第25話
次の日の朝。
もう今日が峠になるかもとお父さんから家に電話。
私は急いで準備して病院へ向かった。
電車の音、人の話し声、色んな音が聞こえているのにどれも遠くで聞こえている感覚だった。
ただただ必死に病院に向かった。
お母さんのことしか考えていなかった。
そして病室のドアを開けたらチューブの人工呼吸器からマスクの人工呼吸器に変わっていて息が苦しそうだった。
お母さんは息が苦しくなる度に看護婦さんに酸素濃度を上げてほしいと酸素濃度計を指差した。
それでも段々と呼吸は苦しくなり…
最高の濃度になってしまった。
お母さんはまた更に上げてほしいと酸素濃度計を指差すけど、
看護婦さんは「もうこれ以上上げられないんですよ。」と。
お母さんは、そっかぁ…っていうかんじで頷いていた。
それを見ていて辛かった。
もう、死を覚悟しなくてはいけないんだから。
受け入れなくてはいけないんだから。
お母さん
やだよ
絶対にやだ...
また奇跡が起こってほしいと願ったけど…全身に広がった癌はお母さんを包み込んでしまった。
呼吸が浅くなっていくお母さん。
心電図の線がまっすぐになり。
私は身を乗り出しお母さんを見た。
体が痙攣し、パタリと動かなくなった。
声をかけてももう反応はない。
そしてお医者さんは時計を見て時刻を言っている。
嘘だ。
死ぬわけない。
私は涙を流さずにただ呆然としていた。
何も考えることが出来なかった…
夢だ…絶対に夢だ。
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