第4話 変態? いいえ、ただの二次元を愛するゲーマーです

【続けて???side】


 年齢不詳

 性別不明

 名前文字化け

 スキル一つのみ

 強さ未知数

 あと可愛い


 コレがバグちゃんの詳細だ。

 勿論有志が集めた攻略情報ならもっと事細かにモーション云々とかあるんだが……バグちゃんってランダム行動の権化だからなぁ。正直アテにはならない。


 前回は酷かった。まさか初っ端で分身と戦わされる事になるとは思わなかったし。

 きっとバグちゃんの機嫌が悪かったんだろう……うんうん、俺は理解できる男だ。分身とは言えバグちゃんと刃を交えれたので満足である。


 ——が、まさかのデスペナ直後にバグちゃんと戦闘出来るとは。


 前言撤回しよう。やはり生のバグちゃんと切り合いたいと思ってしまうのが男の性。分身程度じゃ満足なんかしてられない。抱き枕よりも生身を抱き締めたいってやつだ。


 そんな訳でただでさえバグちゃんに会いに行って回復系アイテムが少なくなっているってのに、ゲーム内財産を切り崩してアイテムを揃え、一応バグちゃんと切り合えるぐらいには集めて来た。


 コレも推し——いや、我が嫁に会う為の資金と思えば安いもんだ。

 あぁ、安いもんだ……2300万ゴールドの一つくらい。適当に最難関クエやってれば取り戻せる、はずだ。うん。


「装備は……うん、大丈夫だな」


 準備は万端。何せデスペナ明けと言う事は、ついさっきまでバグちゃんと逢瀬していた装備なのだ。


 バグちゃんの1番脅威な攻撃は【魔術】と呼ばれる魔女や魔人と呼ばれる存在の極一部が扱う高等技術。

 バグちゃんが戦闘途中に俺が使っていた【魔法】を見て羨む様に「我も使えたならば……」と言っていたのを思い出してキュンッ……! と来るがそれは置いておいて……


 魔術と言うのは、物理防御と魔法防御あとその他耐性全てを貫通する【確定ダメージ】を発生させるヤバい技術だ。

 プレイヤーも一部扱えるとは言え、出せても10ダメージ程度の物でしかない。


 それをバグちゃんは連発してくる挙句、一発のダメージが全て即死。更に言えばいつもゾクゾクする程に冷めた目で見てくるバグちゃんは、恐らく本気を出していない。


 多分、運営は勝たせないつもりでバグちゃんを実装したんだと思う。

 くっそ……運営一推しと明言してるくせにあんな可愛い子を屈服させれないなんて……運営は鬼なのか⁉︎


 ……話を戻そう。

 つまりバグちゃんに現状勝てるわけがないと言う事だ。


 今俺が来ている装備こと、【ブラッドムーン装備】には【術抵抗】と呼ばれる珍しい耐性があり、コレならば唯一魔術のダメージを軽減させれる。

 この装備ならば辛うじて一撃は耐えれる様になるんだが、耐えて一撃。2撃目はお陀仏だ。バグちゃんの攻撃が重たすぎて流石に受け止め切れない。


 故に基本は回避。一度でも受ければ全力で体力を満タンにして、また回避で立ち回るしかない。

 ……その立ち回りで俺はなんと、第二形態のバグちゃんを拝める事が出来たのだ!


 空から血の雨が降って来て、クソデカサイスを握って牙を覗かせながらニッコリと笑うバグちゃんにはついつい平伏したくなってしまった……まぁ出来なかったんだけど。

 理由? そんなの気付いてたら死んでたからに決まってんじゃん。


 そんなバグちゃんを相手にするってのに、報酬に釣られてワイワイしているプレイヤー。

「賞金でペットでも〜」とか、「持ち家を〜」とか、「サークル開設できるかも〜」と浮かれていやがる。


 全く……そんな術耐性すらない装備で勝てるわけないだろ。それに——


「確実にデスペナ貰うよなぁ」


 受付嬢は『闘技場を使うから心配しなくて良い』みたいな事を言っていたけど、確か闘技場の設定って『太古の技術である【魔術】の復元により、死を無効化出来る戦闘施設』だったはずだ。

 そう、魔術だ。闘技場の根幹とも言える負ければ即離脱の技術は魔術が起こしている。


 そして魔術と言えばバグちゃんだ。……多分魔術を上書きされるか、破壊されると思う。


「上等だぜ……! やっぱペナルティないと燃えねぇよなぁ……バグちゃんっ!」


 動き易いが故に好んで使っている短剣を装備し、俺は闘技場へとあがった。

 そこには陽光を受けて美しく輝く白髪に、意志の強さをヒシヒシと感じる赤眼で、パタパタと可愛く動く羽根を持った美少女(美少年かもしれない)が、立っていた。


 きゃーっ! 本当にバグちゃんだー! こっち見てーっ!


「っと、危ない危ない。俺はクールな男だ。いくらバグちゃんが目の前にいるとは言え、取り乱すのは違うだろ。なぁ?

 そう、俺はバグちゃんにも惚れられる良い男——」



「……フン。蛆虫みたくワラワラと湧きおって」


「おっと、ふざけてる場合じゃないな」


 スイッチを切り替えてガチモードに入る。


 相手は愛しきバグちゃんだ。ふざけた心で勝てる相手じゃない。と言うかすぐ死んでしまう。

 一秒でも長くバグちゃんの姿を拝むには、切り合って生き続けるしかない。


「まぁ、貴様ら星降りは死なんのだ。遠慮なく殺すとしよう」


 地面に浮かぶ魔術の模様がパリィンっ、と音を立てて砕けた。

 あぁ、ここまでは想定内だ。むしろいつも通りって感じ。


「しかしまぁ、我とて今日は久しぶりの街で気分が高揚しておる。普段は使わん戦い方でもするとしよう」


 そうバグちゃんが言うと空が一瞬にして赤く染まり、血の雨が降り出した。

 そして降って来た血がバグちゃんの手元に集まり、クソデカサイスの形となった。


「待ってそれは聞いてない」


 幾らイベント戦とは言え初っ端第二形態ですか……? そんなの——


「良いんすか? 運営さん……っ!」


 コレからに展開に背筋に冷たい物が走ると共に、顔がニヤける。


 そりゃバグちゃんは最推しで彼女で俺の嫁だが……そんな事よりもゲーマーとしての血が騒ぐ。

 あぁ、そうだよ……俺はどうしようもなく強者に立ち向かいたい癖なんだよっ!

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