。



でも、



「痛みは一瞬だ。そのまま寝てるといい。」



悪夢はやけに優しげな声で、あたしの頭をそっと撫でながら。



まるで子供をあやすように囁いてきたのだ。



意味がわからないとか、理解が追いつかないとか。



困惑をありありと滲ませることもその時のあたしにはできなかった。

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