第5話 クローフィとは日本語で【血】

「我を舐めるからこうなるのだ。貴様ら一般人が多少、星降り共よりマシな存在とて我にとって塵芥に過ぎん。分かったならば早々にぎるどの加盟とやらをせよ」


「は、はい……っ」


「……所詮は人間。強欲で愚かな生物でしかあらぬな」


 我が技能によって空からは血が降り、血は星降り共を貫いた。

 少々しぶとい星降りも居はしたが、所詮は星降り……我が血鎌を振るえば首が簡単に飛んだ。


「一体誰が貴様ら生命体を守っていると……いや、我の存在なぞ知られておらんのだったな」


 生まれた時に与えられた義務とは言え、間接的にではあれど、かの様な愚図すらも守らねばならぬのは少々不満だ。

 全く……この世界を作った製作者とやらに問い合わせてみたいものだ。「何故我にこの様な役目を押し付けた」とな。


「だが、まぁ我自身もこの世界を愛しているのは……理解しておる。果たしてこの心が何者かに与えられた物かは知らんがな」


 この世界が作り物であると知っているからこそ、我自身も作り物であるはずなのだ。故に思う……我の思考、性格、行動も全て作られた物では無いのかと。


 ……そこら辺は神のみぞ知る、と言う物か。我程度が把握できるわけではなかろう。


「ば、バグ……ちゃ……」


「む? 我の一撃を喰らっても耐えるか、星降り。随分と頑丈ではないか」


「へ、へへ……バグちゃん、に褒められた、ぜ」


「? 我は【ばぐ】などと言う名前では無い。我が名は【ワ繧、繝槭�繧ッュ繝シ輔ぅ】であるぞ。冥土の土産——いや、貴様ら星降りは冥土になぞ行かんのだったな。まぁ、土産にでもするが良い。

 ……他の星降りよりはマシだった選別だ」


「は、は……聞き、取れねぇ」


 我の前で倒れ伏し、光の粒子となって今にも消えそうな星降りに向かってある道具を放り投げた。

 ……うむ。まさかこの様な場に我の力を一瞬でも耐えれる星降りが居ろうとは。


 実力を持った者はかの愚図共よりはマシだが、なぜ我の城に乗り込んでくるのだ……この様な場所なら我も喜んで対峙してやると言うのに。


「……息絶えたか。今度は我が城に来るでないぞ」


 何やら最近見た覚えがある気がしないでもない顔故に、一応言っておく。……星降り共は顔が似過ぎておるのだ。もっと個性のある顔にでもなれば見分けが付くのだがなぁ。

 ……覚えるかどうかは別の話ではあるが。


「お、お待たせいたしました。ギルドへの加盟が完了いたしました! そ、その……貴方様は何と呼べばよろしいでしょうか?」


「あぁ……貴様ら人間には扱えぬ名であったな。【クローフィ】で良い。人間の言語に翻訳した名だ」


「分かりました。クローフィ様、ですね。我々ギルドは、その……貴方様を歓迎——」


「歓迎なぞ要らん。我の目的はいべんと交換? とやらだからな」


 人間の女を置いてぎるどに戻り、いべんと交換とやらを要求してみる。

 ふむ……ちゃんと加盟したと理解しておるのか。交換出来るアイテムは——む? 


「魔封ズ〆縄? おい、この〆縄を何処で手に入れた?」


「こちらですか? こちらは当ギルドで管理しているアイテムでして。何やら魔に関する存在の力を抑える物だとか」


「管理、とな……?」


【魔封ズ〆縄】を管理だと? おかしな話だ。コレは人間と魔族が争う時代に人間が編み出した最終兵器だと記憶しておるのだが。

 ……もしや人間と魔族の争いが終わってガラクタにでもなったのか?


「ふむ、折角の記念だ。その〆縄を寄越すが良い」


「えっと、こちら【無記入の年賀状】が三万五千枚必要なのですが……」


「その程度もう既に集めてある。さっさと寄越せ」


「え? あっ、はいっ! 確認致しました。こちら【魔封ズ〆縄】です!」


 ……本物、だな。

 魔法と魔術が入り乱れ、必死に開発されたが故に色々粗が残る出来ではあるが、歴とした魔を封ずる縄だ。

 うーむ……他は要らぬな。服なぞ我は要らぬし、装備も我の生み出す血の方が優秀だ。


 回復薬に至っては論外だ。我と回復は相容れぬ概念なのだからな。


「うぅむ。折角なら改良してみたくはあるが……我は魔法が使えんからな。手を出すにも出せれん。

 魔術だけなら幾らでも改良できる物だと言うのに」


 ついつい珍しい物があったが故に交換してみたが、使い道なぞある訳ではない。そもそも魔を封ずる程度、幾らでも魔術で再現可能だからな。



 適当に城の倉庫の肥やしにでもするか……そう結論付けて〆縄を仕舞おうとすると、前方から必死そうな顔をした星降りが走って来た。

 ふむ……このままでは衝突してしまいそうだ。明らかに我に向かって走って来ておるのだからな。


 そっと当たらない様に横にズレる……が、効果は無し。走る星降りは我の元まで来て、こう言い放った。


「す、すみませんっ! どうかそのアイテム譲ってくれませんか!!!」


「……む?」


「その、さっき貴方が仕舞った締め縄なんですけど……どうか、譲ってもらう事〜、なんて……」


「星降りが〆縄を求む、か。何に使うつもりだ?」


「え? 締め縄の使い道って限定重ね装備の作成だと思うんですけど……」


 装備……装備、とな? この魔を封じ込めると言う目的の為に数多もの人類が犠牲となって作り上げた、いわば技術の結晶を……装備に?


 我としては別に過去の人類が少々可哀想と思わなくもなくはない所ではあるが、星降り共はそう言うところは気にせんのか? 精巧な人間みたいな見た目をしておるくせに……

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クリア不可能コンテンツの吸血王さんは星を砕く 冰鴉/ヒョウカ @kan_a_alto

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