第12話

悪い夢を見たのだと。

それくらいのものだと思えないとあたしは自分を保ってられなかったんだ。



でも…、



「う、ん…?」



夜中の3時頃だった。

不意に聞こえた物音に目を覚ましたのだ。



夜行性である彼がゲージの中で目を覚まし、また遊んでいるのだろうと思う程度の目覚めはよくあることで。



「元気だねえ、クーちゃん。」



小さく笑って様子を見ようと身体を横に向けた時だった。



「え…、」



暗がりの部屋の中。

月明かりが差し込む部屋で、あたしが呼んだ黒い彼は何故か部屋の隅に放り投げられていた。

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