第3話 害虫がいっぱい居るんだから駆除すれば良いであろう?
……やはり一般人であろうと我の名は呼べぬ、か。
星降り共に我の名を呼ばれるのは癪ではあるが、一般人にすら呼ばれぬとなると少し悲しい部分もある。
まぁ、我の存在が関連するのだからどうしようもない話ではあるのだがな。この世界にとって我は異物なのかも知れぬ。
「此処でぎるどに加盟が出来ると聞いたのだが」
「ギルドへの加盟ですね。それではまず、こちらの書類にご記入下さい。偽に情報でも大丈夫ではありますが、他の星降りの方とパーティを組む時はこちらの情報を元にする為、トラブル防止に為に出来れば本当の事を書いてくれれば幸いです。」
「うむ」
名前……は、書いた瞬間から文字化けを起こした。文字としても我の名は残せぬのか。
職業は、星降り共が言う【戦士】やら【鍛治師】やら【踊り子】などと言う職種の事だろうな。
我は……なんだろうか。近接戦闘も耐久も魔術も火力制圧も我にとっては造作も無い。
唯一我に出来ぬ事と言えば自然の法を操る事である魔法ではあるが……あんな物、魔術で再現可能であるからな。
あぁ、面倒くさい。適当に【オールラウンダー】で良いか。
得意な事は【殲滅】、【鏖殺】、【崩壊】……だな。コレは我の存在意義故に致し方ない部分ではあるが、なんとも物騒だ。
別に我が求めてこうなったわけでは無いだがな。
逆に苦手な事……は、魔法であろう。我が操れる物なぞ、血液関連でしかない。
血液と言う物が優秀であるが故に魔術を極め、魔法の再現に至ったとは言え依然として魔法は扱えん。
……魔法を自在に操る星降り共を羨ましく思った事なぞ無い。所詮は応用の効かぬ技術だからな。
そう、羨ましくなぞ無いのだ。我の方が強いからな。
次は属性か。我の主な属性はブラッド——つまり【血】だ。だが、我が扱える属性は血だけにあらず。何せ魔術があるのだからな。
やろうと思えば【月】も【陽】も【星】も操れる自負はある。無論、下級属性である地水火風氷雷云々もな。
つまり此処で書くべきは……【全属性】だろうな。
嘘は書いておらん。純然たる事実だ。
最後に一言、か。
『我は貴様ら星降り共と馴れ合うつもりなぞない』
「うむ、書けたぞ。早急に加盟とやらを済ませるが良い」
「了解致しました。では、内容の確認を——……あの、嘘の情報は不利益を被る可能性がありますが——」
「嘘ではない。そのまま進めよ」
「りょ、了解致しました。では、次は指定の依頼をクリアする必要が御座いまして。その依頼と言うのはこちらの【薬草採取】と【回復薬作成】と【スライム討伐】となりますが……どちらから始めますか?」
なんだその虫ですらない微生物が行う様な依頼は。弱者ですら苦戦しない依頼だが……こんな物をギルドは試練としているのか?
ふんっ、程度が知れるな。星降り共のレベルが低いのも頷ける。
「薬草も回復薬とやらもスライムも我にとっては造作も無い。そもそもとしてそんな物に頼ってるなぞ程度が知れる」
「で、ですが加盟するならば一定以上の実力が——」
「実力を証明するとならば別の手段でも良いと思わんか? ほら、丁度そこら中にいくらでも殺して良い星降りが居る。この愚図共を殲滅すれば実力なぞ簡単に証明出来るわ。
こんな程度の低い依頼なぞよりはっきり証明出来ると思うのだが?」
「……分かりました。そこまで言うのなら、そう致しましょう。後悔しないで下さいね」
「ふんっ。後悔なぞする訳無かろう。力無き星降りがいくら群がろうが、我に勝てる訳ないのだからな」
そうして我はとある場所に案内された。
広々とした闘技場の様な場所で、死に近い経験をすれば即座に退場して無かった事になる魔術が掛けられた大地だ。
そして、そこに大量に居る星降り共。
怖い物見たさか、それとも強者に挑みたいが故か。もしくは報酬が高いからか。どちらにせよ——
「死の意味すら知らぬ愚図に我が負ける訳無かろう」
保険に保険を掛けた戦いなぞ用意して、恥ずかしくないとは思わないのだろうか。
◇◇◇◇◇
【???side】
「では、コレより蜷ク陦様の実力測定の為に、皆様には全力で蜷ク陦様を殺しにかかって貰います。
討伐に成功した場合は参加した皆さんに10万ゴールド。最後の一撃をお見舞いした方には更に100万ゴールドをおつけ致します。
今回は特別ルールとして闘技場を使用しますのでデスペナルティを受ける必要はありません。存分に全力で戦っちゃってくださいっ!」
「「「「「うおおぉぉおおおお!!!」」」」」
受付嬢の言葉を聞き、報酬の贅沢さに惹かれて集まった数多のプレイヤーを……俺は冷めた目で見ていた。
「馬鹿なのか、コイツらは」
俺はついさっきデスペナが切れてようやくまともに動ける様になった所、なんか変なイベントをやっていると聞いて来た身なのだが……
なぁんでラスボスさんが街にまで出張しに来てるんですかねぇ。
そう、俺にデスペナを与えたのは今回のイベントの標的であるラスボスさんである。ちなみに名前は知らない。俺みたいなガチ勢はそのバグみたいな強さと必ず血を操っている所から、親愛を込めて『バグちゃん』とか『吸血王さん』って呼んでる。
「今日からイベント頑張ろうと思ったけど、こりゃまたデスペナだなぁ……」
事前に決めてたことすら曲げてバグちゃんに挑もうとしている自分自身に呆れる。
だってしょうがないじゃん……俺、あの子にガチ恋してるんだもん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。